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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
68/123

新章49 -閑話-執務室での一幕




NO.65執務室での一幕


「なぜ『東共奪還作戦』に奴らを推薦したんです? ギルマス」


 真宗たちが東共に向かう前日。その夕暮れに、グリムはクロスの執務室を訪れていた。


「べーつにー。心の底から、あの子たちが適任だと思っただけだよ」


(白々しい)


 そんなグリムの感想も、思いっきり顔に出ているのだが、クロスは気づいていないふりで流す。

 グリム側も、気づいているだろうなとは思いつつ、どうせ深追いしてもはぐらかされるだけなのでそれ以上の詮索はしない。


 もう数年来の付き合いなのだ。クロスの扱いは1番わかっていると言っても過言ではない。


「まっ、君には迷惑かけないから安心してよ」


「かけられたらはっ倒しますのでご安心を」


「あっははは! いつにも増して辛辣だなぁ。そんなに気に入らない?」


「当たり前です。特に大和真宗。やつは隊員としての自覚がなっていない」


 初任務を経て、グリムも真宗の人となりは知れた。今更、真宗を真っ向から否定するつもりはない。ただ、彼が心配していることはひとつ。


「このままでは、やつは死にますよ」


 そのセリフに、クロスの眉がピクっと動くが、それは一瞬のことで、いつも通りの軽薄な面構えは変わらないままだ。


「なんで?」


「セリカは言わずもがな、リズ・インスグレイドも死の覚悟はできている様子です。双子も、状況が状況なのでおそらくは。ですが、奴は急に強くなりすぎた」


「で、慢心があると?」


 グリムの言う通り、平均より少し強い程度だった真宗が、いきなり覚醒者、そして世界最強格である『終焉の古竜』までのしあがったのだ。


 実際、真宗も多少なり調子に乗っている。ここまで、無双の片鱗すら見せていないのは、まだ真宗が自身の力を把握しきれていないのと、本人の性格故だ。


「その通りです。が、強さに関しては、あくまでも以前の奴と比べた場合の話です。他の覚醒者と比べると数段劣る。加えて、ヒルデガルドの強さは俺と雷刃の間くらいです。正直、俺には無謀としか思えませんね」


「なにが言いたいのさ」


 本題に触れようとしないグリムに、痺れを切らしたクロスが膨れっ面で問いかける。

 本来、大の男がするにはドン引きされるような仕草だが、クロスの見た目の幼さ、普段の性格も相まってそれすら絵になる。


「ギルマス、あなた……大和真宗を殺す気でこの任務に推薦したんですか?」


 対してグリムは、あくまでも真面目な態度を崩さない。

 そして、その言葉を聞くと同時、今まで普段通りのニヤケづらを貼り付けていたクロスの顔から、今日初めて笑顔が消えた。


「ふっ……その通り。って、言ったら?」


 光の抜け落ちた目をしつつも、笑顔を取り戻すが、先程までとは違い、目が全く笑っていないクロスの言葉に、グリムは答えない。


「まぁ、全く全然これっぽっちも合ってないんだけどね?」


「は?」


 予想外の反応に、グリムは口をぽかんと開け、呆気に取られてしまう。その様相を招いた本人は、堪えきれないと言った様子で頬を赤らめ小さく震えながら俯いている。


「くっくくく……いやぁ、グリムがすごい勘違いしてるからからかいたくなっちゃってさぁ。グリムったら、凄い真剣な顔で全然見当違いなこと言ってて……思い出しただけでもう……ぷっ」


 対するグリムも、自分が今まで弄ばれていた事に気づき、滅多に表情の変わらない顔が、一気に赤色に染まっていく。


「ふっ、ふざけないでください! こっちは真面目に話しているのに!」


「ごめんごめん。真面目に話してるから余計におちょくりたくなっちゃったんだよ……ふふっ」


「ま、まだ笑いますか! ……はぁ、もういいです。で? 本当のところはどうなんですか?」


 話を逸らすため、笑いすぎて未だ目尻に涙を浮かべているクロスに、先ほどの質問の真意を問いかける。


「単純な理由さ。僕は草薙小隊に期待してる。あんな変人だらけの面白い隊なんてそうそうないからね。だから、今後の成長のためにも推薦したんだよ」


「なんだか拍子抜けですね」


「そぉ? まっ、あの子たちの成長を期待して、久しぶりに一杯行こうじゃないか!」


「あんた飲みたいだけだろ……」


 文句を垂れつつも、決してNOとは言わない。

 これこそが面白がられて、からかわれる最大の原因なのだが、そんなことは露も知らないグリムは、今日も愚痴とからかいが待つ飲み会にみを落とすのだった――


           -おまけ-


一方その頃真宗は――


「行きたくねぇ!!」


「ワガママ言うなこのバカ野郎! 明日なんだぞ!? 今更駄々こねたってしょうがねぇだろ!!」


 この後、小1時間リズに説教され、セリカからの説得を受けてやっと荷物の準備を始めた。

 その結果、朝起きる時間が遅くなり、列車に間に合わずイナが置き去りにされるのは、もう少し先のお話……


………………………………………………………………

とぅーびーこんてにゅー……なんであたしがとばっちり受けなきゃならないのよ!

どもども、前回の反省をもとに、ちょびっとだけ早くなったけど、それでもまだ投稿頻度の遅い雅敏一世です♪

さて、今回ですが、ちょっとした小話になっております。もうクライマックスも近いので少し箸休め、次回からはついにヒルデガルドの拠点に突入!……の予定ですが、あくまで予定なので変わったとしても悪しからず…

ではでは、作者はこの辺りで失礼

また会いましょー♪


あ、作者は明日から3日間かなり忙しくなるので、次話は遅れることが予想されます。申し訳ございますん♪

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