新章7 まったく感動的じゃない感動の再会
NO.23まったく感動的じゃない感動の再会
元々俺は目覚めがいい方だ。家族の中でも1番早起きなのは俺だった。昨日疲れて爆睡したせいか、今日は特に目覚めがいい。
「朝だ! 飯だ! 腹減ったー!」
「おう、朝からテンション高いなー。真宗」
「うぉっ! 居たのかよ! 恥ずかしいこと聞いてんじゃねえ!」
勢いよくカーテンを開けながらノリノリで歌っていた俺ををシルヴァがドアにもたれかかりながら生暖かい目で見つめていた。
「一応のノックはしたぞ?」
「返事がないなら開けるなよ! ノックした意味ないだろそれ!」
俺がツッコむも、シルヴァはまるで意に介していない様子でヒラヒラと手を振りながら――
「もう飯の時間だぞー。先に食堂に行ってるぜ」
と言い残して、去っていってしまった。
♦︎♦︎♦︎
食堂に着くと、既にイナルナは朝食を食べ始めていたが、シルヴァはわざわざ待ってくれていたらしい。
「あら真宗おはよう。今日も間の抜けた顔をしてるわね」
「朝に顔を合わせて、最初に出た言葉がそれかよ。もうちょっと感謝されてもいいと思うんだけど。俺」
「ふん!あんたがいなくても別にあたし達だけでなんとかなってたわよ。だから感謝なんてしてあげないわ!」
この野郎。誰のおかげで受かったと……いや、クロスのおかげだったわ。やべぇなんも言えねえ。クロスが合格にしてくれなかったら。俺ただの泣きながら走り回ってただけのやつじゃん。
「…………イナは、本当は感謝してるんだよ?……素直じゃない、だけ。もちろん……私も感謝、してる。」
「ルナ……」
なんていい子なんだ……どうして姉妹でこうも違うかな?イナもこんな風だったらまだ可愛げがあるのに。
「そういや、今日の集合は8の刻だったっけ?」
「そ。多分面白いことになるだろうから期待しとけよ?あと、今日は俺もついてくからな」
シルヴァがニヤニヤしながら不穏なことを言ってくる。正直、嫌な予感しかしないんだが……とりあえず今は難しいことは考えず、1日ぶりのご飯を思う存分堪能することにした。
「うまっ!」
♦︎♦︎♦︎
一昨日説明を受けた会場に俺たちは再び訪れていた。
にしても、相変わらずすごい数の人だな。これでもこの間の半分くらいなんだけど……
「皆さん、昨日はお疲れ様でした。よく休めましたか?さっそくですが、入隊認証式を執り行わせていただきます」
そう言って話し始めたのは、昨日俺たちのいた会場で、試験官兼アナウンスをしていたお姉さんだった。
「まずは、ギルドマスター、クロス様からお話をしていただきます」
「やあやあ! みんなおっはよ〜。みんなのギルマス、クロスだにゃん!」
場が凍りついた。空気が読めないことに定評がある俺でも、この場の空気が終わってることはわかる。
「あっははは! いや〜盛大に滑ったね〜。何かの会場の空気寒い! 誰か水属性の魔法でも使った? そんなわけないっての! あっははははは!」
やばい、お姉さんの顔がどんどん険しくなってる。
「ギルマス。ちゃんとやってください。しばきますよ」
「ごめんごめん。そんな怒んないでよ〜。けど、僕よりあの子達にお願いした方がいいんじゃない?」
「一応ギルマスからも何かひと言を。その後はもうあの人達に任せてください。余計なこと喋りそうですから」
「はいはい。手厳しいなぁ。まあ、なんにせよ入隊おめでとう! 汝らのこれからの活躍に期待しておるぞ〜。なんちゃって。んじゃまあ、こっから先は勇者の子達に丸投げしようと思いまーす」
丸投げって言っちゃったよこの人。って、勇者? なんだそれ?
「なんだそれって顔だな真宗。勇者ってのは、簡単に言うとギルドで1番強い7人のことだ」
へぇ〜。ギルドで1番強い7人か。そういや、前にじいちゃんからそんな話を聞いたような気がするな。
一体どんなやつが……って!
「雷刃お前何やってんだ!!!!」
突然、さっきまでクロスが喋っていたステージ上に現れた自分の兄に、俺は思わず大声で叫んでしまった。
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To be continued
どもども、毎度おなじみ雅敏一世です!
連続投稿2日目でございます。
早くもヘタレつは20話を超え、最近はあとがきやらで書くことも無くなってきました。
しかーし!あとがきを書くのはやめません。あとがきが面白い人の作品は面白いって言う謎の自論がありますので!
ではでは、今回はこの辺で。
またお会いしましょー




