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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
62/123

新章43 『色欲』の恋模様




NO.59『色欲』の恋模様


「どうやったら、好きな人に振り向いてもらえるの!?」


 目の前の少女、『色欲』の勇者であるシーシャは、そう叫ぶと、顔をずいっと近づけてくる。

 

「えっと……どういうことだ?」


「シーシャは、ヒュートくんのことが好きなんだよね!」


「ちょっ! お嬢!!」


 シーシャが言っていることの意味が全くわからず、セリカに目配せをすると、とんでもないことを暴露してくれた。

 別にそこまで詳しいことは言ってくれなくてもよかったんだけどな……お気の毒に。


 待てよ? ヒュート? ヒュートって確か『強欲』の勇者だったよな?


「ようは、シーシャ……さんはヒュートって人が好きだけど、全然相手にされないから振り向いてもらえる方法を知りたい。と」


「そっ、そういうことよ。あと、シーシャでいいから」


「そっか、んじゃシーシャ。一つ聞くけどさ……なんで俺なんだ?」


 そう。これが疑問なのだ。立場上、部下とかに聞くわけにはいかないってのは、なんとなくわかるんだけど、にしてももうちょっと同僚の勇者とかで、恋愛得意そうな奴とかいるだろうに。


「なんでって、あんた本当に言ってんの?」


 『信じられない』と言った顔で、シーシャはセリカの肩を掴んで自分の前に持ってきて、膝に座らせる。


「この鉄壁の要塞とまで言われてたお嬢を落としたのよ? どれだけすごいことがわかってんの? ほらお嬢。あんた今まで何回お見合いを断ってきたか言ってみなさいよ」


「に、2000回くらい?」


「はぁ!?」


 いや待てよ? 確かにこいつ、黙ってればめちゃくちゃ美人だし、性格も……まぁ、変態性さえ除けばいい方だと思う。

 少なくとも、初対面ではかなり好印象だろうな。


「でも、あのおどおどした感じだと、なかなか話しかけづらそうだけど」


 入隊試験で初めて会った時とか、初任務の時とかと比べると、今のセリカは別人みたいなんだよな。

 見た目もそりゃ変わってるけど、性格もこんなに明るくなかったはずだ。


「あの姿の時は、私が私じゃなくなっちゃったみたいな気がするから、あんな風におどおどしちゃうんだ。だから、こっちが素なの!」


「それに、お嬢が超美少女モードじゃなかったのは、ここ数ヶ月だけの話だからね。そりゃもう、とんでもなくモテてたわよ。それこそ、あたしが嫉妬するくらい」


「ちょっとシーシャ。昔のこと引っ張り出さないでよー」


 確かに、セリカって俺にはもったいないくらい高スペックだよな。外面は良さそうだし。

 普段の様子を見たらドン引きされそうだけど。


「だったら尚更、俺でよかったのか? もっと他にいいやついただろうに……」


「むっ。その言い方なんか嫌。私は、真宗くんがよかったの!」


 プイッとそっぽを向き、セリカはシーシャとヒソヒソ話している。

 うーん……よくわかんねぇな。俺別に、セリカに好かれるようなことした覚えないんだけどな。


「悪いな、シーシャ。別に、俺からアプローチしたわけじゃないんだよ。だから振り向いてもらえる方法ってのは、いまいち分かんねぇんだ」


「そう。まあいいわ。ダメ元で聞いてみただけだし。いい話も聞けたしね」


 うわっ。超むかつく顔でニヤニヤしてやがる。さっき小声で何を話してたんだ?

 すげぇ気になるな……いや、怖くて聞けないけどさ。


「んじゃ、長居しても他の人に迷惑だしそろそろ――」

「そういえば、シーシャちゃんって、ヒュートくんのどこが好きなの?」


「ちょっ、お嬢!? あんたも、なんで座り直すのよ!!」


「だって気になるし」


 つい先程のシーシャと、全く同じ笑みを浮かべて煽ってやると、シーシャは小さく唸ってから、深くため息をついた。


「はぁ。ここだけの秘密よ?」


 そう前置きをしてから、シーシャは恥ずかしそうに頬を赤らめて話を続ける。


「ぜ、全部よ。長い前髪に隠れた綺麗だけど、眠そうな目とか、さりげなく優しくしてくれるところとか……あぁもう!何言わせんのよ、恥ずかしい!!」


「さてセリカ。あんまり長居してもあれだしそろそろ行くか」


「そうだね。あれだしね」


「何をニヤニヤしてんのよ……って、あ!! ちょっと待ちなさい!あんたらの馴れ初めも話していきなさいよ!!」


 俺とセリカは、シーシャの静止に耳を傾けず、そそくさと医務室を出ていこうとする。が、俺の服の裾を、シーシャが引っ張ってきたため、止まることを余儀なくされた。


「どした?」


「お嬢を……セリカをお願いね?」


「――? あぁ、任せろ」


「ふふっ、いまいち信用しきれない返事ね。またいつでも来なさいな。基本的にここにいるから」


 そう言うと、シーシャはこれまで見たこともないほど、優しい顔つきで微笑んだ。


「おう。暇な時があったら寄るな」


 言い方がちょい引っかかるけど、純粋にセリカを案じているのだけは分かる。

 なんだかんだで、こいつもいいやつなんだな。

 そんなことを思いながら医務室を出ると、ちょうど怪我人が、入れ替わりで医務室に入って行った。


「あぁ〜! こんにちは♪お怪我されたんですね!! 大丈夫ですか? ……かわいそうに、痛いの痛いの飛んでいけ〜♪」


 改めて見ると前後のギャップすごいな。


………………………………………………………………

To be continued

どもども、5日遅刻の男。雅敏一世です!!

本当に申し訳ない。現実の方が忙しくて、なかなか執筆時間が取れませんでした。

さてさて、新章第一幕ももう中盤となって参りました。

勇者たちの話が終わり次第、いよいよ東共奪還作戦に突入します!乞うご期待ください。

ではでは、また会いましょー♪

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