表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある公爵の若き日の思い出   作者: 桂木
ウィリアムの結婚
74/176

3 話

 その日、王太子の執務室に行くと、ウィリアムはいなかった。

「なんで、みんなウィルだけを呼ぶんだ。俺を除け者にして。」

王太子が拗ねていた。ウィリアムは宰相に呼ばれたらしい。多分、イザベルとの婚約のことだろう。王太子が拗ねていると言うことは、何で呼ばれたか、理由を知らないからだろう。まだ内緒なんだな。知ったら、びっくりするぞ。どんな顔をするかな?想像して、楽しくなった。

 ウィリアムはなかなか帰ってこない。何を話してるんだろうと思っていたら、侍従長が来て、ウィリアムは用事で家に帰ったと言った。

 王太子はため息をついた。

「ギル、知っているか?兄上の話によると、突然、婚約もしていないのに結婚するものがいるらしいぞ。先日も兄上の大学の友人が突然、結婚したらしい。まあ、兄上も学生の身で結婚しておられるわけだが。前々から計画されていたことだしな。

先日その話を聞いた時、侍従長に俺もグロリアと学生だけど結婚したいと言おうとしたら、言い始めた途端に却下された。どう思う?」

どう思うも何も、なんで俺にその話を振るんですか?婚約もしていないのに突然結婚するって普通じゃないです。物事の順番を間違えて、慌てて、辻褄を合わせているだけです。周りの迷惑です。これ以上、迷惑をかけるのはやめて欲しい。どこまで、わかってるんだろう?王宮の箱入りだから知らないのか?教えるべきなのか?教えてもいいのか?王位継承権の問題もあるので、侍従長あたりがキチンと教えておかなければダメなのでは?とりあえず、グロリアが王太子と会う時は俺がそばにいた方が良いな。いなければ駄目だ。

「そんな顔するな、婚約もしていないのに、突然結婚をする理由は俺でも見当はついている。そんな事態になるようなことはしないよ。」

 そこまで言って、少し間をおいて再び話しだした。

「先日から、宰相がどうも俺に内緒でコソコソしている。兄上もウィルだけを呼び出すし。未だに俺は呼んでもらえないのに。ウィルもウィルで、なんかコソコソしている。侍従長もだ。」

よく見てるんだな。ウィルの婚約の件、侍従長も知っているのか。侍従長も普段からウィリアムのことは気にかけてたもんな。それに、王太子の側近だ。先に侍従長にも話を通しておくのも当然か。仕事を抜けたり、いろいろ便宜をはかってもらわないといけないし。

「ギル、お前もだ。みんなして何を企んでいるんだ?」

「別に、何も企んでませんよ。何を企めばいいんです?妄想でこれ以上、俺のすることを増やさないでください。それより、グロリアがラトルの新作を食べたがってましたよ。」

 途端に王太子は書類に目を通し始める。明日の放課後、グロリアとラトルに寄るために、少しでも仕事を済ましておく気だろう。当然ながら、グロリアとのデートより、執務が優先される。しかも侍従長は街中の外出に良い顔はしない。飲食となると尚更だ。毒殺とか、絶対にないとは言えないので、当たり前と言えば当たり前だが。そういう訳で、仕事がある程度済んでなければ許可はおりないし、仕事が済んでないのに無断で行けばお小言が待っている。場合によっては、外出禁止も。なので、王太子に仕事をさせたい時はグロリアをだすに限る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ