第八十九話
閑話
「美桜~、うちのギルドもようやく新大陸行きの権利手に入れたけど大変過ぎた~。」
「夜中にいきなり電話してきたかと思ったらその話なのね。私のところはそんな難しくなかったけどそっちはギルド人数が多いから大変だったの?」
新大陸行きの権利を入手して3日後の夜、今日はログインの予定もないので明日以降のご飯の作り置きをたくさん作ってやろうと張り切っているところに麗香から電話があった。
いつも通りの世間話をしている途中でいきなりゲームの話に移った。
これもいつも通りなので話が突然切り替わっても特に腹立つこともないし、こいつはそういうやつなんだということも思うことない。
「他のギルドと比べると人数は多い方だと思うけど、大規模と言われるかとなるとそうではないんだよね。けど、そこそこプレイヤースキル高い人が集まっているから強いとは思うな。けど、半分以上が社会人だからプレイ時間短くてプレイヤーやスキルのレベルが中々上げれないからトップは狙えないぐらいよ。」
「つまりは結構強いって事じゃん。はぁそれなら戦ってみたいな。どんな戦闘スタイルでどんな武器を使うんだろう。包丁みたいな武器とかあるのかな。」
手に持っている包丁みたいに料理をする人なら使い慣れた刃物を武器にする人はかなり手ごわそうなイメージがあるし、戦い方やスキルに想像がつかないからこそ面白そう。
野菜を刻んでいきながらレシピ通りに出来ているかを確認していく。
「あんた料理しながら戦いのこと考えてたら自分の指切っちゃうわよ。」
「お嬢様は料理はされないのですか?女性としてのスキルを磨けば気になるあの子の胃袋を掴んでそのままGET出来ちゃうかもですよ。」
麻婆豆腐のレシピ通りには出来ているっぽいな。
それならよし!
次はきんぴらごぼうに挑戦するかな。ごぼうがいい感じの細さに切れるのかが不安だけど。
「それなんだけど、最近はヒロが料理にハマっていて食べる機会があってさ。それがすっごく美味しかったんだよね。」
「逆に胃袋掴まされたってことね。麗香って味とかにとても厳しかった気がするけどそれを突破するなんてさすがゲーマー。料理という意外なところから完璧に攻め込むなんてね。」
「胃袋は掴まされたけど、ちょっとプライドが傷つけられたんだよね。料理教室とか通ってた私を独学で簡単に追い抜かされちゃったからね。」
そういえばヒロは天才肌だから大抵なことはやればそつなくこなしちゃうんだよね。
麗香は努力型で誰にも見られないようにコツコツと頑張る素敵な女性。
そして意外とプライドがあって可愛くてめんどくさい。
(あぁ、麗香。これから料理へ打ち込むんだよな。)
それからは麗香からどんな料理を作っていけばいいか?味付けはいつもどんな感じでやってる?などなど質問攻めにあった。
さっさと電話を切るためにタイミングを伺っていたのだがマシンガンのように質問をしてくるせいで中々切れず1時間が経過した。
トイレに行くと言ってきたのですかさず切ってやった。
友達同士だからといっても長時間電話はかなり疲れちゃうのよね。




