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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
49/123

新章31 作戦開始!




NO.47作戦開始!


 お気づきだろうか? ここに来るまでいくらでも時間はあった。にも関わらず雷刃から一切作戦という言葉が出てこなかったことに。


 俺なんも聞かされてないんだけど? お前どうする気なんだ?そんな思いを込めてジト目で雷刃の方を見ると予約表に記名していた雷刃が視線に気づきウインクを飛ばしてくる。


「今予約してるからちょっと待っててナ?」


「別に早く入りたくてソワソワしてたわけじゃねぇよ!!」


 そんなやりとりをしつつも、一度冷静になって店内を見回すと、よく聞くキャバクラにしては落ち着いた雰囲気で、どちらかと言うとバーの方が近いかもしれない。


 各テーブルごとにパーテーションのようなもので仕切られており、客一人に対して店員さんが一人づつ付くスタイルだ。


「作戦も決めずにきちゃったけどどうするつもりだよ」


「大丈夫だ気にすんナ。お前はいつも通りにしてればいいサ」


 出入り口付近にある待合席に座り小声で問いかけると、不思議なほど自信満々にあしらわれた。


「それに……はじめてのキャバクラなんダ。せっかくだし楽しまないとナ!!」


 雷刃がそう言って立ち上がったタイミングで奥から金髪の綺麗なお姉さんが出てくる。


「おまたせしましたぁ。大和様、6番テーブルにご案内いたしまぁす」


「はいはーい。ほら、いくゾ」


「ちょ、引っ張るなって」


 てか、サラッと流したけど、こいつ潜入任務で実名書いてやがった!!


♦︎♦︎♦︎


「お客様初めてのご利用ですよねぇ。お名前なんて言うんですかぁ?」


 どうしていいのか分からず、ソファで小さくなって固まっていた俺に、先程案内してくれたお姉さんが飲み物を出しながら話しかけてくる。


 どうやらこの人が俺の担当らしい。雷刃には別の人がついていて、テーブルを挟んで向かい側に座っている。


「あ、真宗です」


 やっべ、緊張してめちゃくちゃ塩対応になっちまった。

 ほら! お姉さん黙り込んじゃったじゃんか!


 ひたすらに長く気まずい沈黙が我が物顔で場に横たわる。すると、正面に座っている雷刃が心底面白そうな顔で肘をつきながら見つめてくる。

 やめろ。そんな目で見るな。お前は隣のお姉さんと話してろよ。


「そういえば、お二人って似てますけど兄弟なんですかぁ?」


「はい。ついでに言うと双子です」


「やっぱりぃ! お二人ともすっごくカッコいいというか、美形ですよねぇ」


 俺、ちょっと感動してるかも。キャバクラってこんなに持ち上げてくれるのか。

 いや、ハマったりはしないよ? ここ遠いし、何よりセリカは嫌がるだろうしな。


「そ、そうですかね?」


「そぉですよぉ。ささ、どうぞぉ。いっぱい飲んでくださいねぇ」


 そう言って差し出される何かよくわからない飲み物を勢いでグッと飲み干す。

 ……って、これお酒じゃね? 案外苦いんだな。

 俺もう17だから年齢的には問題ないんだけど、人生初のお酒がキャバクラとか、俺の人生大丈夫なんだろうかと心配になる。


 ちなみに雷刃はガンガン飲んでる。本当にこれで任務は大丈夫なんだろうかと心配になる程凄い勢いで飲んでる。


「お前そんなに飲んで大丈夫か?」


「大丈夫ダ。問題ない……その疑いの目やめろヨ。本当に大丈夫だって。俺ザルだから」


 と言って、さらにもういっぱい飲み干してお姉さんにおかわりをせがんでいる姿をみていると心配だが、多分きっとおそらく大丈夫なはずだ。ってか、そう信じたい。


「お客様ぁ、何か悩み事があるんじゃないですかぁ? 疲れた顔してますよぉ?」


 お姉さんが突然そんなことを言ってくる。

 へ? 俺そんな疲れた顔してるか? と思い、ペタペタと自分の顔を触って確認してみるが自分では分からない。


「悩み事というか、突然いろんなことがあって心が追いついてないっていうか」


「話してみてくださいよぉ。ちょっとは楽になるかも知れませんよ?」


 と、お姉さんが言ってくれているので、お言葉に甘えることにした。


「本当にいろんなことがあってですね。ヴェストのことも、シルヴァのことも、結局は俺がもっと強ければ失わずにすんだの……かな……」


「なんだかよく分からないですけどぉ。真宗さんだけが全て悪いわけじゃないと思いますよぉ?」


「そう……かな。けど、どうせなら……みんなで、一緒に……」


 やばい、呂律が回らなくなってきた。

というか、もう意識も――


 そんな風に、意識が朦朧としている俺には気づくことができなかった。

 先程、ザルだと断言していた雷刃が机に突っ伏して酔い潰れている異様な光景を。


 薄れゆく意識の中たった一つの言葉だけが、最後に俺の耳に届いた。


「ふふっ。お客様2名、ご案内いたしまぁす」


 そうつぶやくお姉さんの目は、先程までと同一人物とは思えないほど狂気的に輝いて、それが一層お姉さんの美貌を際立たせている。

  


ここで俺の意識は途絶えた。


………………………………………………………………

To be continued

どもども、三月初更新でございます。雅敏一世です!

今月はあれもあるので気合を入れて頑張っていきたい所存。

今回、真宗がお酒を飲むシーンがありますがヘタレつの世界では15歳で成人なのでご安心を。

あ、危険ですのでお酒の一気飲みは控えてくださいね。

さてさて、好感度爆上げにしたところで作者は退場いたします。

また会いましょー!

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