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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
55/123

新章36 -幕間-真宗が空飛ぶだけのお話




NO.52 真宗が空飛ぶだけのお話


「マサはこの後どうすんダ? 俺はもうちょい残るけど」


 拉致されていたギルド隊員の救出後、雷刃が突然そんなことを言い出した。

 そういや、任務終わった後のことまで考えてなかったな。


「もう遅いし、適当な宿探して泊まってくよ」


 実際、この街に来てから数時間が経ち、もう既に日付けを跨いでいる。流石に公都に戻るにしては遅すぎるからな。


「そっか。んじゃ、また公都でナ」


 そう言い残して、雷刃はどこかへ行ってしまった。

 大方、後片付けの手伝いにでも行くんだろう。


「さってと、どっか適当な宿でも探すか」



 数分後――


 やばい。さっきの騒ぎでどこも閉まってる……え? 野宿?

 こんな街中で野宿しなきゃいけないの? 

 そう言えば、どこの建物も灯りが消えてるな。


「まーじでどうしよう。まだ肌寒いし下手すりゃ凍死するだろこれ……」


 誰か知り合いが偶然通りかかったりしないかなー。とか思いながら、辺りを見回してみると、どこかで見たことがある銀髪の少年が目に入ってきた。あれギルマスじゃね?


「おっ! 真宗くんじゃん!! おーい!!」


 向こうも俺に気づいたらしく、手を振りながら歩いてくる。


「任務おつかれ様。はっははは。いや〜、災難だったみたいだね〜」


 何でもう知ってんだよ、とツッコミたかったが、クロスへの情報伝達が異常なまでに早いことはもう分かりきっているのでやめておく。


「笑いごとじゃないですよ。何で毎度何かしらの問題が起こるんですか……」


「なっははは! それは僕が聞きたいよ。どうしてそう毎度毎度、事件に巻き込まれるのさ」


 俺の割と深刻な悩みを他所に、クロスはふざける姿勢を崩さない。


「それで? こんなところで何やってたの?」


「実は――」


 クロスに泊まる宿がないことを話すと、「なるほど」と言った顔で手を打った。


「それならいい案があるよ。真宗くん。ちょっと背中をこっちに向けて」


「……? はい。これでいい……って、うわぁぁぁぁぁ!!」


 クロスに背を向けた直後、後ろから首根っこを掴まれ、そのままぶん投げられた。


「多分方角はギルド方面であってると思うから……あとは頑張れ☆」


「ふざっけんなよぉぉぉお!!」


 あとは任せたと言わんばかりのクロスのウインクがマジでムカつく!! 帰ってきたら覚えてやがれくそギルマスめ


 ふぅ。ひとしきり心の中で悪口言ったら落ち着いたな。んで、落ち着いてくると当然、恐怖心が湧いてくるわけで……


 あっ、どうしよう。俺死ぬのかな。これまでも、死を覚悟したことは幾度となくあった。だが、今回のは――


「いや、今回のが1番しょうもねぇぇぇぇぇ!!!」


 となれば、こんなところで死ぬわけにはいかない。

 さっきクロスは『方角はあってる』って言ってたよな?

だったら、微調整してなんとか無事に着地できるようにするしかない。


 あわよくば水辺とかに着水できるといいんだけどな。

 いや、この速さと角度で着水したら人間水切りみたいになりそうだ。じゃあ、藁とかベッドみたいな柔らかい場所一択だな。


 とはいえ、今飛んでいる場所からギルドまではかなりの距離があるので、しばらくは何もすることがない。いや、何もできない。

 ので、しばらくは大人しく風に揺られることにした。

 

「いや〜、夜景が綺麗ですな〜」


 なんて余裕のある感想をこぼせるのも、今日1日で色々ありすぎたせいだ。驚き疲れた上に、身体的疲労まで重なって、もう動揺する元気すら残っていない。


 半ば放心状態になりながら風と一体になること10数分。

 やっと見覚えのある公都の街並みが目に映り始めた。目が眩むような絶景だが、あいにく今回はじっくり鑑賞する余裕などない。


 幸い、クロスの狙い通りなのか、はたまた偶然なのか、俺の借りている部屋もあるギルド本部に向けて一直線に飛んでいる。


 ってか、今更ながらクロスの腕力やばいな。人を数10キロ投げ飛ばすとか、人間技じゃないだろ。流石はグリムを一撃で気絶させただけはある。


 あれ?この角度なら、微調整すれば自分の部屋のベッドにダイブできるんじゃね?俺のベッド、窓側にあるし。窓は割れるだろうが、致命傷は避けられるはずだ。


 そんなことを考えている間に、本部が近くなり自分の部屋も見えてきた。


「いっけぇぇぇえ!!」


 身体を(よじ)り、メギドフォルンを引き抜く。

 そのまま、前方に向けて峰打ちで『百火繚乱』を放つことで減速しつつ窓を叩き割る。


 一瞬、致命傷を覚悟するも、狙い通りベッドの上に座り込むように着地できたおかげで少し痛いくらいで済んだ。

 最後の減速が効いたのかもしれないな。

 まあ、何にしても――


「ふぅぅ。助かったぁ」


「真宗くん大丈夫!?」


 一息ついていたところ、凄い勢いでドアが開きセリカが駆け寄ってくる。


「いや、何でドア開ける前から俺ってわかるんだよ。普通空き巣とかを疑うだろ」


「――? 私が真宗くんの匂いを間違えるわけないでしょ?」


 うん。これ以上追及するのはやめよう。変態の相手するほど体力も残ってないし。


 あ、待ってこれやばい。落ち着いたら意識が……想像以上に疲れてた……みたいだな……


 こうして、波乱の任務は真の意味で幕を下ろしたのだった。


………………………………………………………………

とぅーびーこんてにゅー

どもども、皆さんあじゃぱるら〜。1週間も投稿サボった男、雅敏一世です!

本当はいつもと同じ投稿ペースにしたかったんですが、今週は忙しくて……

さて今回ですが、読んで頂ければわかる通り、完全におふざけ回です。前回が割とシリアスな回だったので帳尻合わせにコメディ回にしてみたんですが……内容薄すぎて本編にすると怒られるかなーと思い、幕間という形でお送りさせていただきました。

ではでは、作者はこの辺りで失礼します。

また会いましょー♪

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