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ユートピア・オンライン〜ゲーム初心者の私が世界最大級のオンラインゲームに誘われたら〜  作者: 森の番人
第三章「Welcome, New Travelers」

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第七十五話

「主将は頭突きや肘での攻撃、後頭部への攻撃などを禁止するとダウン中の攻撃は禁止といつものルールを守ってください。美桜さんは頭突きと肘での攻撃、後頭部への攻撃のみ禁止を守ってください。1ラウンド3分の2ラウンドになります。では、試合開始。」


 突然、高校の格闘技場に連れてこられただけではなく、そこで練習をしていた部活動の主将との練習試合が始まったが未だに美桜の頭は混乱している。

 だが、その相手は待ってはくれない。


「さて、知世がおすすめする相手だけど素人だからな。様子見から入らせてもらうよ。」


「あぶ、ない。ちょっとなんか地面と違って柔らかい地面とか突然の試合で混乱しているのに。」


 美桜は素早いジャブに慌てたため反応できず鼻柱に当たり、思わず後退しながらのけぞってしまう。

 そこに更なる追撃はなかったのは、主将が美桜から異様な雰囲気を感じ始めたから。


「てぇな、ド素人に放つ拳じゃねぇな。やっぱ、色々と考えるのは私の性分じゃないみたいだわ。」


 主将は低空姿勢で素早くタックルを繰り出して美桜を押し倒そうとするが、より下から逆に迫ってきた膝蹴りに驚きつつもいつもの練習の成果ともいえる反射で打点をずらして受け止める。

 だが、タックルをした目的でもある押し倒しはそのままできると思い押し込むが、すぐさま両足をがっちりと地面に突き刺したかのように固定した美桜は少し揺れる程度で倒されることはない。

 数年前から筋トレと実践で鍛え上げた下半身は並大抵の攻撃ではピクリッともしないぐらい屈強になっていることを主将はもちろん、なぜだか当の本人すら知らないでいる。

 彼女は喧嘩で倒れこんでしまうと周囲を囲まれてフルボッコにされてしまうことを知っているため、意地でも倒れないよう踏ん張っているうちにということに。


「突然の膝に驚いて十分な威力ではなかったタックルとはいえ、全く動かないとは驚いたわ。」


「そんな見え見えのものは昔何度も見えているからね。さて、今度はこっちからだ。」


 美桜は主将の顔に向けて拳を何度も繰り出すが、上手く威力を削ぐように防がれてまともに当たることはない。たまに顔には当たるものの威力はないのでほとんどない。

 そして、拳を止めたタイミングで顎に目掛けたアッパーが美桜の視界の下から迫ってくるのが見えた途端、前に出していた足に力を入れわずかに後ろにそれる。

 顔の目の前を拳が通り引き戻されるタイミングで反撃に移ろうとしたところ彼女は横から強い衝撃を受けて思わず膝をついてしまう。


「ダウン!主将は下がって。」


「アッパーを躱してチャンスかと思ったけど、死角からのフックなんて。」


「あんたかなり目がいいだろ。あのアッパーは素人なら当たってコンボのフックで止めを刺すつもりだったのだけど、しっかりと見てから避けたのは驚いたよ。」


「知るかよ!」


 何度も美桜は攻め続けてはいるが有効な攻撃にはならず、スポーツ選手でもない彼女は圧倒いう間にスタミナを使ってしまい息を切らせてしまう。

 そこから、主将の反撃が始まるが美桜の方も有効打は一発ももらうことはないところに、鐘の音が響いて1ラウンドの終わりを告げられる。


「美桜様、こちらタオルと水になります。椅子は使われますか?」


 黒服のエイダはリングの端っこに持たれるようにやってきた美桜に声をかけると、タオルと取って汗を簡単に拭き、水を2,3口飲み彼女に返すとぶつぶつ独り言をつぶやき始めた。


「主将、彼女はどうですか?あれで格闘技とか一切やったことがないんですよ。」


「それはすごいけど、それだけよ。パンチの仕方も避けやすい大振りだしあなたが気に掛けるにしては、期待外れもいいところね。」


「ふふ、次のラウンドからかもしれませんよ。」


 インターバルが終わり再度ラウンドの始まる鐘の音が聞こえた。

 2人はリングの中央にやってくると美桜の目つきが最初の混乱しているのから変わり、細く主将をにらみつけるかのようになった。

 主将はそれを気にも留めず速攻で終わらせようと攻撃をしかけていくが、軽快なステップですべての攻撃を避け、捌き無効にする。

 距離も拳を避けやすい距離間を保ち続けて、接近をしようとするのなら相手の踏み込むところへ足を入れて逆に距離を詰めて、お腹目掛けて膝蹴りをするがしっかりと防がれて距離を離される。


(こいつ、急に攻撃を避け始めたかと思ったら私の攻撃より先に移動して出鼻をくじいてくるとは。目がいいとは言ったけど、並みのよさじゃないな。)


(普通に殴っているのは距離を測る、次の攻撃に繋げるため。冷静になれば視えてくるもんだ。あの女狐と比べればこいつからは脅威も感じない。)


 それからは、美桜は異様な集中力を見せつけるかのように主将の拳をモロにはもらわず、知って知らずか蹴りはカットして防ぐ。

 攻撃は最初とは違い徐々にコンパクトになり、大振りをして距離感を見誤っていたのを徐々に修正をしてみせていく。

 元々格闘技をしていてブランクを瞬時に埋め合わせているように見えるが、彼女は素人であることを知っている主将は少しの恐怖と未知への挑戦への高揚感が湧き出ていた。

 彼女は距離感を測っているだけで美桜の軽いだけのジャブを見抜いているため、わざと攻撃をもらい相手が攻め込んできたところへ得意のアッパーを繰り出したところ、美桜はそれをただ防ぐのではなく体を主将に預けることで無力化し慌てて突き放し無謀になった顎へ目掛けて今日最速の一撃が放たれようとしていた。

 しかし、そこに鐘の音と黒服のエイダが割り込んで当たることはなく空を切る。


「お二人ともご苦労様でした。本来の試合形式とは違うだけでなく短い時間ですが、素晴らしいものでした。エイダ、あなたは美桜さんをシャワールームにお連れしてあげなさい。準備した着替えを忘れずにね。」


「了解しました。お嬢様。」


「主将はこの後使うリングの汗など後片付けをしますよ。」


「はぁはぁ。了解した。美桜さん、もしよろしければ、また手合わせお願いしますね。」


「ぜはぁ、ぜはぁ。もうこりごりですよ、やっぱりちょっと運動するだけ体力が底を尽きてしまうからね。私にはリアルでの格闘技は向いてないわ。」


 美桜はエイダに連れられて格闘技場から出ていき、室内には知世と主将の二人っきりとなる。


「やっぱり、美桜さんは面白いかたですよね。お父様が私と仲良くする子がどんな子なのか見てみたいからって試合をさせてみろと言われたときはどうしようかと思いましたけど。」


「あぁ、あのゴリマッチョな金持ち親父か。この格闘技場に寄付してもらうだけじゃなくて、試合会場までのバスの手配や道具とかも出してもらっているからには頼まれたことはしなきゃだけど。」


「全国上位レベルの主将の拳でも、美桜さんはしっかりと()()()ましたね。決して遅いわけでもないのに、予備動作だけで。」


 ()()()()()()()と言われて主将は舌打ちをして椅子にかけてあったタオルで汗を無造作に拭う。

 彼女はただ全国大会に出てそれなりの成績を出しているわけではなく、2年連続ベスト4と上位の中の上位という立ち位置にいるすごい高校生である。

 ただ、2年連続優勝をしている相手に準決勝で負け越しているところに、知世の煽りの利いた言葉が不愉快でしかなかった。


「そうだな、お前は父親にこれで交友関係を認めてもらえるのと、少し気が緩んでいた私に喝を入れれてよかったな。お嬢様は色々と大変でしょうね。」


「私なんて大会で優勝するというすごいことを要求されているわけではないので全然ですよ。さて、お喋りする暇があれば、美桜さんにお礼という形で後輩さんを鍛えてあげましょう。」


「それはいい名案だな。ちょうどむしゃくしゃしていたからな。」


 別に説明することでもないが、美桜の後輩の美香は今日から1週間特別メニューということで夜遅くまで体罰やいじめにはならない程度に十分しごかれたという。舎弟根性はあるが、厳しい練習に耐える根性とは別なので逃げようとするが、お嬢様の黒服に暖かく保護されて無事にボロボロになったらしい。

 主将の方はというと次の全国大会で、2連続黒星を付けた相手にKO勝ちをして全国大会を優勝したという。夢だった優勝に喜びと支援を打ち切られなくてよかったという内心ほっとしていた。

 また、将来はプロとして世界的に有名な選手となるらしいがこのお話とは関係はない。

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