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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
28/123

新章10 なんかノリで修行編突入です




NO.26なんかノリで修行編突入です


「いやー。間一髪だったね☆危ない危ない」


 そんな場違いなセリフを吐きながら俺の渾身の一撃を軽々と受け止めたクロスはヘラヘラといつも通りの笑顔を浮かべている。


「グリム」


 いきなり真面目な雰囲気へと変わったクロスはグリムを呼びつけると「こっちこっち」と言わんばかりに手招きをしている。


 怪訝そうな顔でグリムが呼ばれるがままにクロスの方へ歩いて行き。今、クロスのジャンプしながらのパンチが顔面にクリーンヒットし、勢いよく後ろに吹っ飛んだ。


「ばっか! やりすぎなんだよいつも! 新しく入ってきた子いじめるなって何回も言ってるだろ?」


 やりすぎなのはあんたも同じなんじゃ……やめておこう。どんなとばっちりがあるかわからない。しっかしよく飛んだなぁ。5メートルは飛んだんじゃないか?


「真宗!!」


 唐突に名前を叫ばれ、振り返ってみるとどうやら相当人混みに流されたらしく髪型がぐしゃぐしゃになったイナルナとその肩を支えるように軽く押しているシルヴァが見えた。


「よお、3人とも。やっと来たのか。って、お前らくるの遅くね?まあいいや、それより見たかよ俺の勇姿を! 勇者に立ち向かっていく俺。ちょっとかっこよかっただろ」


「はぁ、涙目になって足ガクガク震えてたくせによくカッコつけれるわね。ある意味尊敬するわ」


 イナが意味わからないことを言っているが素直にかっこいいって言うのが恥ずかしいんだろ。


「いやーごめんね真宗くん。うちのグリムが迷惑かけたみたいで」


 クロスがさっきまで文字通り壁にめり込んでいたグリムの襟を掴んで引きずりながら申し訳なさそうに言ってくる。


「いや、びっくりはしたけど、怪我はしてないし別にそこまで気にしてないですよ」


「そう言ってくれると助かるよ。はあ。悪い子じゃないんだけどね……責任感が強すぎると言うか、ちょっと真面目すぎだし堅物すぎるんだよね。この子」


 そんなクロスのセリフからは、最強と言われている勇者を完全に子供扱いなところがちょっと笑えるが、グリム……自分の部下のことを心から大切に思っていることは伝わってくる。


「ていうか、シルヴァ。最近見ないと思ったら真宗くんと一緒にいたのか。何やってんのさ……」


 クロスの呆れ気味に言い放った一言にシルヴァが心外だとすかさず反論する。


「そりゃないだろギルマス。ギルマスからの指令で俺は真宗についてたんだぜ? まあ、正体明かしたのは完全に俺の独断だけどな」


「びっくりしたよ。たしかに調査依頼は出したけど突然音信不通になるわ、調査対象と一緒にいるわで」


 そんな短いやりとりだけで、この2人が旧知の中なのだと分かる。てか、俺に対して調査依頼出されてたのかよ。たしかに最初にあった時任務だなんだと言ってたけどさ……


「はいはーい! ちょっと締まり悪くなっちゃったけど、欠員が出ちゃったし認証式はここでお開きにしたいと思いまーっす♪」


 シルヴァとの出会いが仕組まれたものだったと知り多少ショックを受けていた俺を尻目にクロスが唐突に、群衆に向かって呼びかけている。


 訳もわからず解散を命じられた式の参加者たちのあちこちからブーイングが殺到しているが、流石に勇者が倒れた状態で続けるわけにはいかないだろ。


「それじゃ、またあとでねーん☆」


 去り際そう言ってウインクを忘れずにしてクロスはステージの袖からグリムを引きずったまま消えていった。


「さて、俺たちも戻るか」


「そうね。なんかどっと疲れたわ。何もしてないはずなのに」


 自由奔放すぎるクロスに最後まで振り回された俺たちはもう宿に戻ることにした。


♦︎♦︎♦︎


「真宗様。お時間よろしいでしょうか」


 入隊認証式が思わぬ形でお開きとなり、部屋に戻り、特にすることもなくベッドでゴロゴロしていた俺の部屋のドアが叩かれ、外からは遠慮がちな声が聞こえてくる。


「はーい。ちょっとベッドから起きるの面倒くさいので入ってきてもらっていいですかー?」


 ドアがこれまた遠慮がちにゆっくりと開けられ、姿を見せたのは何かと縁のある、2次試験で試験官をやっていたお姉さんだった。


「失礼します……真宗様。流石にそのセリフは人としてどうかと思いますよ?」


 お姉さんのが引き気味に忠告してくるが、別に俺もずっとこんな風に自堕落な生活を送っている訳じゃない。

 昨日はドラゴン相手に激闘を繰り広げ、今日は朝から変な勇者に絡まれて体力的に限界なだけだ。


「ギルドマスターがお呼びです。来ていただけますでしょうか?」


 丁寧な言い方をしつつ、「まさか断る訳ないよな?」と言わんばかりのお姉さんの視線に俺に拒否権はないのだと悟った。


「わかりました。けど場所はわかんないんで――」

「ご安心ください。私がご案内いたしますので。早く終わらせて帰りたいですし」


「今なんて?」


「ごほんごほん!」


 最後に本音がチラリと見えた気がするんだけど……ってか、人には注意しといて、自分もさっさと帰りたいだけじゃないですか。


♦︎♦︎♦︎


「やあやあ真宗くん。さっきぶりだね」


 ギルドマスターの執務室に着いた途端、クロスが満足げに挨拶をしてくる。正直、なんで呼ばれたのか、逆になんでイナたちは呼ばれなかったのか謎なんだけど。


「ってなわけでー。真宗くんには僕の元で2週間。修行をしてもらいます」


 うん。呼ばれた理由はわかんなかったけど嫌な予感だけはしてた。しかし、今日は嫌な予感がよく当たるな。


 けど、けどな? 一個だけ言わせてほしい。


「ってなわけって、どういうわけだよ。」


 いきなり、なんの脈絡もなく放たれたひと言に、文句を言わずにはいられなかった。 


………………………………………………………………

To be continued !







どもども、1800pvを達成した男。雅敏一世です!

皆さん本当に応援してくださりありがとうございます。

さて、今回ですが、毎度のごとくあんまり進展がない回です。まあ、ゆったりまったりヘタレつは進んでいくのでどうかこれからもお付き合いください。

ではでは、また会いましょー

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