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絶望の底から  作者: 夜桜るーな
第1章 新しい風
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ep.13 喧嘩

しかもそのおもちゃが俺を振ったやつとイチャついてるんだから壊してもいいよなぁ?]


[お前が選ばれなかっただけで嫉妬してんじゃねーよ]


[おもちゃは黙ってろ!]


ヘラヘラしてた秋山は俺の言葉にムカついたのか大声をあげる。そんな秋山に対し俺は美来に[危ないから下がってて]と伝える。


[男なら女にいいとこ見せたいってかぁ?]


金属バットを片手にこちらへ走ってくる秋山。


(...どう動く?)


秋山は俺の前に来るとバットを振り下ろす。俺は右に避けてそれをかわす。ダンっ!と音をたてながら割れる地面...くらったらひとたまりもないな...


[ちょこまかと動いてんじゃねーぞ!]


今度は横にへとバットを振るう。俺はしゃがんでかわすと同時に腹に拳を叩き込む。グハッ!っと声を上げながら後ろへよろめく秋山。


[まぐれはいい加減にしろよ?]


[何がまぐれだ?お前の攻撃なんてあったてねーぞ?]


[調子乗るのもいい加減にしろよ早瀬...]


[お前が仕掛けてきたんだ。俺は悪くないぞ]


[そうかそうか、じゃあお前の弱点でも使うとするか]


不気味な笑みを浮かべる秋山。俺は背中がゾッとした。


[弱点だと...?]


[お前は大切な人を守れないもんなぁ?家族が死んだようにお前の大切な人を殺してやるよ]


[なんでお前が家族のことを...]


誰にも話さなかった俺の家族のことを何故か秋山は知っている。


[俺はなぁ知ってるんだよお、お前の家族がドライブ中に崖から落ちて即死だったんだろぉ?可哀想だなぁ]


[黙れっ!お前に俺の家族の何がわかる!]


俺は怒りのあまりに何も考えずに秋山に突っ込む。しかし、秋山は表情を一切変えずに


[ほーら引っかかった。お前の弱点─それは家族のトラウマだもんなぁ!]


と俺が来ることを分かっていたのか俺が懐に入ると同タイミングでバットをフルスイングする。そしてそれは─俺の腹を完全に捉えたのだ。


[ぐあっ?!]


激しく吹き飛ぶ俺。しかもガードをしてないせいで肋骨が数本折れる。その痛みのあまり俺は立つことも出来ない。


[結構いったなぁ?ここは誰も見てないし殺してもいいんだぜ?]


俺の前へと歩いて来た秋山は俺の頭目掛けてバットを振り下ろす。しかし、生への執着か俺は腕を間に入れてなんとか防ぐもゴキっと音と共に腕が折れてく。


[ぐあああああ!]


[それでこそいいおもちゃだ、もっと俺を楽しませてくれよ?]


秋山が俺の髪を乱暴に掴みあげ突き放す。俺はもう全てを諦めた─


[何をやっている!]


裏路地に男の声が響き渡る。そしてこちらに向かってくる。


[チッ警察か、運良く生き残れたな死に損ない]


とセリフを吐いて走り出す秋山。一人の警察官が後を追いかけ、もう1人が俺のところに来る。


[大丈夫か?!]


警察官が声をかける。しかし、俺は意識が朦朧として声が出ない。


[まずい状態だ...救急車を!]


そしてその警察官の後ろから女の子が現れる。


[翔っ!しっかりしてよ!]


それは警察官を連れてきてくれた美来の声。だが、もう限界だった。


─俺の意識は暗闇へと落ちていった。


第1章 新しい風【完】

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