第七十六話
次回からゲーム本編に戻る予定(予定)
知世に呼ばれたと思いきやいきなり肉弾戦という意味のわからないことをさせられて肉体だけでなく精神的にも疲労した美桜は、これ以上疲労しないよう昔の後輩に会わないようにするためシャワー室に案内してくれる黒服のエイダの背中を颯爽と追いかける。
腕などを中心に殴られはしたもののそこまで酷いものではないため特段何かしら処置をする必要はないので安心するものの、主将が手がげんをしてくれたこともある。
だが、この場の誰も知らないが美桜は昔から怪我などをしても一晩経てばほとんど治り切るという異常な回復力があり、本人はそれが普通だと思っている。
無言のエイダの案内でシャワーを浴びて自然に用意されていた着替えをきて更衣室に戻ると彼女は深くお辞儀をしてくる。
「本日はお嬢様のお戯にお付き合いいただいてありがとうございました。お嬢様が美桜さまのことを旦那様にお話をされたところ、信頼できるものなのかを見極めさせてほしいとのことでその見極め役として信頼しているこの学校の総合格闘技部の主将を一任され今日の試合させていただくことになった次第です。」
「知世の父親というと海外の有名企業の起業家で、資産家だったけ?自分の愛娘が知らない人間と仲良くしようとすると警戒するのは当たり前かな。」
「その通りです。しかも、急な呼びかけに対応していただけるのかまで確認をしてこいと申しつけられまして、私としては問題ないと報告をいたしますがあとは旦那様次第です。ですが、問題はないと思います。」
「なるほどね。だから知世は私が絶対に来るように仕向けたってことだね。父親が隠している思惑は娘はしっかり見破って対策しているとは。」
エイダは薄っすらとした笑みを浮かべて
「私はお嬢様にあなたのことを調べるように言われた時に気が付きましたよ。この事は旦那様には報告しないので安心してください。」
「ははは、それはよかったですよ(内心としては、一平民の私が世界トップクラスの富豪一家と関わりを持つことになるのは怖いから程よい距離感でよかったんだけどね。)」
その後は、エイダとその雇い主である知世の父親であるオリバーの名刺を受け取ったら校門まで連れて行ってもらい解散ということになった。
主将に殴られた腕の骨の辺りがジンジンと痛むせいなのか足取りはゆっくりとなってしまう。
「家にシップとか塗る系のものって置いてあったかな?しばらく必要がなくなったから古いのしかないよえね。しゃーない、ドラッグストアに寄って買うしかないよね。私これでも一般的な女子大生なんですけど。」
ここから自宅に向けての道中にあって、飲み物やお菓子などが安いのでよく利用をしているドラッグストアがあるのでそこに向かうことにする。
歩いて数分でたどり着き入口付近に置かれているカゴに手を伸ばすと見知った顔の人の手と当たってしまう。
「ゲッ!麗香じゃん。なんでここにいるの?」
「わたくしがここにいることで何か不都合がおありかしら?それより、最近はゲームにのめりこみ過ぎて出不精になりつつある美桜がいるのは珍しいじゃない。どうしたのよ?ちょっとふらふら、風邪ならうつさないでよね。」
「違うよ。出不精って私はもとからでしょ。ここには塗り薬とかを買いに来たんだよ。さっきまで高校生の部活動を強制的に手伝っていたんだよ。(まぁ、大富豪からの試験だったけどね。)」
「ふーん、あんたは昔から面白いことに巻き込まれているのね。私なんてヒロが風邪を引いたっていうからバイク飛ばしてきたってわけ。で、家から色々持って行ったから補充するために寄ったらあんたがいたわけよ。」
麗香は手で長い髪をなびかせながら、そそくさと奥の方へ入っていった。美桜は彼女の頬がほんの少しだけ紅潮させているのを見逃さなかった。
そして、程よく弄るチャンスだと思い悪い顔を浮かべながら彼女の跡を追いかけていった。
ただ、少しうるさくし過ぎて顎髭が立派なマツ兵士長に似た店長さんに怒られ、店を出た後で脛を蹴りあって解散をした。
幼稚じみた行動を取る彼女らは本当に女子大生なのだろうか?




