第二十四話
後ろから大量のゴブリンの足音に焦りながら洞窟を出ていき少し離れた箇所の身を隠すのに良さそうな場所を見つけたので伏せて様子を伺うことに。
ちらっと顔を出して先ほど出てきた場所を覗いて見ると、頭を掻きながら洞窟にいるはずのない声を発した主人を顔から少しだけ出ている奇妙な目玉で探しているのを確認することが出来た。
「ルイスのバカ!いいアイデアを思いついたのが嬉しいのはいいとしてあの距離で元気な声を出すなんて。」
「いや本当よ。私がステータスを筋力に振っているキャラじゃなかったら大変な目に遭っていたわよ。」
ルイスは地面に埋まるかのような勢いで日本の伝統的な謝罪(嘘)である土下座の構えをして細い両手を合わせてきた。
「いや、本当にすまないですぞ。昔からテンションが上がってしまうとついつい大きな声を出してしまいますので、この通りですぞ。」
こうやって本気で謝ってくるとこちらが悪者みたいな気持ちになるのはなんでなのだろうか。
今はどうにか緑の軍勢に追いつかれることもなく逃げ切ることが出来たのでこれ以上は責めるのはおかしな話だ。
「もういいよ。ルイスって変なキャラクターで面白いってことがわかったし。」
「サイレント殿〜、ありがとうですぞ〜。」
顔をくしゃっと歪ませて鼻水を垂らしながら(リアルに作られていると後々思った)こちらを向いてくるので、鼻のてっぺんを押して少し距離を離す。
こうしてみるとドジさがあるがそれが少し可愛いなと思ってしまうのはどうしてだろうと思っていたが、やっぱり弟に似ているところがあるのだろう。数年前から会っていないので今はどうしているのはわからないけど。
「さて、ルイス。思いついた案は明日とか、3人で出来るようなものなの?」
「チーン、拙者たち3人だけで出来るものであるのでイベントポイント稼ぎ放題ですぞ。しかし、明日は思いついたことをやるには素材が足りないので収集に丸一日使うことになりますぞ。」
「へぇ、結局どうするのか簡潔に教えてくれない?」
「簡単に言えば、爆破崩落放水海屑作戦ですぞ。あれ?ピンときていないのですぞ?
ええと、爆破崩落ってことはあの洞窟の柱を爆発させて天井を落としていくってことで、放水はあの海まで流れている水路で大量のゴブたちをトイレのように流していくっとことなのかな?意味わからん。
「拙者の錬金術で作る爆破アイテムを指定する箇所に設置さえしてもらえればこちらでいいように爆破してクイーンごと岩の下敷きし、海にポイっと放り出すことが出来ますぞ。そのアイテムのためにこの島で素材を回収して作らないといけないですぞ。」
なるほど、よくわからんけどルイスにはあいつらをどうにか出来る方法が頭にあるってことがわかった。何も思いつかない私よりルイスに任せて戦闘や仕掛けの方で頑張ればいいかな。
「よし、ヒビキちゃん。私たちはルイスの指示にしたがってクイーンを倒していくよ!」
「あら、サイレントちゃんがやる気なら私もやる気を出さないとね。」
「そうだよ、打倒クーイン!ポイントでフレイヤを追い越すぞぉ!」
そう意気込むと両肩に別々の形をした手に掴まれた。
私は何もおかしなことを言ってはいないはずなんだけど。
「フレイヤってあの爆破女王のフレイヤのことよね?とんでもなく性格が捻くれていて彼女を狙ったPKはオンラインゲームを引退するぐらい相手の精神すら破壊するあの!?」
「拙者、睨まれただけで足が震え上がりましたぞ。一回だけ彼女をアイテムの実験に巻き込んでしまいまして死ぬかと思いましたぞ。さっきの土下座が極まったのは彼女に謝ったからですからな。」
「あの子このゲームでも何をやっているのやら。確かにあいつとリアルでやり合った時には大変だったからなぁ。」
ああ、何度死にかけたことやら、あいつを理不尽に怒らすと本当に恐ろしい目にあうしもう思い出したくもない。
「ふ、フレイヤ殿に会わないように早速素材の回収に行きますぞ、神様頼みますぞぉ。」
先ほどまであれだけ元気だったルイスが一瞬にして小さくなっていった。やっぱり弟みたいで面白いけどフレイヤに対してやらかすのは本当に恐ろしい目にあったのだと少し同情してしまう。
「それで、どんな素材を集めないといけないの?」
「そうですな、今の手持ちから足りないのは上・火薬草と新緑樹の幹、ゴブリンの角が少々ですぞ。それらがある程度まとまった数があれば一晩で制作が出来て、3日目の最終日に間に合いますぞ。」
「ゴブリンの角は私もそれなりに持っているから渡すわ。火薬草の上はあんまり数がないわね、知り合いに譲っちゃったわ。」
「ヒビキちゃんって知り合いがいたんだね。ちょ、怖い顔で見ないで、冗談です冗談。」
ヒビキちゃんの顔の筋肉が段々と鬼のような表情に変わっていくのでとりあえず誤っておく。
「恐らく島に素材はあると思うから、2日目の午前中に出来るだけ集めていこうかな。よし、行こう!」
恐ろしい気配は後ろから感じるが、それ以上の背筋が凍るようなオーラを出せるのはフレイヤぐらいしか私は知らない。
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