4 ルメラ
「ヤーオイ導師。質問があります。」
「はい、なんでしょう。ルメラちゃん。」
ヤーオイ導師は、私の事をちゃん付けで呼ぶ。同い年位なのに、なんか変な感じだ。
私は人見知りなので、余り人とは馴染めない。でも、ヤーオイ導師には結構、話掛ける事が出来ている。
親しみやすい、優しそうな笑顔は何となく安心感がある。
絶対大声は上げないし、何時もゆっくりしゃべるヤーオイ導師は、若しかして私のことを子供のように思っているのかも知れない。
「ヤーオイ導師は、何処で魔法を覚えたのですか?」
導師は困ったような顔をして、
「魔法は使えないと思うのだけど、いつの間にか使っているみたいですね。」
よく分らない答えだ。要するに、自然と使えていると言う事だろう。天才か!
ヤーオイ導師の授業は奇天烈だ。
折り紙という不思議な折り方をする魔法だ。
私はまだこの魔法はマスター出来ていないが、ヤーオイ導師には、
「上手に折れています。もう少し折り目を正確にして、端と端をきちんとそろえましょうね。」
と指導してくれる。褒められるとやる気が出る。
この間上手に折れたので、導師に見せに行ったら、
「うまく出来ましたね。では、ここに息を吹きかけて飛ばしてみましょう。」
何言っているのか分らない。言われるままに息を吹きかけると折り紙の鳥がパタパタと飛び出した。
私はビックリしてしまった。
こんなに簡単に、繊細な魔法ができてしまった。目が点になって、そこに佇んだ。
「ほら、飛んだ。綺麗に丁寧に折れたから、でも右側に偏って飛んでいますね。もう一度隅まで綺麗に織り込んでみたら、もっと良く飛びますよ。」
私は、尊敬のまなざしでヤーオイ導師。を見つめた。
何という、素晴らしい教師だろう。今までどんなにか他の先生に叱られたことだろう。
その度に萎縮して、出来ていたものが段々出来なくなっていった。先生もさじを投げ、これ以上の指導は必要ないと魔法学校を出されたのだ。
最初は優秀だと褒められていたのに。お情けで卒業させて貰った。
今度は箸を上手に使う訓練だ。
私はやる気に満ちている。箸を持つのは簡単にできたが、お皿に入れた、豆を掴むのはなかなか大変だ。
やっと1つ掴めたと思ったらコロンと落ちてしまう。
でも、負けない。これをクリアーすれば、また素晴らしい魔法になるかも知れない。
でもこれはどんな魔法が使えるようになるのだろう?