第七十七話
「ってなことがあってねリアルで大変だったんだからね。けど、ヒビキちゃんの顔を見るとゲームなのに私に劣らず大変なことがあったみたいね。」
美桜ことサイレントはギルドホームにログインして溜息をついて机に頬杖をつきながらため息をついているヒビキを発見してお互いのリアルに対する愚痴を発散しあっている。
今はサイレントのターンではあるのだが、それを申し訳なさそうに聞いているヒビキの様子を訝しげながら話して終えたところで
「サイレントちゃん、それ私のせいかも。」
「ん?どういうこと?」
「ソフィアちゃんがね、あなたとリアルでの知り合いであることはこの前のイベント前に聞いたのよ。そこで彼女のお父さんがサイレントちゃんとの交友関係に反対していたらしいのよ。昔に何かがあったらしくてね。ちょうど読んで青春バトル漫画を読んでたから『こういった拳と拳とかバトルとかで仲を深めたり相手のことを知るようなことが出来るかもね、本当にやっちゃダメよ』って。」
「ああぁ。それでソフィアちゃんは同じことはダメなら似たようなことをしてみようと黒服たち使ってあんなことを。金持ちは平民様とは違って思考回路がぶっ飛んでいるわ。」
目の前で手を合わせて謝罪をしているヒビキちゃんを責める理由はない。そもそも、脅迫じみた招待をするソフィアの方がおかしい話なので、サイレントは合掌した手を下ろさせる。
「そんなお疲れのサイレントちゃんに申し訳ないのだけど1つお願いを聞いてほしいのよ。そんな嫌そうな顔をされると頼みづらいわね。」
「リアルでの頼み事じゃなければいいよ。」
「それなら大丈夫。このゲーム内の話で私が疲れている原因なんだけど、最近友人がこのゲームを始めたのよ。で、私と一緒にゲームを久々にしたいからしばらく付き合えっていうのよ。私はそろそろ次のイベントが始まりそうだしギルドとして活動したいからって断ったの。」
「そしていちゃもんつけてきたのね。そして、代表者の私と話がしたいとか言われたの?」
「話というかサイレントちゃんが強いってことをついついこぼしちゃって戦わせろってうるさくてね。」
リアルで全国大会常連の人と戦い、次はゲームでもPKじゃないけどプレイヤーと戦うことになると思うと憂鬱な気分になってしまう。
「その人ってヒビキちゃんの知り合いなんでしょ。プレイヤーと戦うのってPvPだっけ?あと、その人はどんな人なの?」
「一応プロゲーマーで格闘ゲームをメインに活動をしているの。だから、ゲームを始めたばかりといってもプロとしての経験があるからものすごく強いわ。」
このゲームを始めてからサイレントはゲームでご飯を食べて生きている人達について初めて調べた。元々フレイヤからそういった人がいること、ニュースとかでも聞いたことがあるがどういったことをしているのかは知らなかった。
プロゲーマーの収入源はスポーツのプロ選手と大きく変わらず大会での賞金や、イベント・メディアに出演した出演料、企業と契約していればスポンサー収入などといった感じ。
プロとして活躍をしているのであれば大会でも入賞するぐらいの強さはあるはず。
「そうなんだ。私はまだ知らないけど次のイベント?に支障が出なければ大丈夫。」
「次のイベントはかなり大きいものらしいから最初からしっかり準備して臨む方がいいわよ。公式の発表じゃないけど、前編と後編の2つに分かれて実施されるらしいの。前編のイベントをクリアした人たちのみ後半のイベントに参加が出来るらしいのよ。」
イベントが2部構成になっていて最初の1部を攻略できなければ2部の方に参加が出来ない。イベント開始までにどちらも参加するつもりで武器やアイテムを充実しておかなければ前回の時のようにぎりぎりな状態になってしまう。
「アイテムも持ち運ぶ量が限られているけど準備はイベント2回分必須。他は新規メンバーを増やせるのなら増やしつつ、武器もいくつか用意しておかないと。」
「ふふ、ハルもうちのリーダーの眼中にもないことを知ると不機嫌になりそうだわ。次のイベントも発表がないから出来るだけ早めに予定をいれさせるわ。サイレントちゃんはいつでも大丈夫?」
「うん、変な時間帯でもなければ大丈夫だと思う。それなら今日ログアウトしたら伝えておくわ。けど、油断はダメよ、初めて会ったらちょっと馬鹿なやつだとは思うけど意外と考えて行動しているから。」
サイレントとヒビキはそれから十数分の愚痴会を続けてその日は解散ということで、サイレントは新しいフィールドへと散策をしに、ヒビキは店があるからといいログアウトしていった。




