第四十八話
「さて、諸君呼びかけに応じてくれてどうもありがとう。若干一名、元気がないのは無視して結構。」
「うう、拙者あさイチで並んで買いたいものがあったのですぞ。」
ルイスが机にうつ伏せて泣いているようだが、連絡しても一切出ないのが悪い。リアルでの連絡はメールだけしかないのだが、『黙ったままならフレイヤを仕向けるゾ』と一言言うだけでやってきてくれたギルドを思う優しい人なのだ。
ソフィアは起きたばかりなのか眠たそうに瞼を擦っているのだが、それだけで絵になるのは心の中だけで称賛を送っておこう。
「今日この場に集まってもらったのは何かわかるかなルイス。」
「このカフェを存分に楽しんだ後のお代を誰が払うのか決めることですかな?」
「ごちになります、ルイス。」
「「ごちになります!!」」
「拙者が払うのは決定なんですぞ!?」
「えー、ルイスはバカなので気がつかないので罰としてここのお代はルイス持ちなのは集まった時から決定です。それで、本題はギルドの拠点を購入したいのですが、お金が足りない問題についてです。」
ヒビキちゃんを除いた2人は元気よく拍手を送ってきてくれる。ギルドを結成した定番なことがやってきたということで嬉しいのだろう。私も嬉しい。
「お金が足りない問題は、頭の足りない私が考えても仕方がないので我がギルドの姉御であるヒビキちゃんが考えてきたとのことらしいです。どうぞ。」
「ここで私の出番ってことね。まぁ、簡単にお金を稼ぐのにうってつけのものが近々開催をするのよ。それがギルド、大規模パーティー対象のイベントね。このゲームで拠点を持っている人が意外にも少ないらしくてイベントに参加して結果に応じて拠点に対する費用が割引されることがつい数日前にわかりました。私たちにうってつけじゃない?はい、拍手。」
拍手を送るのはいい。けど、
「肝心のイベント内容はどうなの?大規模パーティーとかなんとか言っていたけど。うち4人しかいないぞ。」
「そこは心配なくってよ。小規模ギルド同士で集まって大規模パーティーと同じ人数ぐらいに揃えるそうよ。」
そう答えが返ってくるとソフィアが勢いよく手を挙げる。
「一緒にパーティーを組むことになる相手は自分たちで決めれるの?」
「いや、そこはイベント開始時にランダムで決定されるそうよ。ゲームバランスを考えるって書いてあったわ。」
「つまりは当日まで作戦も何もないということですぞ。」
ルイスはそうは言うのだが、作戦だけが何もないと言うだけだ。
「とりあえずは、私とソフィアはレベル上げと新しいスキルの習得をしていくことと、装備をグレードアップすることかな。ルイスはイベントに向けたアイテムの作成、ヒビキちゃんは私たちについてきて手助けをお願いするね。」
「サイレントちゃんもリーダーらしくなってきたわね。了解よ。イベントは早くて2週間後だからそれまでは各自やるべきことをリアルに支障が出ない程度にやること。そして、ルイスは特にだけどお金の無駄遣いはすることないように。」
「「「はーい。」」」
「それとサイレントちゃんはソロで中級のダンジョンを回った方がいいわ。その方がモンスターの数が調整されて効率よく倒していけるわ。」
「ダンジョンって初心者用だけしかいっていないからほかのところはわからないのだけど。」
フレイヤとヴァンと一緒に新緑に行ったきりで、街と街を繋ぐ道ぐらいしか行ったことがないのでちょっとワクワクする。けど、ソロでダンジョンをクリアなんて出来るのだろうか?
「第三の街から行ける砂丘にあるダンジョン『神秘が眠る墓』っていうところがいいかも。ピラミッドが砂の中に逆さまで埋まっていて下まで突き進むの。」
緑が溢れたダンジョンの次はその逆の緑がなさそうなダンジョン。
しかも、ピラミッドみたいなところであるとなると、出てくるのはミイラとか蝙蝠とかなのかな。いやいや、ファンタジーな世界で墓なのだからアンデッドとか墓守とかかもしれない。
そう想像を膨らませていると
「そうそう、拙者もそのダンジョンには何度か行ったことがあるのですが毒が恐ろしいほど使ってきましたぞ。それもかなり強い毒を。」
強い毒?状態異常としてHPがじわじわと減っていくのが毒とは聞いてはいるのだけど、ゲームの世界で毒に強い弱いとかあるの?
「サイレントちゃんとソフィアちゃんがキョトンとしているから教えるわね。毒とか麻痺などの状態異常にはレベルがあるの。」
話を聞いてみるとこういうことだ。
状態異常には現在3段階に分かれているらしい。レベル1、レベル2、レベル3とレベルが上がるほど効果が高くなるらしい。
毒に関してはレベル1では、HPが1秒ごとに現在のHPの1%が減っていくらしい。HPが高ければ高いほどダメージを受けると。レベル2になるとその効果に加えて精神力とスタミナに悪い影響力が加わるらしい。レベル3になるとレベル2の効果が倍以上の効果になり、行動阻害も入ると。
状態異常はレベルが高いほどこちらが不利になることが多く出てくると。
つまりは、状態異常は受けるなってことらしい。
「けど、どうしても状態異常をもらってしまう場合があるでしょ。だから、アイテムで回復する手段を用意しておく必要があるわ。だから、今私が持っている毒回復のアイテムを渡すけど少しは買い足しなさいよ。」
そういうとヒビキちゃんはアイテムボックスから『解毒薬Lv1』と『解毒薬Lv2』を同じ量を渡してきた。見た目はかなり毒々しいので逆に飲むと毒状態になってしまうのでは?と思ってしまった。
「ソフィアちゃんは私と新緑のダンジョンに行きましょうか。後衛職なのでソロでダンジョンに行くのは難しいからね。」
「それじゃ、みんなのやることが決まったところでイベントに向けて頑張りましょうか。」
前に大きく手を伸ばすとみんなそれに手を重ねていくので声掛けをする。
「ギルド拠点に向けて各自やるべきことをやるぞ!」
「「「おう!!!」」」
手を前に出したのはただ体を伸ばしたかったからだけど、まあいいか。なんかうまい具合にまとまったので。心の内にそれはとどめておこう。
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