第二十七話
日が暮れたので船に戻ってみるとルイスが様々な器具を置いて調合していたり錬金していたりしていた。その隣でヒビキちゃんは錬金の鍋をゆっくりかき回して手伝いをしていた。
顔や動作は一流の料理人さながらである。
「あら、お帰り。何かいいものとか見つけた?」
「いーや、全然。腐った人間のような動きをするゴブリンとか、魔法を使うやつだったりと洞窟にいた個体より弱いしドロップアイテムもいまいち。アイテム作成は順調?」
「拙者の手にかかれば余裕ですぞ。ヒビキ殿に手伝ってもらったのであと少しで終わりそうですぞ。」
ルイスは作業の手を止めることなく返事をしてくれる。
作り慣れているものなのか手際がよくみるみるうちに目的のアイテムらしきものが次々と並べられていく。私がもらった瓶より少し大きめのものに紫色の液体と何かしら黒く磨かれた球体が入っていた。
これが明日の作戦に必要なキーアイテムというわけだ。
「なら、私はあの辺にいる人に装備の耐久値を戻してきてもらうね。」
「それなら、あそこの銀髪の女性プレイヤーに頼みなさい。あそこのオカマの紹介っていえば引き受けてもらえるわ。」
ヒビキちゃんが指で示した先にいるのはベリーショートで雰囲気もかなり怖そうな男勝りの女性である。耳には何個もピアスを開けていて肩から腕にかけて龍のタトゥーが彫り込まれている。
一般人があの容姿を見るとビビってしまうのだが、ヒビキちゃんの知り合いであるのなら多少怖くても大丈夫だろう。
彼女の目の前に近づいて
「すみません、装備の耐久値の回復してもらいたいのだけど、おいくら?」
「ああん?うちは一見さんには安くはしねぇぞ。」
「あそこのオカマの紹介で来たんですけど。あのごり、ヒビキちゃんの。」
危うくゴリラと言いそうになったがちゃんと言っていないのでセーフ。
銀髪の彼女は先程からしていた作業んお手を止めてこちらの顔を見てくる。頭を左右にゆらしながら見てくるので少し恥ずかしいけど仮面で顔は隠れているので大丈夫。
「なんだ、ヒビキの知り合いか。なら、通常料金でしてやるよ。ほら、装備を出しな。」
装備を総入れ替えをした後、彼女に渡す。
「俺はジュリっていうんだ。お前はなんていうんだ。ヒビキの知り合いであいつがなついているのは珍しいから覚えておいてやるよ。」
「サイレントって言います。ヒビキちゃんにはお世話になっています。」
ジュリっていう人は装備を受け取るとせっせと修理をし始めた。
見た目は怖いのだが、作業自体はいたって真面目に取り組んでいるので安心が出来る。彼女はどこでヒビキちゃんと知り合ったのだろうか。
ヒビキちゃんも昔はやんちゃをしていてそこで知り合ったていう王道展開だったら面白いのになって思う。
「たっく、俺の生産職の仲間がリアルで用事がなければイベントを本気で取り組んでいたのにな。流石に生産職が1人で討伐系のイベントは無理だからな。」
ジュリさんは名前のわりに一人称やら態度やらいろいろなものが男勝りで私の周りにはいなかったタイプの人で新鮮味がある。
「ほらよ、出来たぞ。お前、敵の攻撃をあまり受けていないだろ、防具の耐久値はあんま減っていなかったぞ。武器の方はそこそこだったな。ほら、金を出せ。少しは安くしてやるよ。」
「サンキュー。カインのとことかなりなくて助かる。」
クールな彼女は遠くの方を見ていたのだが急に私のほうに顔を持ってくる。
「カインって第一の街のやつのことか?」
「ええ、そうですが。今回一緒に参加しようとしていたのって。」
ジュリは大きな口を開けて空を仰ぐ。
そして、手に付けていた鍛冶用の手袋を脱ぎ捨てて頭を思いっきりかきむしる。
「あいつの知り合いかよ。知り合いにしか修理、武器の制作をしない変わりもんだから、お前あいつと相当仲がいいんだな。」
「それほどでも~。」
カインはぶっきらぼうだけどいいやつだからな。
「まったく、ヒビキだけじゃなくてカインとも知り合いなら今回はタダにしてやるよ。次は代金はいただくからな。あと、フレンド申請しておいてやる、絶対に登録しろよ。カインは革製品が得意だが俺は金属製品が得意だからそん時は俺に頼りな。」
今度は今ままで喋ってこなかったタイプの人とフレンドになれてうれしい。
「ったく、もう最終日が来たのかよ。早めにこいつらの修理をおわらせねぇといけないじゃないか。サイレントはこの後何かやるんだろ。行った行った。」
ジュリに手で追い払われてしまったので、受け取った装備を身に着けて2人のところへと戻って、ルイスの作戦と何をすればいいのかを聞くことにしよう。
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