第五十七話
「ねぇ、こっちで場所は合ってるの?聞いているの?私の声が聞こえますかぁ?」
「うるさいよ!ここがどこだかわからないからこうやってみんなを探しながら、マップを把握しているの。」
イベント開始直後にモンスターに襲われて一緒に行動するようになった魔法少女を否定する魔法少女は心配性なのかずっと喋りかけてくる。
少し無視すれば大人しくなるかと思ったのだが一向に止まる気配がないのでつい苛立って応えてしまった。
「そうだったの?なんだちゃんと考えているなら最初から言ってよ。私は考える担当じゃないからどうしようと思ってたよ。」
(わざわざ私何も考えないから考えてよみたいなコトを平然と言えるなんて。私の苦手なタイプの人だわ。)
まず最初に出会ったプレイヤーが彼女って今日の運勢はかなりやばいのかな?と思いつつ走り回っていると戦闘音が聞こえてきた。
NPCなのかプレイヤーなのかはわからないがとりあえずこの女と2人っきりな状況から抜け出したい。
「ヒビキさん、そっちにモンスター流れてしまいました。」
「了解。フォローするわ。」
この声はあのプレイヤーキラーに襲われていたハヤトと、我らが頼れる姉御のヒビキちゃんだ。
「あ、ハヤトくんだ。あとオカマの人だ。」
「あー、言っても無駄だけど思うけどオカマ以上に力強くて、女性以上に魅力的な姉御だよ〜。」
思った通り彼女は私の話を聞くことなく男の方に向かって走っていくが、ヒビキちゃんに向かっていた四足歩行のモンスターがターゲットを不用心に近づく魔法少女に変更した。
体のみ急な方向転換をしてブレーキをかけ、飛びつくかのように少女に噛みつこうと襲いかかっていく。
『ハウル・チェーン!』
ヒビキちゃんがメイン武器のハンマーの補助スキルを発動、地面から生え出てくる鎖が少女に襲いかかるモンスターに絡みつき行動を阻害する。
そのスキルで速度が低下したモンスターに向かって腰の剣を握ったまま少女とモンスターとの正面に飛び出す。
『アサシン・バイト』
目でしっかりと弱点らしき首を捉えてからのスキルアシストありの高速抜刀で一撃でHPを刈り取り爆散させる。
敵の急所らしきところを凝視してスキルアシストで抜刀を円滑に行なう職業と短剣の合わせ技だ。
「あ、仮面女子。俺が仕留めるはずだったんだけどすまない。」
「あ、うん。そんなことよりこの魔法少女を早く回収して。めんどくさい子なんで私には手が負えないからさ。」
「あ〜、うちのものがすみません。」
「私は魔法少女じゃないし、ハヤトくんも否定してよ。」
少し涙目になりながら男に向かって両手を広げて抱きつこうと走っていく魔法少女は高校時代の陽キャの百合カップルを見ているようでなぜか腹の底からムカっとしてしまう。
「サイレントちゃん、新しいスキルカッコよかったわ。見たことなかったけど、新スキルかしら?」
「う〜ん、忍者のスキルと短剣のスキルを上手いこと合わせて使っているだけなんだよね。言うなればシステム外スキルとか?」
「なにそのかっこいい言葉。サイレントちゃんにしてはセンスあるわね。」
「何も言わないよ。怒っているなんて言っていないからね。」
「冗談よ、冗談。」
「あの〜、お二人さん。モンスターまた来たんで行きましょう?」
ハヤトにそう言われて、周りを確認してみると先ほどと同じ四足歩行のモンスターが複数体、その中に異様にデザインが凝っていることがわかる。
他と違うでデザインというのが胴体部分が地面スレスレなぐらい低く、遠くから見てもわかるぐらい全身光沢のある鱗を身にまとっている身体改造をされたワニの見た目をしている。
ドラマとかでも有名俳優が起用されていたりしたら何かしら伏線だったり犯人だったりするわけだが。
「あれ絶対にこのイベントのボスモンスターでしょ。」
「そう思わせて実は地味なのがボスが最近の主流だと思うに一票ですぞ。」
「ルイスいたんだ。そんなことよりもこの拠点を防衛するためにあいつら倒さないと。」
ルイスが存在感を消しながら接近していたことには気がついていたのだがあえて無視をしていた。その方が面白いと思っていたからだ。
彼だけではなくハヤトの仲間とソフィアも一緒に来ていたのでこれでイベントメンバー全員揃ったことになる。
「よし、ルイスは遅れた罰として特攻して爆散してきて。みんなは私のギルドとそこのプレイヤーキラーホイホイのギルドと分かれて戦うよ。君達はどっちとやる?」
「え、どっちってボスか取り巻きかってことだよな。人数としてはこっちが多いから俺たちは取り巻きを担当するよ。」
ハヤト達が取り巻き達を相手をして、私たちがボスもどきを相手することに決定。
さっさと倒さないとこの拠点のNPCがどんどんやられていって、イベントの結果も悪いものになってしまう。
そうなると今回イベントに参加した目的である金策に影響が出てしまう。
「よし、ルイスの特攻でさっさと終わらせようか。」
「「了解、リーダー‼」」「拙者は特攻なんて嫌ですぞぉ‼」
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「お、終わったですぞぉ。」
「はい。終わりましたけど、耐久力がとても高かったですね。ルイスさんの状態異常アイテムとサイレントさんのスキルがなかったらもっと時間がかかるところでしたね。」
ソフィアは小さくガッツポーズをとってすぐさま顔を真っ赤にして後ろに手を隠す。
それにしても2人の言う通り、敵の耐久力が高すぎてルイスがこのイベントのために相手に状態異常するアイテムを作成してきていて、私の忍者のスキル『意趣返し』で状態異常の敵へのダメージの増加でダメージを与えてなんとかというぐらいだった。
『ステージ1クリアしました。ステージ2に移行します。』
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・少女は魔法を夢見る
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