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典子、50歳
「気づけば、もうアラフィフ。結婚もしてない。恋もしてない。なのに、なんで私だけが…」
名前は典子。昭和の終わりに生まれ、氷河期世代と言われ、今のように、就活の売り手市場ではなく、必死に、職場にしがみつき、気づけば50歳目前。
独身のまま、父親の介護に突入した私は、毎日が戦場だった。
兄も姉も家庭を持ち、自由な時間もお金もあるはずなのに、口を揃えてこう言う。
「独身なんだから、自由に使えるお金も時間もあるでしょ?お父さんのことお願いね」
その言葉が、どれほど重くのしかかっていたか。 まるで、独身であることが“便利な搾取対象”であるかのように。
父親は、たまにしか来ない兄姉には、笑顔を見せるくせに、私には冷たく言い放つ。
「おい、飯はまだか。掃除も終わってないぞ。何やってんだ、役立たずが」
まるで奴隷のような扱い。
母はそんな父の元来の横柄な態度と長年の横暴に耐えかねて、子供たちが成人した直後に離婚していた。
残されたのは、年を取り寝たきりになった父と、介護を押し付けられた私だけ。
兄姉は、私立大学を卒業している。
でも私は、母の離婚後、父が学費を払ってくれなくなり、大学を除籍された。 あと1年で卒業できたのに…。当時は、奨学金も今ほど充実していなく、ネットもそれ程、発達していなかった。 情報を得る手段も、助けを求める場所も、当時の私にはいなかった。
(あのとき、誰かが「調べてみよう」と言ってくれたら。 誰かが「助けるよ」と言ってくれたら、私の人生は変わっていたのかも知れない。)
でも、誰もいなかった……。
その後、社会に出てから付き合った男性にも、お金を無心され、無償の家政婦という役目を押し付けられる日々。
「困ってるから」
「助けてほしい」
「片付けといて」
「アイロンかけといて」
――そう言われるたびに、私は財布を開き、彼の母親のごとく、世話を焼いた。
誰かに必要とされることで自分の価値を確かめるような日々
(誰かから、搾取されるのが“当たり前”の生活だった)
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