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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
73/124

新章54 はじめての共同作業




NO.70はじめての共同作業


「さってっと、試練だか何だか知らねぇけど、ちゃちゃっと終わらせてリズ達に合流するぞ!」


 意気揚々と入った試練の間とやらは、特筆して語ることもない質素な部屋だった。


 広さに関しても、広すぎず、大きすぎず……といった感じで、運動するのに十分なスペースはあるものの、何十人も集まれるか、と言われたらNOと答える他ない。


 で、その簡素な部屋に再び怪しさ全開の看板がひとつ。

 どうやったら、逆にここまで怪しくできるんだよ。


 内容は元より、文字の形、色、配置から記号まで。看板に存在する全ての要素が怪しさを演出してる。

 なんだよ、あの何色かも判別つかない気持ち悪い色とぐにゃぐにゃのフォントは。


「なになに? 『技の試練にようこそー♪ここでは、この看板の上にある的に、なんでもいいから攻撃を当てて破壊してもらいまーっす☆マジで当たんないと思うからー、頑張ってねー♪』だと?」


 奇抜すぎて全部読んじまったじゃねぇか。文章でまでふざけてくんの本当にやめてほしい。

 緊張感も何もあったもんじゃない。けど、書いてあるのを見るに、内容自体は別に難しくはなさそうだな。


「ってか、これ要するに的当てだろ? そんなの楽勝じゃん」


 的自体が大して当てにくいほど小さいわけじゃない上、絶対届かないような場所にあるわけでもない。


「さっさと終わらせようぜ」


 軽く跳び、メギドフォルンを引き抜いてそのまま切り込む。

 はーいこれで終わり…………の、はずだったんだけど、次の瞬間、俺の体は背中に爆風をモロに受け、前方に吹っ飛んでいた。


「うわぁぁぁぁぁあ!?」


「おっととと」


 咄嗟に割り込んでくれたセリカに受け止められ、ことなきを得たものの、セリカがいなかったらヘッドスライディングならぬ、フェイススライディングを決めるとこだった。


「さ、さんきゅーセリカ。マジ助かったぁ」


「ううん。全然大丈夫だよ。むしろ真宗くん抱きしめられて役得なくらい!」


「最後の余計な一文がなきゃ、もうちょっと素直に感謝できるんだけどな」


 というか、これでわかったな。試練ってそう言うことか。この超高速で動く的になんとかして攻撃を当てなきゃいけないのか。

 いや、無理じゃね? 俺今ので心折れかけたんだけど。


「ねぇねぇ真宗くん! 次私がやりたい!」


「いや、別にわざわざ報告してくれなくても大丈夫だぞ?」


 そもそも、ダメって言ってもやる気満々だろうが。


「じゃあ、不肖セリカ。いかせてもらいます♪」


 そう呟くと同時、セリカは杖を構えて前に一歩進み出る。

 その表情は笑顔でこそあったものの、いつもとは違いふざけている様子はない。

 それどころか、引き込まれるような美しさすらあった。


 ほんと、あの変態性さえなければ完璧美少女なんだけどなぁ。

 ま、いつも真面目なセリカとか、今さら違和感しかないけど。


「真宗様。本当に大丈夫なのでしょうか?」


 すげぇ気まずそうに言葉を濁しながら王花が聞いてくるけど、言わんとしてることはわかる。


 そりゃ、普段のセリカを見てて『強そう』ってイメージは湧かないよな。実際、俺もセリカが戦ってるの見たことないし。


「多分大丈夫だろ。だってセリカだし」


「そう……ですか」


 王花はまだ何か言いたげだったが、俺がはっきり言い切ったことでそれ以上食ってかかってはこなかった。


 あいつは出来ないことは出来ないって言うタイプだ。まだ付き合いはそんなに長くないけど、そこは確信を持って言える。

 そのセリカがやれると言い切った。なら任せるしかないだろ。


「十色魔法陣同時展開」


「へ?」


 そんな風に考えセリカを見守っていると、突然物騒なことを言い出し、ぶつぶつと呪文を唱えるセリカの周囲に円状に輝く10色の光がぼんやりと浮き出てくる。


 そのひとつひとつに文字が描かれていて、そこから大量の魔力が溢れ出している。

 ついでに、俺の魔力もごっそり持ってかれてるな。


 ……ちょっと待て。これどう見ても閉所やったらやばいやつじゃね!?


「セリカ! ストーッ――」

『ツァーンブラスト――ッ』


 セリカがそう叫ぶと、先程まで鈍い光を放っていた魔法陣から、打って変わって眩い光を放たれる。

 やがてその光も一点に収束し、極太の光線となって的を貫き……は、しなかった。


 避ける隙間なんてほとんどなかったのに、針の穴を通すように上手いこと隙間を縫って的は通り抜けていく。


「真宗くん! 今だよ!!」


「!? ……そういうことか!!」


 馬鹿野郎、囮だったなら先に言っとけよ。わかりにくいっての!!


 セリカの包囲網をくぐり抜け、空中でひと息ついていた窓に向けて、間髪入れず切り込む。


「逢魔流剣操作――『微塵切り』!!」


 さっきと同じヘマはしないよう、微塵切り……簡単に言うと、広範囲連続攻撃だ。


「王花! 足元だ!!」


「了解……しましたっ!」


 よっし、王花がちゃんととどめを刺してくれた。

 ってか、ぬいぐるみに襲われてた時もそうだけど、あの馬鹿でかい手裏剣は一体どこに隠してんだろうか……


 ま、今はどうでもいいか。

 何にせよ……


「『技』の試練。クリアだぁ!!」


………………………………………………………………

To be continued

はい、先に謝っておきます。投稿が遅くなってしまい、本当に申し訳ございませんでした!!

あのですね。言い訳させていただきますと、この辺りの話、直前で追加された話なので、一から全部考えてるのですよ。

皆さんからしたら、だからどうしたって話ですが、一応こちらの言い分としてはそんな感じです。

さて、東共奪還作戦編も佳境、いよいよクライマックスが近くなってきました!

未だ姿を表さないヒルデガルド。はがれてしまったリズたちはどうなってしまったのか!

今後の展開に、乞うご期待ください!!

ではでは、また会いましょー♪

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