第七十八話
「さて、相手はゲームを始めたばかりとなるとレベルも低いからステータスでゴリ押すのは、、、やめとこうか。」
サイレントは今度戦うことになったプロゲーマーとの差を考えていた。
レベルの差は10いや20以上はあるかもしれないが、それを考えても変えられないものであるので仕方がない。
ただ、このゲームはステータスで全てが決まるわけではないが、圧倒的な差には勝つことは出来ない。
1対1に関して大事なものは4つ。
レベルはもちろん、装備、スキル、プレイヤースキル。
今度の相手がプロゲーマーとなるとプレイヤースキルに関して勝とうと思うと奇抜な策を用意するなどしておかなければいけなく純粋さでは勝負にならない。
その他になると装備とレベルであればプレイ時間とイベント、友好関係にある鍛冶師がいるサイレントが有利となる。
最後のスキル。こればかりは勝負ごとにおいての切り札となる。普遍的なスキルは応用がいくらでも効いて戦術の幅が広がる。だが、職業スキルやサイレントが持っている仮面のようなユニークな効果を持つスキルなどは個性が出る。
今回は相手を一方的に倒すことが目的ではなく無難に程よく戦うこと。つまりは負けても勝ってもどちらでもいい。目の敵にされるのを別の誰かに移せればいい。
それで平和にイベントに臨むことが出来るようになると考えている。
「自分で決めたことじゃない予定ってなんでこんなに憂鬱になるんだろう?」
「それを鍛冶師である俺にわざわざ言いに来たのか?用がないのなら帰ってくれないか。」
「カインは相変わらず口が悪いね。用がないわけではないんだよ、武器を2つお願いしたいんだよ。」
サイレントが最近の愚痴を言っている間も奥の鍛冶スペースでずっと金槌を振り続けていたカインがようやく用件ということで首に巻いたタオルで汗をぬぐいながら近づいてくる。
びたびたになったタオルを能天気な彼女の顔に叩きつけて、拳をカウンター叩くように置く。
「で、何が欲しいんだ。前着た時よりかはレベルもステータスも上がってあれ以上のものが欲しいっていうのなら制作料は倍以上になるからな。」
「あー、一つは今のやつ以上のものを(制作料が倍になるって詐欺なんじゃ)、もう一つは今のレベルの半分ぐらいだから、2回目ぐらいに作ってもらった時ぐらいの性能の小太刀を作ってほしいんだよね。」
「はぁ?なんで性能ダウンした小太刀を作らないといけないんだ?練習用にしても性能が悪くないか?」
「?が多いよ。今度ね、最近このゲームを始めたヒビキちゃんの知り合いのものすごく強いプロゲーマーとタイマンを張ることになってさ。レベル差がかなり違うのにいい武器を持って戦うのはフェアじゃないなって思ってさ。」
「出会ってそうそうお前は変なやつだとは思っていたけど、戦闘狂って意味で変なやつなんだな。なんか光る球を集める物語の主人公に通じるものがあるわ。」
サイレントはカインが何を言いたいのかはわからなくて首を傾げてしまう。カインは世界共通の認識かと思っていたことが通じず呆れている。
「ああ、鉄板のネタが通じないやつがこのゲームやっているなんてな。小太刀なら店頭で販売しようとおもってたやつがあるからそれを持っていきなよ。前のやつとほぼ同じ性能だからな。」
「ありがとう、カイン!」
カインがアイテムボックスから小太刀を取り出し目の前に差し出したのを受け取ろうと握ったがピクリとも動かず渡してくれない。
空いた手を仰向けに差し出して、無表情で「金」と口パクで伝えられる。
「しょ所持金今はかなり少なくてまけてくれないかなぁなんて。」
(金だせ)
カインになけなしの金で武器購入の清算をした。
所持金はゲームを始めて初めての3桁になってしまった。




