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(中身アラフィフ、外見7歳もうすぐ8歳になる予定)
初めてのお茶会で、彼女は優雅な立ち振る舞いの中、私にそっと微笑みかけてくれた。
「私はイザベラ・ド・リュミエールよ。…でも、そんな堅苦しくなくていいわ」
その言葉に、私は驚いた。
高位貴族の令嬢が、私のような身分の娘に、こんなふうに優しく接してくれるなんて。
「セレナさん、今日のドレスとても素敵。でも、裾が少し折れているから、直してあげるわ」
(自分より身分が低い娘の足元を気遣い、自ら動いてくれるなんて…なんて心が優しい女の子なの)
イザベラは、銀髪に紫の瞳を持つ、同世代の中でも最も高位の侯爵令嬢。
プライドが高く、素直になれないところもあるけれど、人に対しては公平で、芯のある少女だった。
「私、将来は…誰かの後ろじゃなくて、自分の足で立てる女性になりたいの。だから、誰かに何かしてもらうよりも、自分で動きたいの」
その言葉に、私は胸が熱くなった。
彼女の言葉は、前世の私の心にそっと触れた。
(私も、弱さを見せられなかった。誰にも頼れなかった。きちんとしていなきゃ、迷惑をかけちゃいけない――そう思って、ずっと一人で頑張ってた)
イザベラもまた、侯爵令嬢として“きちんとしなくては”という空気の中で生きてきたのだろう。
だからこそ、彼女の「自分の足で立ちたい」という言葉が、私には痛いほど響いた。
それから、イザベラとはよく遊ぶようになった。
カイルやグレイを交えた時間は、身分の垣根を越えた小さな冒険のようだった。
ドレスではなくパンツスタイルで剣を振るうイザベルは、まるで物語の中の騎士姫のよう。高貴で誇り高く、でも誰よりも人間らしい温かさを持っていた。
「セレナ、構えが甘いわ。こう、もっと腰を落として」
「うう…イザベラ、やっぱり強いね」
「ふふ、女の子だって、守られるだけじゃつまらないでしょう?」
その言葉に、カイルもグレイも目を細めて笑った。
彼らもまた、イザベラの芯の強さと優しさに惹かれていたのだと思う。
「私、誰かの守られて、いつも後ろにいるだけの人間になりたくない…。誰かに危険なことを押し付けて、自分はおびえているだけの存在にはなりたくない。」
「私は、自分の足で立ち、問題に向き合いたいの。だから、こうして剣を持つのも、私にとっては大切なことなの」
(前世で、こんな風に考えられる人が私の家族、職場で居たならば、私はきっとあそこまで疲弊しなかったはず…おばちゃんだけど、この凛々しくて可愛いイザベラと友だちになれて幸せだわ。)
彼女の強さは、誰かに見せるためのものではなく、自分自身を支えるためのものだった。
私はイザベラの言葉に、静かに誓った。
(イザベラ…あなたがどんな運命に巻き込まれても、私は絶対に味方でいる。あなたが自分を信じられなくなった時は、私が信じるから)
だからこそ、私は、今世では自分らしく生きて、彼女の隣に立ちたいと思った。




