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12 エピローグ
トーマスは、焦っていた。
ヤーオイ導師が消えて仕舞った。頑張って子爵にもなれたのに。
これから神殿で留め置いて貰っていた、ヤーオイ導師を迎えに行こうとしていた矢先だった。
父上にも大賛成して貰えて、
「将来、お前達の子供が立派な魔法使いになれたら、公爵を継がせても良い。」
とまで言われていたのに。王にも態と会わせない様に手を回していた。
王子がヤーオイ導師を気に入ってしまえば、トーマスには手が出せなくなってしまうからだ。
神官に、監視を任せたのは失敗だった。
ヤーオイ導師に時空の繋がりのことをしゃべって仕舞ったのだ。
彼女は絶望したに違いない。
本当はそこに私が居て慰めて、そして私の処へ来い。と言う段取りだったのに。
「くそー!何処へ行って仕舞ったのだ。ヤーオイ導師ぃー!」
「サムエル、私の本当の名前は、葵、アオイって呼んでくれる?」
「ああ、アオイ。これからはずっと一緒だ。」
「嬉しい。」