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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
76/123

新章57 双子と魔王の珍道中




NO.73双子と魔王の珍道中


「すっごい勢いで落ちてったわね」


 突如出現し、真宗たちを吸い込んでいった巨大な穴を覗き込み、イナがそう呟く。

 多少の冷や汗程度はかいているものの、取り乱したりしないところを見るに、着々と真宗の問題行動に対する呆れ……もとい信頼度が高まっていることが窺える。


「まぁ、あいつらなら何とかするだろ」


 対するリズも、別段気にした様子はなく、本気で真宗たちなら大丈夫だと信じきっている顔だ。


 リズ自身も、なぜあのヘタレにこんなに信頼を寄せているのかがわからないが、心のどこかに『まぁ、真宗なら大丈夫だろ』という、謎の自信がある。


「おい、ガキども」


 答えの出ない思考に区切りをつけたリズは、背後でわちゃわちゃしているイナルナに声をかける。


「見ての通り、こっから先は俺ら3人で行動することになるわけだが……」


「ちょっとルナ!! 今何をポケットに入れたの!?」


「……綺麗な、石」


「綺麗だとしても石は汚いわよ! ぺってしなさい!」


(聞いちゃいねぇ)


 薄々勘づいてはいたが、やはり子守は一筋縄ではいかない。というか、自由奔放すぎるのだこの2人。

 ルナが目についたものを触って問題が起き、イナがそれについて行って問題を大きくする。負のサイクルが完成しているのだった。


 今だって、ルナが壁に付いているボタンを――


「って、おい!! バカ!!」


 押した瞬間に、ルナたちがいた真上の天井が開いて巨大な岩が降ってくる。

 間一髪でリズが間に合い、『青天の霹靂』で岩を粉砕しなければ、駆け寄ってきていたイナごとぺちゃんこだっただろう。


「おーまーえーらーなー……」


「「ひぃぃっ!!」」


 手を振り上げたリズに、殴られるのかと震えていたイナルナだったが、予想に反して頭に受かる感触は柔らかかった。


「いいか? 駆けない。叫ばない。変なボタンは押さない。これだけは守れ。あぶねぇから……わかったな?」


 目線を2人の高さまで合わせて、リズが小さく微笑む。


「わ、わかったわよ」


「…………ん」


 言動が粗暴なせいでとてもそうは見えないが、リズは意外と子供好きだ。


 出会った頃こそ、真宗を目の敵にしていたため仲間だったイナルナに対しても、少なからず敵愾心があったものの、誤解が解けた今、邪険にする理由などどこにもないのだ。


(とかなんとかやってるうちに掴めたな。最上部にデカい魔力が2つ……か)


 イナルナと話している間にも、ずっと魔力を探っていたのだが、隠す気もない魔力の気配が最上階――3階にあたる部分にふたつある。


 片方はそこまで大きくない。せいぜいイナと同じくらい。だが、もう一方が問題だった。

 魔力量だけで見た場合、下手をすればリズよりも強い。おそらくこっちがヒルデガルドだろう。


「さて、あんま長居するのもアレだし、あいつらと合流すんのは諦めて上目指すか」


「了解だわ!! 私についてきなさい!!」


「あぁっ! こら!! 走るなつったろ!!」


 言いつけを守らず走り出すイナの首根っこを掴んで引き戻す。


(マジのマジで、真宗のやつよくもこの自由人2人と旅してたな……そういや、シルヴァとかいう奴もいたっけか)


 別段、仲良くはなかったが気がいいやつではあったと思う。

 というのも、リズ自身、初任務当初はかなり前代『爆炎王』関連でかなり荒れていたため、シルヴァ含め初任務での絡みはあまりない。


(あいつとも、もっと話しときゃよかったな)


 暴れるイナと、再び壁にあるボタンを押そうとするルナの手を強引に引き、リズは後悔に胸を痛める。

 自分はなんと愚かだったのだろうか。初めて会った時、ちゃんと真宗の話を聞いていれば――


「おら、行くぞ」


 もうどうにもならない思いを胸に秘めつつ、せめて今あるものは手放すまいと決心する。

 この辺りも含め、どうにもならないくらい真宗に毒されていることに、この時のリズには知るよしもなかった。


………………………………………………………………

To be continued

どもども!!お久しぶりで!ございます!!

雅敏一世です♪

気づけばもう今年も残り2ヶ月弱……年内に東共奪還作戦編を完結させようと思ってたんですけど……すでに厳しいところまで来ています(笑)

まぁ、2周年までに間に合えばなんとか……

ではでは、作者はこの辺りで失礼!本日も貴重なお時間ありがとうございました♪

また会いましょ〜♪

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