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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
82/124

新章63 無敵




NO.79無敵


「さんきゅー、マジで助かったよ。セリカ」


 『乱切り』で何回か切り込んだあと、後ろに飛び退いてセリカと合流する。


「王花くん……これはどういうこと?」


 静かにそうつぶやいたセリカは、杖を前に構え、珍しく怒りを露わにして、ヒルデガルドを睨みつける。

 まぁ、そんな反応にもなるよな……俺だって最初は信じられなかったもん。


「どうもこうもない。見たままだが?」


「真宗くんとふたりっきりなんてずるい!!」


「いや、今そこどうでもいいだろ!」


 1話前(さっき)までの緊張感は一体どこに行ったんだよ……

 いや、そうだったな。そういや、こういうやつだったよ! 最近は大人しかったから忘れてたけど、どこかしらずれてんだよな!

 

「え? ここ大事じゃない?」


 こてんと首を小さく傾げるセリカを見ていると、こっちがズレてるんじゃないかって錯覚しそうになる。

 が、ズレてんのは俺じゃなくこいつだ。今回ばかりは譲れない。


「大事じゃねぇよ! どう考えてもあいつが裏切ったことの方が問題だろうが!!」


「あれ? もしかして真宗くん、気づいてなかったの?」


「は?」


 『何言ってんだこいつ』って思ったのが顔に出てたのか、セリカはヒルデガルドの方を一瞥し、小声でとんでもないことを言い放ってきた。


「王花くん、最初から結構怪しかったよ?」


「うっそだろ……?」


 セリカ曰く、王花と合流した時点で勘づいていたらしい。なんでも、流石は勇者と言うべきか、ギルドの隊員数がそこまで多くないのも相まって、隊員大多数が顔見知りなんだと。


 で、全く見覚えのない王花を警戒してはいたものの、道中でシロだと判断してしまっていたらしい。そこは、ヒルデガルドに上手いこと騙されてだんだろう。


「ってか、分かってたならなんで言わなかったんだよ」


「完全にクロだって確信はなかったから……」


 確かに、そう言われると言い返せないな。それに、全く気づかなかった俺にも非があるし、元々セリカ1人が悪いわけじゃないからな。これ以上攻めるのも酷だろう。


「だとしても、このタイミングでトイレはないと思うぞ」


「と、トイレなんて行ってないよ! 王花くんに言われて、もう一個の扉を確認してただけだもん!」


「えっ、だってヒルデガルドが――」


 チラッとヒルデガルドの方を見ると、気まずそうに目を泳がせながら顔を逸らした。


 こいつ、さては理由が思いつかなくて適当言いやがったな……って、あれ? 今の表情、王花だった時と同じ……いや、気のせいか。やっぱ無表情だったわ。


「ぜ、絶対許さない!!」


 珍しく顔を真っ赤にしたセリカが、ヒルデガルドに向けて杖を構え、詠唱を開始する。

 それを尻目に、ヒルデガルドの元へと走り、メギドフォルンを再び引き抜く。


「ってか、わざわざ待っててくれたんだな」


「ふん。一時は仲間だったよしみだ。最期くらいは話させてやるさ」


「そりゃありがとな!!」


 セリカの魔法は……まだ時間がかかりそうだな。

 というか、こいつセリカを気にかけてもいない。セリカの魔法がどのくらいの威力かは、『試練』で知ってるはず。

 知ってて意に介してないってことは、それだけの自信があるってことだろう。


 だとすると、魔法抵抗力がめちゃくちゃ高い、とかか?

 なーんか違う気がするな。魔法抵抗力がいくら高かろうと、衝撃は殺せないだろ。


 さっきのセリカの魔法を受けて、のけぞりもしなかったってことは、耐えてるってよりも無効化されてるってのが近いのかもな。


 ……試してみるか。


「何か企んでいそうな顔だな」


「さぁ? ただのハッタリかもしれねぇぞ?」


 とぼけてみたけど、実際企んではいる。

 作戦としてはこうだ……ってか、作戦もクソもなく、セリカの魔法に合わせて、魔力なしの純粋な斬撃を与えてみるってだけなんだけどな。


 これで、斬撃だけに対応してくるようなら、ヒルデガルドには魔力攻撃を無効化するなんらかの手段があるんだろう。

 両方無効化された場合は……もうお手上げだな。

 一旦逃げ帰ってちゃんと作戦を立てるしかなかなくなる。


「真宗くん!!」


 おっ、セリカも準備完了みたいだな。

 それじゃさっそく――


「やっちまえ! セリカ!!」


「うん!」


 すっごい他力本願なセリフで申し訳ないけど、俺1人じゃ出来ないししょうがない。


「『レインボーウォーカー』!」

「『乱切り』!」


 セリカの掛け声と共に、ヒルデガルドの周りを色とりどりの魔法陣が取り囲んでいく。

 その隙間を縫って、間合いに入り込んで『乱切り』を叩き込む。


「ビンゴ!!」


「くっ――!これが狙いか!!」


 斬撃自体はかなり浅かったものの、それでもヒルデガルドの上腕。その薄皮を切り、同じくすっぱりと切れた袖に血を滲ませている。


 やっぱり、ヒルデガルドは魔法を無効化できるみたいだな。多分なんかのスキルだろう。

 それか、そういう特殊な魔法があるとか? なんにせよ種は分かった以上、あとは攻めるだけ。


「セリカ!! こいつ、魔法を無効化できるみたいだ! いざと言うときのために魔力も温存しときたいし、援護は無しの方向で頼む!」


「そうみたいだね……でも、大丈夫?」


 その大丈夫は、多分ひとりで大丈夫かって意味だよな。

 信用ねぇな。俺。まぁ、普段の言動のせいなんだろうけどさ。


「大丈夫だ。たまにはカッコつけさせてくれよ」


 実際、今のところは全然苦戦してないし、なるようになるだろ。

 さぁ、さっさとケリをつけて、ヒルデガルドに洗いざらい話してもらうか!!


………………………………………………………………

To be continued

どもども!2週間ぶりでございます!雅敏一世です♪

さて、ヒートアップ(?)していくヒルデガルド戦。果たして真宗たちは無事に勝利できるのか!!

次回へ、続く……

ではでは、また会いましょ〜♪

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