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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第二幕 灼熱大陸編
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新章76 カルチャーショックは突然に




NO.92カルチャーショックは突然に


「俺、お前のこと好きだわ」


 西陽が輝く夕暮れ時。窓から差し込む夕陽が2人の顔を赤く染める、告白するには絶好のタイミングだ。

 なのに、我ながらなんて酷い告白だろう。ムードもへったくれもあったもんじゃない。

 そもそも、『わ』ってなんだよ。どこから湧いた。


 そんな俺の心中とは裏腹に、セリカの顔は見る見るうちに赤くなっていく。


「本当に……?」


「逆に、このタイミングで嘘だったらただの外道だろ」


「じゃあ!!」


 返答を受けて、セリカがパァっと表情を輝かせる。

 それだけ喜んでもらえると、こっちとしても嬉しい限りなんだけど……ただ一つ問題がある。


 ほら、俺とセリカって“婚約者”って関係じゃん? 両想いって分かったんなら、選択肢は一個しかないんだけど、正直なところ自信がないんだよ。


 今までみたいに、気持ちに自信がないとかじゃなくて、自分に自信がない。今の俺じゃ、セリカを幸せにするなんて、絶対に無理だ。


「けど、今すぐ結婚ってのは待ってほしい。」


「え……? それってどういう――」


「俺ってこんなだからさ。今の俺じゃ、お前を幸せにしてやれない。待たせてばっかりで悪いとは思うけど、もう少しだけ待っててほしいんだ」


 先程と打って変わって、セリカ表情は不安に揺れたまま、じっと見つめてくる。

 ちゃんと理由は言ったけど、そりゃ不安だよな。


「でも、そばに居たいと思ってるのも、離れていってほしくないって思ってるのも本当だ。だから、すげぇ勝手なこと言ってるのは分かってるけど――」


 覚悟はしてても、やっぱりいざ言うってなると覚悟があるなこのセリフ。

 けど、あんまり待たせるのも悪いし、また悩み出す前に言ってしまおう。


「結婚を前提に、俺と付き合ってくれませんか」


「あ、うん。いいよ」


「なんか軽くない!?」


 あっれー? なんかこう、もっとロマンチックな雰囲気になる予定で身構えてたのに、肩透かしくらった気分なんだけど。


「というか、なんで改まって言ったの? そんなこと」


「え? なんでってどう言うこと?」


♦︎♦︎♦︎


 その後、どうにも話が食い違っているように感じてならないので、話し合ってみたところ、衝撃の事実が発覚した。

 どうやら、“告白して付き合う”という風習は東共独自のものらしい。


「――って、話だったんだけど、分かってくれたか?」


「う、うん」


 その辺りを全て話し終えて確認を取ると、セリカ心底気まずそうに返事をしてくれる。

 いや、誰も悪くない。この場合、お互いの文化が違ってただけで、誰も悪くはないんだけど、そういうのは教えておいて欲しかったよね。なぁ、じいちゃんよ。


「でも、そういう話なら――」


「おっとと」


「こちらこそ! よろしくお願いします!!」


 先程の気まずそうな顔から一転、満面の笑みを浮かべたセリカが抱きついてくる。

 一時はどうなるかと思ったけど、ちゃんと伝わったみたいでよかった。


 ってか、OK貰えて本当によかったぁ。懇切丁寧に告白の説明までしてフラれたりしたら、俺生きていられる自信ないぞ。


 だって、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃんかよ。一世一代の告白が、ちゃんと意味伝わってなかった上に、伝わったら伝わったでフラれるって常人の精神力なら意識保ってられないっての。


「真宗くん」


「どした?」


「さっきは気にしてないって言ったけど、恋人からの心無いひと言で、私はとっても傷つきました」


「うぐっ」


 俺の胸に顔を埋めたままのセリカが、そのままの体勢で文句を言ってくる。

 顔を上げすらしてないから、表情は見えないけど、不満げな空気だけは伝わってくるのが逆に怖い。


「よって、頭撫での刑に処します」


「……へ?」


 何言われるかと身構えてたところに、いきなり緩すぎる罰が宣告されたせいで、間抜けな声が出ちまった。


「はいよ。これくらいなら、いくらでもしてやるよ」 


「本当!?」


 何こいつ。こんなに可愛かったか? おいやめろよ。上目遣いで見るな。直視できなくなるだろうが。

 ただでさえ、心臓が破裂しそうなの必死で悟られないようにしてんだから。


 しばらく言われるがままに撫でていると、もういいとばかりにセリカはそっと手のひらから離れ、少し唇を尖らせて目を閉じる。


 これは……俗に言うキス待ちってやつか!?

 いや、お互いの気持ちはさっき確認したんだ。狼狽えることはない。ないんだけど、やっぱり心の準備がいるんだよ!


「……?」


 ほら見ろよ。セリカが薄目を開けて不思議そうな顔してるじゃんか。

 ええい! これ以上待たせるのも流石に気が引けてきたし、そろそろ覚悟を決めろ。俺!


 肩をしっかり持って、唇を合わせるだけ。簡単だろ?

 そう自分に言い聞かせながら、徐々に顔を近づけていく。


 近づいていくごとに鼓動が速くなっていくのを感じる。

 顔もこれまでにないほど熱く、背中を変な汗が伝う。

 お互いに息が届くほどに距離が近くなり、いよいよ唇がふれ――


『ガタン』


 る寸前、ドアから不審な物音がし、そちらの方に目をやると、おそらく覗き見していたんだろう、イナとルナが倒れ込んでいた。


「……そんなことだろうと思ったよ!!」


………………………………………………………………

To be continued

間に合い……ましたぁ!どもども、雅敏一世でございます!

いやぁ、1日滞納してしまった手前、また無理でした!

なんてことにならなくて良かったぁ…

さて、今回やっと真宗とセリカが付き合い始めたわけですが…おっそいですね(笑)

はてさて次回はどうなることやら。

少々締めが強引ですが、この辺りで失礼。

またお会いしましょ〜♪

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