第四十五話
「いや~、歩いて10分ぐらいでもうそれらしき人がいるわ。知らない人に『こんな子知らないですか?』なんて聞いて回らないといけないかと思ったよ。」
美人の子持ちの女性に助けを請われて、金髪の子供を探すことになった。
顔写真を確認して、自分が来た方向とは反対にいるのではと思って散歩がてらの人探しをすると思ったよりも早く見つけることが出来た。
遠くからでも周りの人より頭一つ分高いのと金髪であることからすぐにわかった。
「もしかしたら、すれ違ったおばちゃんに聞けばもっと早く見つけることが出来たのかも。過ぎたことは仕方ない。」
彼女はこの周辺で一番品ぞろえがいいとカフェで隣の席の人が言っていたところだ。
その店頭に置かれているボックスに店長のおススメとポップがついている雑誌を夢中になって読んでいる。その立ち姿はどこぞのモデルなのではないかと思わせる。
店前を通るおじさんや学生は鼻の下を伸ばして通り過ぎていく。同じ立場なら気持ち悪いとしか思えないな。
ここで彼女を眺めているだけだとただの変人だし、あの女性も今も心配して探し回っているだろう。
「ちょっとあんたいいかな?」
「すみません、ちょっと今手が離せなくて。財布も忘れて買えないので、時間までに読まないといけないのです。」
あの女性が困っていたということは時間までにとか言いながらとっくに時間が過ぎているということだろう。こいつ、熱中すると時間を忘れるようなタイプだ。
「とりあえず、あなたの名前は知世さんで合っているかだけはまず教えてくれないかな。」
「知識の知にワールド、世界の世の知世です。、、、、、。ユートピアのアップデートの情報がこれには載っていないのか。」
「とりあえず、連絡をしておくかな。時間という概念が欠落している人の母親に。」
先程、もらった連絡に電話をかけるとすぐさま応答があった。
『もしもし、先程の方でしょうか?』
「ええ、そうです。あなたのお子さん先程のコンビニから私が向かった方向にある本屋で立ち読みをして今も時間を忘れていますよ。」
『あの子、本だけは夢中になると時間を忘れてしまうのよ。すみません、これから向かうのでまたどこかに行かないように見張ってもらえませんか?』
「わかりました。それではお待ちしてます。ってことであんたはそこで親御さんが来るまで雑誌を読むだけにしておきなよ。」
「、、、、。」
このお嬢様をぶん殴ってやりてぇ。お嬢様と言ってもソフィアとは大違いだ。
佇まいから行動全てが上位互換。全然違うね。
それからしばらく待っているとこの子の親の女性がやってきた。
「ほんとうにすみません。娘を探していただいてありがとうございます。ええとお名前はなんていうのでしょうか?」
「そういえば名乗ってませんでしたね。美桜といいます。この辺りにある大学で学生をしています。」
「みおさんですね。何かお礼でもしたいのだけど、、、。」
「お礼なんて。私はちょうど暇をしていたので人助け出来てよかったのでお礼は結構ですよ。」
「いえ、お礼をしなくては家名に泥を塗ることになるので。ソフィア!あなたが時間を守らず人様に迷惑をかけているのになんでさっきと違う雑誌を読み始めているの!」
「時間なんてまだでしょってママ!やってしまいました。」
なんだろう。この残念な人は。
「まぁ、お礼というならそこら辺で何か昼ご飯のようなものでも。というかソフィアって娘さんの名前は知世さんではありませんでしたっけ?」
「ママは私の名前をソフィアとしたかったらしいですけど、パパが知世って名前に決めたんですよ。何かおかしかったですか?」
ソフィアと呼ばれた女性は雑誌を渋々ラックに戻してそう答えた。
最近、その名前の女性プレイヤーと出会って同じギルドに入ったので少し驚いたが、ソフィアなんて名前はプレイヤーならたくさんいるだろうと思った。
「なるほど。最近やっているゲームで同じ名前のプレイヤーと仲良くなったのでちょっとね。」
「へ~、あなたもゲームをやるの。私もソフィアって名前でゲームをしているの。最近、パパの仕事関係でやらされているのが本当だけど、ギルドにも入れてもらえて楽しいの。」
いやいや、こんな漫画のような展開が目の前で起きようとしている。ソフィアで最近ギルドに入ったなんていうプレイヤーが何人もいるわけがないとは思う。2人ぐらいはいるのかも。
聞いてみようか。
「そのギルドって『色彩の集いていう名前だったりして。」
「え?ゲームとリアルでストーカーでもされてますか?警察、警察。」
ソフィアは親から携帯を奪うように奪取すると本当に警察に通報をしようとし始めた。
「待った!待った!私だよサイレント。ギルドマスターの。」
危ない。大学で有名になってしまうか中退することになりかけた。
「サイレントさん、なんて偶然かしら。ママ、この人ゲーム内で私を助けてくれたすごく強い人なの。あそこのカフェで色々お話しましょ。」
そういうと小走りで少し離れたところにある有名チェーン店のカフェに向かっていった。なんだか、戦闘中にうずうずしだして杖で殴るために走り出していたソフィアを思い出す。
「お母さん、私たちもいきま、、、」
「何をしているんですか?早く行きましょう!あそこのカフェのランチタイムが美味しいんです。早くしないと終わってしまいます。」
「行動は親子そっくりなんだね。ツッコミ担当が欲しいわ。」
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