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ユートピア・オンライン〜ゲーム初心者の私が世界最大級のオンラインゲームに誘われたら〜  作者: 森の番人
第一章「Welcome, New World!!」

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第三十話

『ゴミムシが、このクイーンに勝てるとでも思っているのか?「サンダーレイン」』


 クイーンが先制攻撃として魔法攻撃を私に向けて仕掛けてきた。

 雷がこちらを追従するように次々と雨が降るように落ちてくる。この魔法はユニーク・スライムが見せた攻撃と似ていることから避ける方法も同じである。

 こちらに最も近づいた落雷が来たら、より速度を上げてクイーンに近づく。

 すると、雷は私の後方に落ちていく。


「あのスライムの攻撃は『サンダーレイン』っていう魔法だったのね。速度重視の人以外には有効な手だけど。」


『最低限の身体能力はあるらしいな。次は「ストーンバレット」』


 クイーンの周辺の地面から石がいくつも宙に浮いて尖っている部分が私の方に向いている。クイーンが杖を振りかざすと一斉にこちらに向かって飛んでくる。

 少し前にルイスのマーカーが設置されるので速度を落としてその設置された箇所より少し手前で止まる。


「『ストーンウォール』」


 ルイスの魔法によりマーカー設置個所に大きな壁が地面からせりあがり石の台風を完全に防ぎきる。

 その攻撃は防がれることを予想していたのか彼女の後方では大きな火の玉が二つ浮かび上がっていた。

 焼き殺されるかもしれないが、それでも私は迷わず敵に向かって走っていく。


「あなたの相手はサイレントちゃんだけじゃないわ。『ハウル・チェーン』」


 ヒビキちゃんから放たれた鎖をクイーンは避けることは出来ずに高速されて、敵意は私から移り変わる。大きな火の玉は彼女?に向けて放つしかなくなった。


『やっかいな技だ。まともに受けきることが出来るのか!!「デュアルフレイム」』


 放たれた火はヒビキちゃんに直撃をするがダメージはそれほどなく耐えきっていた。


「情熱の炎はオカマには効果がなくってよ。」


 かっこよくピースを決めながら大丈夫アピールをしているが、さっさと接近して欲しいのだけど。

 こっちはようやく射程圏内に入ったところなのに。


「さて、こっちはターゲットロックオンですよ、女王。」


『魔法使う私が接近戦が苦手と思っているのか?侮るなよ。』


 クイーンは杖を両手で掴み私と近接戦闘をやろうとしているらしい。

 杖を持ったやつと戦うのは初めてだからわくわくする。


「『シール・クラッシュ』」『クラッシュ』


 スキルとスキルが同時にぶつかりお互いの武器が攻撃とは反対方向に弾かれる。威力は互角らしいが、魔法職と同じ攻撃力となると少し落ち込んでしまう。


「スラッシュ」


 弾かれたが片足だけで踏ん張り、その足を軸としてピポットターンのようにして弾かれたことを回転力に変えて切り裂くスキルの威力に変える。

 このゲームは動作による攻撃力の補正にもなるらしくステータスの差を覆すにはありがたい。


『チッ、ゴミムシの分際で私に傷を負わせるとは、、、むごたらしく殺してやるぞ。私はただ魔法使いではない。呪術師が本職だ!』


 彼女の全身から黒い靄が出てきたのを見ると全身で触れてはいけないと何故かそう思ったので飛びのくと同時に先程までいた場所が黒い靄に包まれていた。


「サイレントちゃん、あの黒い霧は呪いの類で耐性がなかったら高確率で即死してしまうわ。私たちは耐性があるけど、まだそんな装備が手に入る街まで進んでいないでしょ、下がりなさい。」


 ヒビキちゃんは私より前に立ち盾となるように立ちふさがる。


「ヒビキちゃん、耐性が少しでもあれば大丈夫ってことだよね。」


「ええ、そうよ。けど、1とか2じゃ意味がないわ。」


 それなら問題はなさそうだからよかった。

 この仮面の効果を使えば問題がないということだ。


「おい、仮面。『変貌しろ』」


 顔に着けている仮面を手で触れて呪いを思い浮かべながらキーワードを唱える。

 おそらくこれで仮面に効果が変わったのだろう。


『仮面の変更したらと何が変わるというのだ!「カースイーター」』


 黒い靄が二股の大きな口をした化け物のように形づくり一匹はヒビキちゃんに、もう一匹は私のところに向かってくる。速度はかなりのもので完璧に避け斬ることが出来そうにはない。

 正面からやってきたものを斜めにしゃがみながら進むことで肩をかすって直撃は避ける。


[呪いによる即死を耐性で防御]


 耐性がなかったら一発退場ものは本当に恐ろしい。


『な!私が持つ最速をあれだけで済ませるのか。』


 クイーンは何かに驚いており動きが止まっているところをヒビキちゃんの何かしらのハンマーのスキルを直撃でもらっている。かなりのダメージになるだろう。


「交代!」


「サイレント殿!『エンチャント・アジリティ』」


 ルイスからの補助によって足が少し光ることでより力強く地面を蹴ることが出来そうで今まで以上に早く走ることが出来る。

 ヒビキちゃんにも何かしら補助がかけられたのか腕のところが少しの間光っていた。筋力でも上げてもらったのだろうか。

 敵の攻撃をハンマーで器用にさばいて少しずつだが相手を後退させていっている。

 強い敵に頼りになる仲間がいる戦闘っていうのはとても楽しくて心の奥が暖かくなっていく。目の奥まで徐々に熱く燃えてしまいそうなぐらいだ。


(限界を超えていけ!美桜!その先の景色は面白いぞ。)


 頭の中でお父さんの声が口癖が聞こえたような気がした。昔はお父さんのこの口癖はあまり好きではなかったけど、こういった気持ちが盛り上がっている時には応援されているようで好きだ。


「もっと早く、もっと先に進んでみたい!」


 クイーンは今の私より格上の身体能力を持っていて限界を超えるにはいい相手なのかもしれない。

 大きく深呼吸をして狙いを決めて、思いっきり地面を蹴りぬく。


『調子に乗るなよ!ゴミムシどもが!「カース・インフェルノ」』


 地面から黒い霧が高熱を持って次々と立ち上がってくる。まるで、炎を纏ってこれから得物を絞め殺そうとしている大蛇、昔絵本で出てきたヤマタノオロチに見えてきた。

 物語の中にいるみたいでここからそいつを倒しにいく勇者のようだ。

 炎は私に向かって向かってくるのを落石によって生じた壁を使って避けていく。


『この呪術を使って生き残った者はいない!私の生命力を使用しているのよ!』


 クイーンのHPはかなり削れておりあと一押しで倒すことが出来るぐらいまでになっている。わざわざ自分のHPを削ってまでの攻撃をしているのはかなり追い込まれているということだろう。

 ピンチはチャンスとよく言うのでこの技さえ押さえてしまえばいいだろう。


『この技は私に直撃してもダメージはないんだ!接近しようものなら私ごとチリに変えてやろう!フハハハハ!!』


 ただただ接近をしても無駄だということらしい。

 よくよくこの技を観察して反撃の機会を伺う必要があるが、どうやればいいのかはわからない。あの黒い炎はゆらゆらと近づいて一定の距離になると直線で素早くこちらに噛みつくように迫ってくる。

 だが、何かおかしいところがある気がする。


「あ、なんかうっすらと光ってるな。」


 ヒビキちゃんは少し光っている黒い炎を直撃を何度かしていてHPも8割ぐらいまで減らされている。ルイスからの回復補助を受けていてなんとか耐えている。


「ヒビキちゃん、あの黒い炎なにか光っているところがあるからそこを狙ってみて!」


「サイレントちゃん、そんなもの私には見えないわよ。そろそろポーションも無くなっちゃいそう。」


「拙者からも見えないですぞ。サイレント殿、何かスキルの効果ではないかと推測しますぞ。」


 何かのスキルによるものと言われても何かあったかな。

 目で見て効果が発揮するものといえば『観察眼』だけどあれって遠くを見るだけの効果じゃなかったかな。今はスキル画面を開いて確認する暇はないから一か八かで光っているところに攻撃をしてみるしかないか。


「この距離とこのタイミング!『スラッシュ』」


 光に攻撃を直撃すると黒い炎がはじけ飛んで消えていく。


『呪術を無効にする手段を持っていたとはな。だが、数あるうちの一つのみ消しただけだ。』


 そう、今にもヒビキちゃんは残る炎達に焼かれようとしている。私の攻撃では止めを刺すまでにHPが吹き飛んでしまう。なら、私がすることはヒビキちゃんがとどめを刺せる状況を整えるためにあの黒い炎をすべて引き受ければいいということだ。


「ヒビキちゃん、後は頼むよ!」


 黒い炎の射程距離まで接近をしてすぐさま回避行動を取って炎のターゲットを私に切り替えていく。少しだけかすることがあったとしても腰のポーチからポーションを取り出して頭に振りかけて回復をする。

 それを何度も何度も繰り返しポーションがなくなるまで行ってタイミングを体で覚える。


『な、何をしているんだ、ゴミクズ。意味がわからんぞ。』


「うるさいな!実況がしたいならどこかのスポーツ番組にでも出てろ‼」


 もう一回黒い炎に向かって走っていく。

 凄まじい速度で突っ込んでくる炎の勢いを利用をしつつ剣を構えて光の位置を正確に斬る。次に迫ってくる炎はもう片方の手で持っている盾を叩きつけて消し去る。

 次に向かってくる炎は地面すれすれの低空飛行かのように迫ってきており、その奥からは頭を狙うかのように少し高い位置から迫ってきている。

 その隙間を縫うように体を捻りながら飛んで剣で切り裂いて無効化させる。

 着地と同時に走って残り3本の炎をこちらに誘導させて正面から立ち向かい、2本の炎までは鎮圧させたが、残り一本だけ追いつかない。


「『ホリーアロー』」


 背後から光の矢が黒い炎と正面衝突して相殺する。

 ルイスの魔法らしいがかなりHPを削ずれていてクイーンがしていた呪術と同じようなことをしたらしい。正直助かった。


『あ、あり得ない。私の最強の呪術がたった一人にここまで防がれるとは。』


「さて、クイーン。そろそろ退場のお時間よ。さんざん炎を浴びせてきてお肌の処理ってかなり大変なのよ。『トールハンマー‼』」


 ヒビキちゃんはクイーンの正面に仁王立ちで威圧して、相手が尻もちをついたら電撃を纏ったハンマーを大きく振りかぶって叩きつける。

 叩きつけると地面から雷が立ち上りクイーンの残りのHPを一瞬で消し飛ばす。

 これで、作戦完了。

 ルイスと一緒にヒビキちゃんに近づいて拳を握って3人で合わせる。


「ナイスゲーム(よ)(ですぞ)‼」


 クイーンの体は爆散して飛び散っていく。自分が思っていた以上に色々出来たけど、あの呪いばかりの黒い炎をどうにか出来たのも今までの限界を超えられたからなのかな。

 この後は終わりまで生き残ってイベントの結果を楽しみするだけだ。

 

他の作品のURL

・Dear Labyrinth_親愛なる迷宮_漆黒の影と神の使徒

https://ncode.syosetu.com/n8193fh/

・少女は魔法を夢見る

https://ncode.syosetu.com/n9741iq/

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