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ユートピア・オンライン〜ゲーム初心者の私が世界最大級のオンラインゲームに誘われたら〜  作者: 森の番人
第三章「Welcome, New Travelers」

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第七十四話

「さて、着いたのはいいけど恐らくあの黒服の女性が案内人だよね。むっちゃこっちを見てくるのはなんだか気まずいな。」


 美桜は知世に指定された場所に向かった先で、身長の高くびっちり黒いスーツを着込んでサングラスを装着したボブカットの女性が後ろに手を組んで待ち構えている。

 威圧感を感じるのとあの状態で長時間を待たせるわけにはいかないだろうと思い走って女性の前まで行った。


「お、お待たせしました。知世さんの黒服の方で間違いないでしょうか?」


「ええ、知世様のボディガードを務めていますエイダと申します。お嬢様は既に学び舎の格闘技場でお待ちになられています。では、さっそく向かいましょう。」


 黒服のエイダさんの後ろについて校門に続く道を歩いて、途中の分岐した近くの山へ続く坂道へ進む。

 学校自体は大きく開けた平地に立地しているのだが、エイダさんがいう格闘技場自体は山の上にありそこらの市営の建物より立派なつくりをしている。

 近づくにつれて学生たちの練習の声掛けと床を踏みつける音が軽快に聞こえてくる。


「休みの日でも朝から練習をしているのですね。昼近くまで寝ている私とは大違いですね。」


 返答を期待しているわけではなく独り言をいったつもりだったのだが、エイダから返事あった。


「日本でも大学生は昼まで寝ていることがあるのですね。しかし、高校生のうちから朝早くからここまで熱中できる何かがあるのは正直羨ましい限りです。」


「エイダさんは私みたいにだらっとした生活をしていなさそうなイメージですけど。今みたいにスーツをばっちし決めていて恰好いいですし。」


 彼女の鉄仮面を装着したような無表情が口の端っこを少し吊り上げた。


「ありがとうございます。私はお嬢様と比べればかっこよさは足りませんよ。ほら、着きました。お嬢様は第二格闘技場にいらっしゃるとのことです。あちらです。」


 しかし、美桜は淡々と返答をされてしまい美桜はそれ以上言葉を発することが出来ず喉に何か詰まったかのように感じた。

 これ以上何も言えずにエイダの黒い背中を追いかけていくと玄関にたどり着いた。


「ここからは土足厳禁のため、こちらのシューズをお使いください。靴のサイズはぴったりだと思いますのでご心配せずに。」


「、、、、靴はありがとうございます。いつ調べたのかは聞いてもいいですか?」


「独自の調査法でとだけお伝えします。こちらです。」


「私の個人情報ってどこまで漏れているのやら。うわ、本当にぴったり過ぎて怖い。」


 建物の中に入ってみると外とは違う湿った暑さが肌に伝わってくる。

 エイダについていった先には格闘技用のマットが敷き詰められている部屋にたどり着いた。


「はい!もう1セットやるぞ。美香、こっそり裏から逃げようとするんじゃねぇ!!」


 入った途端怒号に近い声が飛び込んできた。体育会系の熱が籠っているのは美桜にとって苦手な相手によく似ていてつい溜息がこぼれてしまう。

 だが、数秒間先ほどの声に含まれていた名前について考えハッ!と気が付いて身を見開いて確認して、考えたことが現実だったことについ口が開いたまま閉じなくなってしまう。


「あ!()()()()()()()じゃないですか!?なんでこんなところに?」


 彼女は美香。中学生のころやんちゃしていた時、いつも後ろに引っ付いてきていた年齢はあまり知らないが年下のであったこと、そして美桜よりも身長が頭一つ分高いことが記憶にある。

 「私は美桜先輩の第一の舎弟です!」と元気よく周りに宣言をしている程、彼女の舎弟に命を燃やしていた。事あるごとに美桜の傍にいることから桜犬と本来とは違う意味でそう呼ばれていた。


「ここ、お前の学校だったのか。そして、後ろの怖そうな主将?のところに早く行ってこい、命令だ。」


「了解しました!主将、そんなところで何しているのですか?練習しますよ。」


「ぶち殺されたいのかてめえは?みんなより2倍でしごいてやるからついてこい。」


 やはりアホの犬だ、と美桜がそう思っていると主将と呼ばれた女の後ろから見知った顔である知世が現れた。さっきまでいなかったが今までどこに行ってたのだろうと思ったが、手には指のところが空いているグローブやひじ当てなどの防具を持っている。


「お嬢様、お客人を連れてまいりました。理事長には許可を取られていますか?」


「大丈夫よ、快く許可をくれたわ。それで、ようこそ我が学校へ美桜さん。」


「ここに来ることを強要させた癖に何を。で、今日は私に何をさせるために呼んだの?」


 すると、知世は美桜を品定めをするかのように一瞥した後


「主将さん、例の話の相手が彼女なんです。これから簡単な試合をしてもらえませんか?」


 高校生としては異常なくらい体を鍛えられて腹筋が割れているのが見える格闘技女子と戦えといきなり言われた美桜は「私のようなひ弱な女子大生とこのプロっぽい人とって一方的なのでは?」と戸惑っている。


「ふーん、なるほど。企みはよーくわかったわ。あんたが推す相手なら練習になるだろうからやってやるわ。」


「私の意志は無視ですか...」

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