第六十一話
「砦の兵士たちよ隊列を組みなおすのだ!スリーマンセルでモンスターの猛攻に備えよ!疲弊した組は後方の組と交代をして戦線を維持をして徐々に押し込んでいけ!」
兵士長の号令のもと、橋でバラバラとなっていた兵士たちは一斉に押し込まれていた戦線を維持することに成功する。
一人一人がモンスターとのステータスの差があるものの束になってローテーションを組むことで一匹ずつ確実に倒していっている。
「やれば出来るじゃん。というか兵士たちって下手なレベルのプレイヤーよりも強いし。ここの戦いだってモンスターが後から後から出てくるから押されているだけ。ゲームじゃなかったらここまでモンスターが無限に湧いて出てこないものね。」
さて、私としてはこの状態が維持されることでモンスターの指揮系統を握っているやつから隠れることが出来るからいいけどね。
「耳長二足歩行恐竜はあそこだからここから行くならこの角度でいいよね。あとはこいつの推進力?に指向性っていうんだっけ持たせるためにもいい感じに穴を掘っておこうかな。ゲームってリアルみたいに地面に穴を掘ることも出来るってすごいよね。」
ギルドを結成してから思ったのがギルドホームの購入したら畑も合わせて購入して何か育てたいと思って先走ってスコップを買っておいたのが功を奏した。
この辺りの地面はそれなりに硬いのだが馴染みの鍛冶師からバフが付与されたものなのでさっくさく掘ることが出来る。
『工作能力上昇』ってバフ。戦闘以外時に発動するらしく今は誰とも戦闘はしていないので使う放題
。
「これで穴の方はいいね。腰にもものはある。よし、やってやるか。久々に劣勢の状態から覆すな。昔のことを思い出して見境なくなることだけはないようにしないとな。」
一度深呼吸をして心を戦闘態勢に切り替える。徐々に空間認識をする感覚が鋭敏になって戦場の音がよく聞こえてきた。
兵士たちが戦力差に徐々に押されて後退してきていてモンスター達はそれを感じて前に前に押してきている。一刻も早く橋を渡りきることにしか意識が向いているようだ。
「ステップ1、爆風で拮抗した戦場を飛ぶ!」
穴から少し離れた位置から穴に向かって走りだして装備した盾を正面に構えたままそこに思いっきり倒れて込む。ルイスから拝借した爆弾を入れたアイテムは盾で押しつぶされて起爆する。
指向性を持った爆破とカイン製の頑丈な盾がぶつかって作用反作用で私自身が宙に飛ばされていく。
「おぼぼぼぼ、思ってた以上に反動がああああああ。」
飛ばされた先はこのステージのボスのところではなく少し離れた橋から外れたところだ。
馬鹿たちの支持をしているカイトがこちらを見て大きな口を開いた。
「ボスから完全に逸れているじゃねぇかよ!作戦失敗かヨ!」
「勝手に作戦失敗っていうんじゃねぇよ!この私の職業は忍者よ!」
腰に付けていた鉤縄を振り回して投げて橋の防護柵に鉤を引っ掛けるそれであとはターザンロープの完成。水に入ることが出来ず目の前の敵をなぎ倒すことだけで頭がいっぱいになっているやつらがこっちを邪魔することなんて出来はしない。
そのまま橋の反対側にいるボスモンスターのところに到着ってわけになる。
「よお!散々後方から指示だけ出して砦の兵士たちをいたぶってくれたな。お前が強かったら前線でやつらを率いているだろうが違うってことはお前自体は弱いんだろう?」
ロープから飛び移った先はボスモンスターの少し細身の背中で抱き着くよう密着した。
盾は爆発をモロに受けたせいで耐久値がかなり低くなってもうすぐ壊れてしまうだろう。その場に投げて捨てていつもの短剣を装備しなおす。
ボスモンスターは私を振り払おう体を震わせてくる、まるでシャワーをして体中の水分を飛ばそうとする犬のようだ。
「ぼやぼやしている場合じゃない。さっさと終わらせてしまわないと落ちてしまう。『グローイング・スラッシュ』」
『グローイング・スラッシュ』は連続でスキル『スラッシュ』を放つ技だが一撃目は普通の剣で斬りつけるのと変わりはないが連続で斬りつけることによって威力が徐々に上がっていく。途切れないことにより段々と成長を続けて威力を上げて成長していく技。
こんな風に無防備なモンスターの背中でもない限り十分な効果を発揮しきる前に邪魔をされて中段されてしまう。
「さっさと落ちてしまえや!こちとら時間をかけすぎるとギルドホームのための資金稼ぎに影響するじゃ!」
燃やせ!最近調子に乗ったルイスに対しての怒りを一撃一撃に込めて相手が力尽きるまで斬り続けてやる!あの野郎!フレイヤが圧倒的に怖いからって他のやつが怖くないっていうのか!
「私以上のくそ陰キャやろうが!さっさとくたばりヤガレや!!」
イベントのボスモンスターであるから耐久力もあって強いかと思っていたがHPは意外にも急激に減っていき爆散していった。
ルイスに対する怒りはまだ発散できずにいるのにどうしよう、剣を持って振り上げたままの腕の降ろし時を見失ってしまった。
「あれを見よ!我らが冒険者どのがモンスターの親玉を討伐なされた!今こそ戸惑いを隠せぬモンスターを一掃するとき!皆のもの残党を殲滅せよ!」
ちょび髭の兵士長がどこから取り出したのか赤色の刺繍を施され大きな鳥が描かれた旗を掲げて叫んでいる。砦とは反対にいる私からでもよく見えている。
「あの鳥って不死鳥だよね?ここの兵士たちの集団の名前って不死鳥の騎士団とかなのかな。というかボスモンスターを倒したら取り巻き達が一斉に帰っていったんだけど、これでステージ2はクリアなのかな?」
先程まで橋を埋め尽くすように大量にいたモンスター達は自分たちを指揮するリーダーを失ったことでお家に帰っていった。
一匹のカリスマに頼り切っている集団はそいつが潰れたり去っていくと残りのもの達の集団は簡単に瓦解していくのはモンスターでも同じらしい。
『ステージ2クリアしました。最終ステージ3に移行します。現時点、ステージ2 19番目のクリアパーティーとなります。』
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