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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
56/124

新章37 未知との遭遇




NO.53未知との遭遇


「ぬふぅぁ。……朝、か」


 爽やかな朝の日差し、そして絶妙に残る倦怠感(けんたいかん)と共に目が覚める。

 どうやら、昨日はあのまま寝落ちしてしまったらしい。


 寝返りを打つと、目の前にはセリカの顔がある。

 すらっと高い鼻だち。そして、長いまつ毛に、閉じていてもわかる大きな瞳。やっぱ、黙ってれば凄い美人なんだよなぁ。

 ああ、動きも変態のそれか。じゃあ、黙ってじっとしていれば、だな。


 “残念な美少女”というのが、ここ数週間セリカと過ごした中で定着したイメージである。

 ……いや、待て待て。何でこいつ俺の部屋で寝てんだよ。


「ふわぁぁ。……あっ、真宗くんおはよう」


 寝起きで頭が回らず、半ばパニックになっていたところ、セリカが目を覚まし、寝転んだまま見つめ合う形となった。


「『あっ、おはよう』じゃねぇ。なんで人のベッドで寝てるんだよ」


「手は出してないから大丈夫だよ?」


「出してたら大問題だろ。ってか、こんなとこ誰かに見られたら――」


 そこまで言いかけて、嫌な予感に起き上がってドアの方を見ると、リズが気まずそうな顔で立っていた。


「あー、わりぃ邪魔したな。後で出直す――」

「違うから!!全然邪魔じゃないからひとりにしないで!!」


 この後、リズの誤解を解くのに数10分かかった。


♦︎♦︎♦︎


 なんとかリズの誤解を解いた俺は、草薙小隊の面々と共に日用品を買い揃えるため、ギルドの真前にある大通りに来ていた。……ってのは建前で、ただの暇つぶし兼気分転換だ。

 

「イナ、ルナ。あんまり離れて迷子になるなよ?」


「分かってるわ!」

「……わかった」


 口を揃えて元気よく返事をするイナルナだが、全くもって信用ならない。

 それどころか、この発言がフラグなのではないのかとすら思えるのは、こいつらの普段の言動が原因だろう。


「にしても、こうして買い物目的で来るのは初めてだけど、結構いろんなもの揃ってるんだな」


「そだね。公都で買い物といえばここ。ってくらい人気だからね」


 あまりの賑わいに、ひとり言をこぼすと、セリカが人差し指を立ててありもしないメガネを上げる動作をしながら教えてくれた。くそ、ドヤ顔ちょっとかわいいな……

 ってか、そんな人気なのかここ。どうりですごい人なわけだ。


「つか、何買いに来たんだ? 別に日用品なら本部の売店で買えんだろ」


 頭の上で腕を組んだリズが、突然そんなことを聞いてくる。


「気分転換だよ。それに、お前ら元々面識ないだろ? 打ち解けるきっかけになればな。と思ってさ」


「何言ってんだ? んなもん、お前の誕生日祝った時に打ち解けてんぞ」


 あれ? もしかしてただの空回り? なーんだ。俺が心配する必要なんてなかったのか。


 それじゃあ、今日はパーッと遊ぼうぜ!

 ……と、言おうと思った矢先、周りにセリカたちがいないことに気づいた。


 ははは、まるで迷子だな……はぁっ!? 迷子だ!! やばいやばい!! この年になって迷子になるのはやばいだろ!! まさか、冒頭に立てたフラグが自分に返ってくるとはな……


 いやいや、そんな呑気なこと言ってる場合じゃない。さっさとあいつらを探し出して合流しないと。


ドンッ


 方針を決めて歩き出した瞬間、前から来ていたガラの悪い男にぶつかってしまった。


「おいにいちゃん。ちょっとこっちこいや。話しようぜ」


♦︎♦︎♦︎


 あのまま引っ張られ、路地裏に連れ込まれてしまった。なんだこの急展開は。ってか、これってもしかしなくてもピンチというやつなのでは?


「なぁにいちゃん。この服高いんだよなぁ。わかるか? ぶつかった時飲み物こぼれたじゃねえか!! どう落とし前つけてくれんだ!! ああ!?」

 

 ひぃぃ!! 怖すぎるだろ!! 

 いや待て。俺が本気出せばこんなやつお話にならないはずだ。……でも、怖いもんは怖いんだよ!!


「口で言ってわかんねぇなら体に教えてやらぁ!! ……あっ、こら! 待ちやがれ!!」


 おっかなすぎなので、逃げ一択だ。トラブル起こすわけにもいかないし、これが最善策のはず。

 とりあえず、あの辺の木箱の中に…………ふぅ。これでバレないはず。よかったぁ。ちょうど入れる大きさの木箱があって。


「あのガキどこ行きやがった?」


 さっきの男が、キョロキョロと当たりを見回しながら去っていくのが木箱の隙間から見えた。


「助かったぁ……いでぇっ!」


 安堵のあまりその場に座り込むと、ドアノブのようなものに頭をぶつけてしまった。よくある回すタイプの物だが、木箱を退けて現れた扉からは異様な気配を感じる。


 右2回、左2回、押し込んでー右に回す!!

 勢いのまま適当にドアノブを回していると、案外あっさりドアが開いた。そして、押し込むために前へと体重をかけていた俺はそのまま倒れ込んでしまった。


「なんだ……ここ?」


 ドアの先に広がっていたのは……

 天井が見えないほど広い空間に、おびただしい数の背の高い本棚。

 そして……その真ん中で、ティーテーブルに突っ伏して寝ている、黒髪の女性だった。


………………………………………………………………

To be continued


 


どもども、雅敏一世です!

今回は時間がないので手短に。

ついにキーパーソン登場!ここからヘタレつの物語はどう動いていくのか!ご期待ください。

ではでは、また会いましょー♪

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