新章53 試練の間
NO.69試練の間
「ほんっと、どこまでもふざけてやがるよなぁ」
クソ長い廊下を抜けた先には、またもや小部屋があった。
最初に落ちてきたホールよりは少しこじんまりとしていて、中央には怪しさ全開の看板が立っている。
『ここは試練の間だよーん♪ここから出るには、3つの試練をクリアしなきゃだめでーっす! 試練はー、向かって右から順に「技」「知」「武」となってまーっす☆おすすめは、右から順番にやっていくことだよ〜♪じゃ、頑張ってねー☆』
このふざけ切った看板を見た時にこぼれた恨み言が、冒頭のひと言ってわけだ。
「どうしましょうか。本当に、よくもここまで……と思うほど怪しいですけど、他に道は無さそうですよ」
「マジかよ」
となると、この看板に従うしかないのか。
……やだなぁ、だって見るからに罠っぽいんだもん。仮に罠じゃなかったとして、こんなことさせる理由ってなんだよ。
ふぅ、ひとしきりツッコミ入れてみたけど、実際進むしかないかぁ……
セリカも「面白そう!」って顔してるしな。
「真宗くん! やってみようよ!!」
やっぱりかぁ……やっぱそうなるかぁ。
「しゃーない。やるだけやってみるか……って、なるとでも思ったか?」
俺はそんな諦めのいい男じゃない。こんな見え見えの罠、引っかかってたまるか!!
「まだここにたどり着いたばっかりなんだ! 脱出の手がかりくらいあるだろ!」
「えぇ……面白そうなのに」
♦︎♦︎♦︎
30分後――
「な、なんもねぇ……」
マジで清々しいくらい手がかりのひとつも見つからねぇ。
なんなら、いつのまにかここまで通ってきた道が塞がっていたせいで、最初に落ちてきたホールに戻ることもできない。
「もう諦めようよぉ」
ぐっ、俺も同じこと考えてたなんて言えねぇ。
王花も、口には出してないけど目が死んでる。
そもそもの話、探すスペースなんてなかったんだよ。目の届く範囲しか無い部屋で何を探せってんだ……言い出したの俺だけど。
やばい、焦って自分で何言ってるのかわかんなくなってきた。
「ええい!! まだ何かしらあるはずだ!!」
♦︎♦︎♦︎
さらに10分後――
「ダメだ。なーんもねぇ」
探し回っても、やけになって逆立ちしてみても、こうして床にうつ伏せで突っ伏してみても。まるで抜け道なんて見つけられない。
『ぴーんぽーんぱーんぽーん……あんたら、さっきから何やってんのさ』
痺れを切らしたらしい敵側からこんな風にアナウンスが入る始末だ。
ってか、これってどうやって話しかけられてるんだ?セリカたちにも聞こえてるみたいだし。
「うるせぇ!! さっさと出せよ!!」
『だぁーからぁー! 試練クリアしたら出したげるって言ってんでしよぉ〜!? 罠なんかじゃ無いからさっさと終わらせなさいな!』
お前がそれ言っちゃうのかよ。全然信用出来ないけど、これでもう言い訳無くなっちゃったじゃんか。
「真宗くん! 天の声さんもこう言ってるんだし!」
「あぁもう、わかったから揺らすなって。あと、その呼び名はあんまり使うな」
「なんで?」
「俺も知らんけど、なんか怒られそうな気がする」
なんで俺もこんなこと言ったのか分かんない。分かんないけど、何故か言わなきゃいけない気がしたから不思議だ。
「それじゃあ、行きましょうか」
そう促す王花の声は、先ほどまでと違って感情が戻ってきていた。よっぽど苦痛だったんだろう。付き合わせて悪いことしちゃったな。
「しゃーない。さっさと終わらせて、上に戻るか!」
そうして、俺の駄々……もとい、狡猾な敵に対する抵抗虚しく、怪しさ満点の試練に挑むこととなったのだった。
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とぅーびーこんてにゅー
どもども、ご無沙汰しております!雅敏一世です♪
本当はご無沙汰してちゃいけないんですけどね(笑)
さて、今回ですが路線を変更したことも相まって遅くなってしまいました。
それに伴い、話数合わせのために真宗くんが駄々こねるだけのお話になってしまいました……ので、ネタ要素モリモリでお送りしております(笑)
こういう、まったりした話を書いてると、飽きられちゃうんじゃ無いかとちょっとだけ心配だったりするんですよね…
こんなのでも大丈夫だよという方は、いいねしてくださると嬉しいです♪心の平穏を保つためにも…
ではでは、長くなってしまいましたが、この辺りで失礼。
また会いましょー♪




