第三十三話
「みんなやることがあるって断られちゃった。一人で第六の街に行かないといけないじゃないか。」
ルイスはイベントで手に入れた素材を使って錬金の検証をすると、ヒビキちゃんはリアルで忙しいということ、フレイヤもリアルの家の都合で今日一日はゲームが出来ないと、ヴァンを誘うとフレイヤに恨まれそうだし個人的に誘うのが嫌だし、イービスさんはなんか誘いづらいということで一人となった。
第六の街は第四と第五の街を繋ぐ道の途中で分岐している古代の廃工場という場所があるのでそこを通っていけば近道で着くらしい。一人でもモンスターとの戦闘を極力避けていけば行けるとフレイヤから聞いた。
「さて、第五の街に着いたしレッツゴー!!」
第五の街から第四の街までの道のりは山と山の間の平坦な田舎のような道が続いているらしい。その道のりには2か所山小屋のような休憩所があるらしくリアルの天気が悪い日には散歩をするプレイヤーがいるとネットには書いてあった。
今その場にいるのだがゲーム内はそんな話とは違い天気が悪く雨が降っていた。偶に空がゴロゴロと機嫌が悪そうな音を鳴らしていた。
「あー、行きたくなくなってきた。ゲーム内天気予報だと夜までずっと振るらしいから第六の街まで早めに行って切り上げようか。」
ゲーム内では雨が目に当たることがなく視界もさほど悪くはないので戦闘には助かる。
今は新しい装備に変えたので今までより耐久性と敏捷性が高くなっているので今まで通り多少の無茶もすることが出来る。
ステータスの割り振りは力と器用さ、敏捷性をメインに上げていき、残りは均等に割り振ることにした。これで防具と装飾品を整えれば刀を使うようことが出来るようになる。
「さて、廃工場までは一個目の休憩所を過ぎて少し歩けば見えるらしいし。」
歩き始めるとネットで事前に調べていたモンスターが全く出てこずに雨らしいやつが出てきて少しだけ戦闘に苦戦をしてしまった。
田舎道であり、近くには田んぼがあることからでっかいカエルのモンスター『ジャイアントフロッグ』が出てきた。まぁただただデカいカエルの見た目をしているのだが跳躍力を活かした上空からの押しつぶしや、長い舌でこちらの腕や足に巻き付けてくるといったことをしてくる。
一匹だけならいいのだが早めに倒さないとゆっくりと一匹、一匹と増えていき次第には恐ろしい数になっていく。
結局カエルを倒し終えた時には撃破個体数が9匹になっていた。
「いや~、あの舌が足とか腕じゃなくて首に飛んできた時には恐怖したわ。」
アイテムもイベント用に買っていたものがあったのでそれを使ってHPを全快させて歩みを進めていく。
すると、山小屋の休憩小屋に辿り着いた。
そこに露店として何やら道具を並べている人がいて興味が湧いたので少し覗いてみることにした。
「ふひひひ、いらっしゃい。ゆっくりどうぞ。」
ルイスとは別の意味で雰囲気が暗いやつで、不気味さが色々と溢れている怪しいやつであるが見てみるだけ見てみようかな。
置いてあるものは指輪やイヤリングなどの装飾品がメインであり色々と見た目が良さそうなものがおいてある。売人の見た目と反してデザインがいいのは人は見かけによらないとはこのことだろう。
「あ、これっていいかも。知力が下がる代わりに器用さと敏捷がいい感じに上がるじゃん。」
「お、お姉さんは近接戦闘系なんですね。ふひひ、それならこっちもどうですか?」
差し出されたのは全てが黒いデザインのみのシンプルでありこちらも知力が下がるけど筋力が今つけているものより大きく上がるものだ。デメリットもそれぐらいしかない。いいものだ。
「それじゃあ、それとあれを一つずつください。」
「ふひひ、毎度。3万になります。」
「安すぎ‼3万って今つけている装飾品3、4個分の値段なんだけど。」
怪しげな露天商は自慢げにその理由を教えてくれる。
「なんで安いかというとですね。これらをの装飾品の素材を自分で取りにいて作っているんですよ、ふひひ。」
この人はこんないい装備だけじゃなくて、素材も自分で取りに行くぐらいの戦闘することが出来る力を持っているということになる。
私みたいな戦闘しか出来ない人にとっては二足の草鞋は羨ましいと思ってしまう。
「なるほど、すごいですね。けど、なんで町とかじゃなくてこんな道半ばの休憩所で売っているの?町の方が人が多いし、いいものばっかりだから売れそうなのに。」
「わ、わたし。大勢の人がいるところにずっといるのはむ、無理なんで。ふひひ。」
「そうか、商売の仕方は人それぞれだし。けど、こんないいアイテムを町で売られていたらすぐに完売だからちょうどよかった。えっと、お姉さん?」
商人は商品を受け渡すと同時に手を強く握って上下に大きく振ってくる。
「私のキャラメイクは女性だけどそんな見た目はお姉さんじゃなくてお子様だけどね。ふひひ。」
商人は髪が長く薄暗ーい感じであり年輩の女性のような少しおとなしい低めの声をしていたのだが、顔をよく見るとまだ高校生にもなっていないぐらいの幼い顔立ちである。
しかし、目元はクマがすごく不健康そうな見た目である。
「リアルはどうかは知らないけどそんな不健康まっしぐらな見た目をしている人がお子様なんて信じられないわ。しかも今日は平日の昼過ぎだよ。お子様なら学校に行っている時間でしょ?」
「そんなの知らないわ。学校何それ?おいしいの?」
この子は本当に子どもで学校に行っていないらしい。なるほど、そういう子もいるよね。
「う~ん、美味しさは人によりけりだね。ま、いいんじゃない?学校こそ全てってわけじゃないし今はこのゲームを全力で楽しめばいいだけだよ。」
彼女は私のセリフに面食らったような顔をこちらに向けてくる。何か私はおかしなことを言ったのだろうか?
「すみません!お姉さん。いや!お姉さま。私とフレンド登録してくださりませんか?」
「は?」




