第三十四話
「なんでかあの女の子に好かれてしまった。」
不健康そうな顔をした未成年っぽい学生の女の子に『お姉さま』呼びされるという、リアルでたまぁにそんな子に好かれることはあったけどゲームの中でも同じことが起きるなんて。
しかも、ちょっとだけ会話しただけで好かれることは今までに一度もない。おそらく詐欺か何かだろう。
「フレンド申請はしたけど、すぐすぐに関わることはないだろう。」
そう思いながら古代の廃工場の出口付近まで歩いていく。
この工場内の敵は奇妙な紋様を施された少し大きい鉱石が複数集まった塊が少し宙に浮いているような不思議な存在がモンスターであった。
鉱石であることから剣で斬ろうにも叩き斬ることになるように耐久性がものすごく硬かった。同じ個所に何度か攻撃を仕掛けるとその鉱石が壊れて中に薄っすらと発光している何かがむき出しになる。それを攻撃すれば鉱石が崩れ落ちて倒すことが出来る。
しかし、それがむき出しになる前に崩れ落ちて倒しきることもあった。
紋様は様々な形をしていて、そんな種類によって攻撃性が変わっていた。硬い鉱石を押し付けるかのように体当たりしてくるやつや、接近すると回転してくるやつなどと意外にも個性的だ。
そんな敵はわんさかあふれて出てくるので隠れて一体ずつ倒したり、複数出てくると全力で逃げ回ったりしていき、ようやくマップの端の出口付近までやってこれた。
「廃工場というから廃れたさび臭いのようなところかと思ったけど、錆なんてものはどこにも見当たりもしないや。むしろ柵もない崖のようなところはあるけど。」
直線状に切り取られた先はそこが見えない真っ暗な闇が広がっている崖しかない。
後ろからはぴゅーと風の斬るような音が聞こえてくるのだけが工場らしさを感じるのだが、音がずっとなり続けているのはなんでだろう。
「へ?」
後ろから風ではなく鉱石のモンスターが接近してきていて、もう目と鼻の先まで来ていたので回避不可能。つまりは、
「落ちちゃうのね。って落ちたら痛いんだろうな。」
どうしよう!空中を蹴るようなスキルなんて持っていないし、そもそもそういうのってあるのかも知らないし。なんか底が見えてきたんだけど。
「あ、水がちょうどある。」
闇ばかりで見えなった崖底は私が落ちるところだけ水場があり、そこに紐なしバンジーで飛び込むことになった。
「いたた、HPが残り三割になっちゃったよ。水があってもこのぐらいダメージを受けるとは思わなかった。高いところからプールに向かって飛び降りる人の気持ちが少しだけわかった気がする。」
水から上がってみると辺りは薄暗い灯りで包まれていてよくわからないが、奥の方で何か光っているような気がするのでそっちに行ってみることに。
何が光っているのかと思うと何かタッチパネルのようなものが手形のマークを浮かべて表示されていた。ファンタジー世界に機械があると何やら違和感がすごく強い。
「なにこれ?手を合わせればいいのかな?」
目の前の怪しいものがあって何もしたくはないが周りは何もなくこれしかないのなら仕方ない。
手を合わせてみると画面がうっすい赤色になりすぐさま青色に変化した。何やら『認証完了』と表示されていて何を?と思ってしまう。
すると、隣の壁が横に開いて謎の空間が出来上がる。
「これに乗れってことなのかな?普通のエレベーターだよね。」
内装はよくあるビルの中のエレベーターであってボタンも『地下』と『出口付近』と何階ではなく抽象化されすぎたフロア名のみだった。
「認証ってエレベーターが使えるようになりましただけなのね。ま、これに乗れば出口付近まで行けるってことならまぁいいかな。それでは出口付近までGO‼」
扉がゆっくりと閉じて、あの独特な感覚が伝わり上に上がっていっているのがわかった。
これで廃工場を出れば第六の街に着くってことだね。
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サイレントが出ていったこのフロアでは先程のうっすらとした灯りではなく、徐々に光源が強くなっていく。
周りには何やら巨人でも培養をしていそうなカプセルや液体を大量に入れていそうなタンクが立ち並んでいる。
そのうちの一つだけに小さな人型の影が空中で体操座りをしている格好で浮かんでいた。
カプセルの前にはモニターが付いておりそこには『認証済み』とだけ読み取ることが出来、他は文字化けをして何が培養されているのかは誰もわからないままであった。
これは開発陣もその他のプレイヤーもここでゆっくりと培養されていつか目覚める者のことを知らないでいる。
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他の作品のURL
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・少女は魔法を夢見る
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