第四十六話
「そうでしたの。娘がゲームの中でも美桜さんにお世話になっていると。」
「そうなのママ。美桜は接近して敵の攻撃をサッと躱して弱点にカウンターをきめるの。」
「ははは、何度目だよその話。」
カフェに連行されてから既に2時間近くになろうとしている。
目の前の美人外国人の親子はずっとこちらに向けてマシンガンのごとく話を振ってくるが既に何度か同じことが飛んできている。近所のおばちゃんを見ているようだ。
あーそろそろ工事も終わっているかもだし帰ってゲームをしたいわ。
「パパに言われてやったけど、日本に来て一番最初に知り合えたのが美桜でよかったわ。」
「ソフィア、ゲームではおしとやかなのにリアルだと違うんだ。」
「向こうでもこんな感じだったし、ゲームでは右も左もわからないのにガンガン行こうぜみたいにはなれないわ。」
「ふーん、なるほどね。それでお父さんの影響ってことだけど、仕事関連ってことなの?」
「そうよ、パパはオーディンっていう会社の社長兼会長?なの。ユートピアの資金提供で1,2を争うの。」
「ブファオ、、、、。」
ルイスが前に言っていたことを一瞬で思い出した。
世界で有名な企業といえば道行人に聞けば3人に1人は答えるであろう資金力の化け物、開発力も世界相手に戦えるところだ。
そこの会長の娘と奥さんってことだ。
あれ?私って本当に主人公になったのかな。麗香なら「主人公補正強強だね。」とか言ってそう。
「大丈夫?紅茶をすっごい勢いで噴き出したけど。別のところに入ったのかしら?」
「あ、すみません。ちょっと企業名を聞いて驚いただけなので。」
「ああ、夫がどこで働いているか知らないとなればそういう反応にもなりますね。」
「驚きはしたのですが、普通の女子大生の私にはどのぐらい凄いのかまではわからないですけどね。」
お嬢様とは思っていたが世界的大企業のお嬢様とは恐れいったわ。麗香の親について初めて知った時も驚きはしたけど、それ以上のインパクトがあるとは。
「ま、ここでどれだけ飲んだり食べたりしても懐が寂しくなるわけではないのでお気になさらないでください。」
「いや、飲み食いは十分です。」
「遠慮しないでいいのですよ。ソフィアも無事に探していただいたのですから。」
うーん、この人と会った時から色々と違和感があったから関わりたくはなかったんだけどな。
その違和感の正体も先程紅茶を拭いたときにようやくわかったことだし。
「2時間近くここにいて、それなりには頂いているのでお腹は既にいっぱいいっぱいです。なので、ちょっと質問があるのでそれを答えて頂ければお開きにしましょうか。」
「美桜、そんな質問なんて他人行儀ないい方しなくてもいいのに。」
「まぁまぁ。私が聞きたいのは普通のことだから。お2人はなんで日本、それも都会でもない普通の街に引っ越してきたんですか?」
「「それはね、、、。」」
「それは?」
「私のお兄ちゃんが今年中に立ち上げ予定のオーディンの日本支部の支部長になるから一緒に来たってわけ。あとは、資金提供しているゲームについて知っておけってことでゲーム人口がトップクラスの日本がいいんじゃないかなってことできたの。」
「、、、、なるほどね。OKありがとう。」
「それじゃ、そろそろお開きにしましょうか。あの子も仕事が終わって帰ってくる頃だろうし。」
「お兄さんが家に帰ったのに誰もいないと寂しいですもんね。私も帰って家のことをしないといけないからね。」
席を立って会計に行くと、ミシェルさんがブランドの財布から照明を反射するほどのブラックカードを取り出して一括会計をしてもらった。
大学生で一人暮らしであるならおごってもらえるときには素直に奢ってもらうのが一番である。
店を出ると2人とは帰り道が逆であるということでここでお開きに。
「美桜さん、今日はありがとうございました。今度はカフェではなくてお家にいらしてくださいね。」
「美桜が私たちの家のお客さん第一号になってほしいな。」
何の裏もなさそうな2人の笑顔はこちらの目が潰れそうになるわ。
「わかりました。それでは今度は3人だけで楽しみましょうね。あ、お兄さんがいても大丈夫ですけどね。それじゃ。」
今度は本当に3人だけで楽しみたいものだね。そうじゃないと落ち着いて話も出来ないものだからね。
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「ママ、美桜気づいていたみたいね。周りの状況を把握出来るのはゲームの中だけだと思っていたけどリアルでもそうだったのね。」
「ええ、ソフィアはいつも周りの状況把握できずにどこかに行ってしまうことがよくあるのにね。美桜さんどこで私たちのボディーガードが少し離れたところにいるって気が付いたのかしら。カフェ中かしら?」
2人の前には日本で見かけることなんて滅多にない黒塗りの高級車が止まる。
中からスーツを着てサングラスをかけたガタイの良い屈強な女性が下りてきて扉を開ける。
自分から扉を開けることが普段からなく、開けてもらうのが当たり前なのだろう。
「案外、ママと会った時からかもよ。」
「そうかもしれないわね。でも、予定とは違ってソフィアが本当にどこかに行くからコンビニの前で一人焦ったのよ。」
「それがよかったのかもよ。ママ、演技下手くそだから。ちょっと待って。ママの拳ってプロ並みに痛いから手を降ろして。今度から気を付けるから。」
2人はたまたま街に繰り出していたわけではない。
ミシェルとその旦那が資金提供兼技術提供をしているゲーム、ユートピア・オンラインのイベントでの裏ボスを討伐したと言われるプレイヤーとソフィアが仲良くなったこと。
さらに、開発部長から報告に合ったプレイヤーでもあり、将来有望であることから一度リアルで会ってどんな人物か見極めに来たという事。
その結果としては、
「私としてはソフィアとはいい友人に慣れそうだし、平和慣れした日本という国では面白い人だと思うわ。鍛えてあげれば色々と光るものもありそう。」
合格ということらしい。
「ママが鍛えるってなるとプロの選手でも悲鳴を上げるからダメだよ。私の日本での友人だから優しくしないと。」
「あら、優しくするつもりよ。けど、これからどんな風に成長するかによって鍛えるかどうかはわからないけどね。」
彼女ミシェルは、企業としてはアドバイザーとして活動しているが本来の仕事は格闘技の師範をしている。プロの女性格闘技者が弟子入りをしたいと言うが大半が開始1週間以内で辞めていくので、『悪魔師範』と恐れられている。
そんな親に育てられたので知世はゲームでも動ける支援職として立ち回ることが出来る。
本来であれば、彼女たちに護衛はいらないのだが、万が一ということがあるのでミシェルの教えを生き延びた生徒がボディーガードをしている。
「さて、運転手さん。お家までお願いね。」
「かしこまりました。それで出発いたします。」
美桜は麗香とは別のベクトルで恐ろしい人物に関わってしまったことは知りはしないものの、今後様々な試練をぶつけられることを今は知らない。
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ボディーガードと美桜が喧嘩?したらどちらが強い?
→ 4:6の割合で美桜が勝ちますが、正々堂々と勝負すればボディーガードが9割勝ちます。
リアルファイトでも美桜は十分に強いですが、プロと戦えば流石に勝つのは厳しいという至って普通のリアル世界の設定のつもりです。
ちなみにミシェルの弟子は女性の割合がほとんどなのはミシェルによるものではなく師事した男性の弟子の方が圧倒的に逃げていくからだそう。
怖いね。
他の作品のURL
・Dear Labyrinth_親愛なる迷宮_漆黒の影と神の使徒
https://ncode.syosetu.com/n8193fh/
・少女は魔法を夢見る
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