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8 辺境伯領

葵は北のマキシマス辺境伯を訪ねてみることにした。

辺境伯の魔法を見て見ないと、安心できない。

ここが原因でなければ、各地を廻って地道にローラー作戦をするしか無いだろう。

この領地は北国とは言えないほど気候が温暖だった。最北にある高い山の頂には万年雪が白い帽子のように鎮座して居る。

案内の神官が言うには、本来ならば、この季節はここいらは雪と氷に被われていたはずだという。

今は季節は冬。そう言えばおかしな気候だ。北に位置しているのに南と変わらない気候なのだから。

「やっぱり何か変だ。」

葵は、不自然な気候に違和感を覚えた。

一緒に居た神官は、「ここは以前より土地の火の魔力が増えている。」と言った。

土地の魔力とはどう言う物か葵には感じられない。

「土地の魔力とは感じられる物なのかしら?」

「おや、力の有るヤーオイ導師が感じられないとは、冗談でしょう?」

そんなこと言ったって、分らないのだから。付け焼き刃の魔法使いなんだもの。

「まあ、良いでしょう。導師に教える栄誉を頂いて、私が講義をいたしましょう。土地にはそれぞれ魔力に特徴があります。南の魔力は火の属性が多い。西は水、東は土、北は風という風に属性の偏りがあります。殆どの属性はどの土地にも有りますが、あくまで多い傾向にあると言うだけですが。」

聞いてもよく分らなかった。要するにここは本来より火の魔力が多くなっていて熱くなったと言うことだろう。ではその火が多くなった原因を探れば良いと言う事かな。


辺境伯は白髪頭の初老の叔父さんだった。

人の良さそうな、ふっくらした人だ。彼は風の魔法が得意だとか。

「このような辺境にようおいでなさいました。この頃の気候変動の原因を調べているそうですな。全く大変な時代になった物です。」

この土地は洪水こそ起きていたが、作物は以前より取れていて、余り深刻ではない様だ。

益々怪しい。彼が何かしているのでは無いかしら。

辺境伯の隣には六歳くらいの男の子がいた。

「確かマキシマス辺境伯には、もう一人お子さんが居ますよね。」

葵が聞くと辺境伯は険しい顔になって、

「ああ、居ましたが、あれは勘当しました。この領地を継ぐのは、ここに居る次男のアンディです。導師は魔法の権威と聞き及びます。どうか我が息子のアンディに魔法の手ほどきをお願いしたい。」

辺境伯は次男の魔法を見て欲しいそうだが次男はまだ六歳だという。

すかさず、神官がフォローに入ってくれた。

「それは、今回の目的とはかけ離れております。今はあくまで気候の調査に来ておりますので。」

「そうですか、いや失礼いたしました。ではお部屋へ案内させましょう。バサロ、案内してあげなさい。」

バサロという執事に案内され、葵が滞在する部屋に通された。


部屋はかなり豪華な造りをしていた。若しかして最高の客をもてなすための部屋、なのでは無いだろうか。一緒に来た神官の部屋は全く違うそうだ。

「私なんかに、勿体ない部屋ですね。」

「とんでもございません。ヤーオイ導師は、公爵様の覚えもよろしいと聞き及びました。決して豪華すぎと言う事は無いです。」

バサロが、何やら変な事を言う。何処の公爵様だ?会ったことがないのに。誰かと勘違いしていないだろうか。今更部屋を変えて欲しいとも言えず、其の侭この部屋に滞在することにした。

勘当されたと言う長男に会ってみないと。長男はここに居ないのだろうか。

「バサロさん、ご長男は何故勘当されたのですか?」

「それは、調査に関係あることでしょうか?」

「あるかも知れません。」

バサロは逡巡した後、コッソリと教えてくれた。

「実は、サムエル様は、学校を卒業できずにこちらへ帰ってこられました。対外的には魔法使いになったとされましたが、全く魔法が出来ず、それで廃嫡にされて仕舞われました。」

「今サムエル様はどちらにいらっしゃいますか?」

「地方の代官をしております。」







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