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【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます  作者: なみゆき


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(中身アラフィフ、外見14歳)

 ますますエドワルドの私に対する態度が悪化し続けている。

どこまでレベルアップするか絶賛記録更新中。


廊下ですれ違えば打ち殺すレベルで睨まれ、選択科目の授業で、私が発言すれば大きなため息。

昼休みには、ミレーヌがわざと近くで囁く。


「エドワルド様の辛い気持ち分からないなんて…。先程の発言は素晴らしかったです。ほら、誰かと違って…」


(ため息ついただけじゃない。あれの何が“発言”なのよ…。ばかばかしい。)



◇◇◇

 放課後、私はいつものようにリュシアンの家へ向かった。

彼の家の地下室には、雷魔法の実験に使う小さな研究室がある。

雷が頻繁に落ちれば、近隣の住人や使用人たちが驚く。だから、地下で静かに、慎重に。


(雷って、派手だけど繊細で力強い。まるでリュシアンみたい。見た目は静か、中身は芯が強くて、簡単に折れない。前世の職場にいたら、絶対“定時で帰れるチーム”のリーダーだったはず)


「今日の彼らの記録のまとめですか?」


リュシアンがそう言ったとき、私は少しだけ笑った。


私とリュシアンにとって、これがもう“日常”になっている。


「うん。ミレーヌの魔力、やっぱり気になるから、忘れないうちにね」


学校で起きた嫌なことを思い出し、私はノートを見つめながら静かに言った。


「エドワルドは、私を煩わしいと思ってるのに、婚約は続けたいらしい。理由は、私の発明の利益が欲しいから」


リュシアンは、眉をひそめた。


「…それって、ひどい話ですね。セレナさんの気持ちは無視ですか?」


「彼にはそんなこと関係ない。彼の気持ちはミレーヌに向いてるのはわかってるし」

「私自身も彼に対して何の愛情もない。むしろ嫌悪しかない」

「でも家に迷惑をかけるのは嫌なの。だから、私は冷静に記録する。感情じゃなくて、事実を。そして…」


彼は、私の目をまっすぐ見て言った。


「セレナさんは、困難に自ら立ち向かうなんて強いですね」


(強くなったのよ。前世で、何度も傷つけられて、泣き寝入りして、“我慢するのが大人”って思い込んでた。でも今は違う。我慢じゃなくて、“戦う”って決めたの)



◇◇◇

 ある日の放課後、レオンがミレーヌのターゲットだった。

私は“偶然”を装い、二人の近くを通る。


「レオン様の運命線は覇王線といって、やっぱり王になる方です」


(またそれか…そもそも王子なんだから、王になる可能性はこの国で一番。誰もが知ってるわ。そして、ミレーヌ、それ手相じゃなくて“家系図”でわかる)


彼女のせいで、レオン、カイル、グレイと話す機会が減り、イザベラも妃教育で学園におらず、一人でいる時間がますます増えた。

それが、前世を思い出させて、私を惨めにさせ、そして心をささくれさせた。



◇◇◇

 リュシアンに会いに行くと珍しく私の来訪を待ち構えていた。


「セレナさん、お待ちしてしました。あれから魔力検知器を少し改良したのです。これです」


そして彼は、ミレーヌの魔力検知装置の改良版を見せてくれた。

反応の精度が上がって、なんとミレーヌの魔力の“波形”まで記録できるようになったという。


「これで、彼女の力の“種類”まで判別できるかもしれません」


(さすがリュシアン。こっちは“未来が輝いてます♡”しか言わない女を相手にしてるのに、彼は“魔力の波形”よ。知性の格差、天と地)


(演技だけで、あそこまで男子を落とせるなら、それはそれで才能。前世の婚活パーティーで見た“笑顔で高年収男を軒並み狩る女”と同じ匂い)


私はノートを開き、次のページに「魔力検知計測改良計画」と書き込んだ。


リュシアンは静かに笑った。


「セレナさんが冷静に記録しているから、僕も必要なものが考えられます。…ありがとうございます」


(この子がいてくれて、本当に良かった。前世の私にも、こういう人が側にいてくれたら、もう少し生きやすかったかもしれない)



◇◇◇

 翌日、私は早速ミレーヌと話している彼らの側にいき、ペンダントに触れた。

石板が微かに光る。

数値はミレーヌがいない場所に比べて約2倍。

その後、ミレーヌが男子に触れると数値は跳ねた。

•レオン:4.8倍

•カイル:3.2倍

•グレイ:3.5倍

•エドワルド:50.6倍


(これは…ただの演技じゃない。前世の婚活パーティーで、相手の好意が数値化できたら面白かったのに。ていうか、エドワルドの数値だけ跳ねすぎ。もはや“脳内独りミレーヌ祭り”の規模でかくなってない?)



◇◇◇

 私は早速、リュシアンに改良版魔力検知計測の結果を報告した。


「この反応だけを見れば、彼女の力は本物に思えますが、ごく一部の男子にだけ特出して反応するのは不自然です。魔力って、対象を選ばないはずです」

「やはり彼女は疑わしいですね」


私はノートに記録する。魔力反応の数値と、接触後の言動。


(さて、次は“波形”の解析ね。おばちゃん、グラフも読めるのよ。Excelで鍛えたから)



◇◇◇

 ある日、いつも二人の世界に入り込んでいるエドワルドとミレーヌに声をかけられた。


エドワルドは、私のことを婚約者として“心配している”という体で、発明の利益に釘を刺してくる。

隣でミレーヌは、控えめに微笑みながら、会話に棘を仕込む。


「私は、視ることしかできない…それに比べて、知識とお金を稼ぐ能力だけは、誰よりもあるセレナ様が羨ましい」


(出た、“弱者面”でのマウント。褒めてるようで、知識と金しかないってディスってる。前世で“女の武器は年齢”って言ってた後輩と同じ匂い)


私は微笑みながら一歩前へ。


(感情にのまれてはだめ。声は穏やかに、そしてよく通る声で。でも言葉には“重み”を込めて、ゆっくりと)


「お褒めいただき光栄です。ミレーヌ様もぜひ、これからはもっと学んで、手相だけではなく、知識を増やしてください…民のためにも」


ミレーヌの笑顔が、ほんの一瞬だけ引きつる。


(あらあら、仮面がズレてるわよ。でも最後まで外しちゃダメ。貴女の舞台はまだ続くから)


私は二人に深く一礼して、その場を後にした。


私は、ただ自分の人生を、自分の言葉で守るだけ。 悪意のある面倒くさいマウントに、いちいち付き合う気はない。


(そちらが“被害者面”で押してくるなら、こっちは“健気な被害者”として制する。アラフィフの人生、舐めんな)


放課後、私はいつものようにリュシアンの家の地下室へ。 彼はすでに魔力検知装置の改良案を練っていた。 今度は“波形”に加えて“持続時間”まで測定できるらしい。


(リュシアン、ほんと仕事が早い。前世の職場にいたら“上司にしたいランキング”ぶっちぎり1位よ)


「セレナさん、昨日の記録を見て思ったのですが、エドワルド様の反応数値、異常すぎますね」


「うん。あれはもう“恋”じゃなくて“依存”。ミレーヌが手を握った瞬間、魔力跳ねすぎてて、完全に“脳内ミレーヌ祭り”開催してる」


「…面白いこと言いますね。でも、もし彼女の力が、意図的に男性にだけ作用しているとしたら…」


「それ、“聖女”じゃなくて“恋愛特化型魔女”。しかもターゲット選定済み。営業力高すぎ」


「ふふ、面白い表現ですね」


リュシアンは笑顔でうなずいた。


「でも、このままでは、学園の秩序にも影響が出るかもしれません。更に調査を進めましょう」


(ええ、調査+監視+証明よ。“未来が輝いてます♡”の裏に、何が潜んでるか暴いてやる)



その夜、ベッドに入る前に私はノートに綴った。


・私は、もう誰かに押し付けられるだけの人ではない。

・今の私は、発明者であり、観察者であり、証人である。

・彼らの“仮面”を崩す瞬間まで、記録を続ける。


ペンを置いて、深く息を吐いた。


(ここまで来た。あとは、どう暴くか。“未来が輝いてます♡”なんてセリフじゃなくて、“真実が暴かれます”って言ってやるわよ、ミレーヌ)


読んでくださり、ありがとうございますm(_ _)m


明日からはお昼と夕方の更新になります。

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