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第5話

蛮族ゴブリンに追いかけられる藍染達の運命は!?

 中立都市の出入り口前にて。

「はあ……」

 黒いローブを身に着けた魔道士の少女が一人、ため息をついていた。

「ん? エリじゃねえか。どうした?」

 そこに現れたのは小柄で黄緑色の肌をした人物……ゴブリンの青年だった。

「あ、フレン」

「あれ? リエの奴はどうした?」

「それが、ルミさんが急にリエを連れていちゃって……おれはここで待ってろって」

「なんじゃそりゃ……」

 事の顛末を聞いたフレンは呆れ顔で答えた。

「おーい、何してんだ?」

 二人に声をかけて来たのは、黒基調の軍服を身に着け、剣を携えた青年だった。

 後ろには同じ軍服を身に着け、軍刀や銃剣付きライフルにマシンガンで武装した人物が三人。

 彼らがこの中立都市を守る治安部隊、エンフォーサーズである。

 ちなみに四人のうち、二人は人間、残り二人はエルフであり、二人に声をかけて来たのは人間である。

 もう一人の人間はマシンガンを武装し、エルフ二人は軍刀と銃剣付きライフルで武装していた。

「フリングじゃん。どうした?」

「ああ、ちょっと遠征調査。最近蛮族ゴブリンが中立都市付近にやたら出没してな」

「蛮族ゴブリン……ねえ……」

 蛮族ゴブリンと聞いて少し不快な表情をするフレン。

この世界においてのゴブリンは二種類のタイプがある。悪事を働きすぎて、理性を失くした凶暴なゴブリンは蛮族ゴブリンと呼ばれ、蛮族ゴブリン以外のゴブリンにも襲いかかる危険極まりないものである。

 一方で普通のゴブリンは大半が魔帝國と呼ばれる国に属し、聖王国と敵対している。

 他は集落で平和に生活しているゴブリンがいれば、フレンのように冒険者やっているゴブリンもいる。

「……治安部隊も大変だな」

「まったくだよ。おかげでゆっくり本も読めねえや」

 フリングはそう言って大きくため息をつく。

「いや、おめえが読んでる本はいやらしい本だろ?」

 苦笑しながらツッコむフレン。

「ばっか、それ言うなよ」

 図星を突かれたフリングも苦笑しながら答えた。

「だけど、あいつらなんて冒険者に任せりゃ――」

「何度か冒険者も依頼受けては、討伐してるんだが、一向に数が減らねえんだ」

「そいつは穏やかなじゃねえな」

「そういえばおれとリエも三日前に依頼で蛮族ゴブリンを十体ほど倒しましたよ」

「オレは五日前にダンジョンに向かってる最中に三体ほど襲われて、返り討ちにしたな」

「まあ、とりあえず今から周囲を調査しようと――」

 その時だった。

「ん、なんだあれは!?」

 外で門番をしている治安部隊の一人が声をあげた。

 全員が外の方へ見に行くと……。

「あれは……?」

 フリングは何かがこちらに迫って来るものを見た。

「あれって……リエ!?」

「ルミもいるぞ!!」

 それはリエとルミと一人の青年と女騎士がこちらに向かって来ていた。

「ちょっと待て! あれは……?」

 フリングが彼女らの後ろにいる何かを見つけた。

 それは……彼女らを追いかけている蛮族ゴブリンの大群だった。

『な、なんじゃありゃああああああああああ!?』

 全員が一斉に声を上げて驚いた。

「へ、ヘルプミーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 ルミが大声を上げながら全速力で中立都市に向かって逃げていた。

「ちょちょちょ!? どうするのこれっ!?」

「どうするって、こんな大群相手できねえぞ!!」

 エリとフレンはパニックになって大慌てしていた。

 このままルミ達を中に入れれば大量の蛮族ゴブリンが……。

「仕方ねえな」

 フリングは外へ飛び出した。

「ふ、フリング殿!?」

「僕が奴らを食い止めるから、お前らは入り口を守ってろ!」

「は、はい!!」

 

「ヤバいヤバいヤバいヤバい!!!!」

 エミエルはそう叫びながら全速力で蛮族ゴブリンから逃げていた。

「ヤバいのはわかってる!!」

 藍染はそう言って、逃げながら蛮族ゴブリンに銃撃する。

「もうすぐ中立都市だ……!?」

 サイカはこちらに向かってくる人影を視認する。

「誰かが向かってくるぞ!」

「なんてこったい!!」

「いや待って、あの人は……!!」

 リエこちらに向かってくる人影に見覚えがあるようであった。

 こちらに向かってくる人影は藍染達とぶつかる直前に……高く跳んだ。

 そして、その者は剣を抜き、藍染達を追いかけて来ている蛮族ゴブリン達の前に立ちはだかった。

 全員が急に止まり、謎の人物の方に顔を向けた。

「お、おい! 危な――」

「大丈夫、任せな」

 蛮族ゴブリン達が謎の人物に襲いかかろうとする。

「喰らいな!!」

 謎の人物は手に持つ剣に炎を纏わせ、それを振るうと……大爆発を起こした。

「うお!?」

「な、なんだあの力は!?」

 藍染とサイカは謎の人物の力に驚きの声を上げる。

生き残った蛮族ゴブリン達は恐れをなして全員逃げ出してしまった。

「た、助かった……」

 藍染は安心してへたばった。

「大丈夫か?」

 助けに来た人物が藍染に話しかけ、手を刺し伸ばす。

 その人物は黒基調の軍服を着た青年だった。

「あ、ありがとう」

 藍染はその手を掴み、立ち上がる。

「あら、フリングじゃない」

 リエは軍服の青年に声をかける。

「あれ、リエじゃん。どうしてこんなところに?」

「かくかくしかじかいろいろよ」

 と事情を説明したリエ。

「なるほどね……」

 フリングは藍染とサイカを見やる。

「災難だったな新入りのお二人さん。積もる話はあるけど、急いで中立都市に戻ろう。また新手が来るぜ」

「あ、ああ」

 そうして藍染達は中立都市に向かった。

「(あれがエンフォーサーズ……中立都市の治安部隊ってやつか……)」

「(中々の手練れだな、あの男……)」

 藍染とサイカはフリングを見てそう思った。


 藍染達は無事に中立都市に戻った。

 そして中立都市の門が閉じられ、厳戒態勢が入った。

 藍染らは冒険者ギルド内でフリングから現在の状況を知らされた。

「まさか中立都市付近に蛮族ゴブリンが出没してるなんてねぇ」

 腕を組みながらそう言うエミエル。

「ちっ、不愉快な連中だ」

 舌打ちをして言うゴブリンの青年。

「そうとう毛嫌いしてるな。えっと……」

「フレンだ。オレの故郷は昔あいつらにな……」

「ああ、嫌な事聞いてすまない。あ、俺は藍染だ」

「アイゼンか。お前も災難だったな」

 フレンは手を差し出す。

「まあ、なんとか帰ってこれたけどな」

 藍染も手を出し、握手した。

「お前、最近入ったのか?」

「最近も何も今日が初めてだ」

「マジかよ、ガチで災難だったな」

「まったくだぜ」

 藍染とフレンは笑いながら談笑していた。

「おいこら、そこのお二人さん。話し続けるぞ」

 フリングに怒られてしまった。

「ああ、悪い悪い」

 フレンは悪びれる様子もなく笑いながら謝罪した。

「まったく……さてと」

 フリングは咳払いをする。

「さて、今回の蛮族ゴブリンの出没に先程の大群。多分だが、どこかに蛮族ゴブリンのアジトがある」

「あ、アジト……」

 エリが震えた声で呟く。

「アジトがあるとなると、ヤバそうね」

 リエはそう言ってエリをなだめる。

「規模ははっきりしてないがこのまま放置しても危険だ。なので」

 フリングは一呼吸おいてこう言った。

「明日、治安部隊と冒険者で共同作戦を行う!!」


次回、共同作戦とはいったい何をするのか!?

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