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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
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新章4 俺を信じろ




NO.20俺を信じろ


 ドラゴン。それは最強の生物としての呼び声も高い存在。

 レッサー(小型)ドラゴンであろうとも例外ではなく、そこらの有象無象とは次元が違う。


 そんな存在を舐めてかかっていれば。


「無理無理無理無理!! 話が違うだろぉぉぉ!! レッサーだって、レッサーだって言ってたじゃん!!」


 こうなるのも当然である。そして、チラッと後ろを振り返ると――


「デカすぎるだろぉぉぉお!! どうやって倒せばいいんだよあんなやつ!!」


 別に俺も最初から諦めていたわけではない。ただ、試験が始まり開口一番飛び出して、あの硬いウロコに剣を弾かれて心が折れたのだ。


「ルナ、あいつめちゃくちゃ涙目よ!」


「…………無様」


「お前ら見てないで助けろよ!」


「「やだ」」


 ちくしょう好き勝手いいやがって。特にイナは後で絶対泣かす。あいつがサイドテールの髪解いてるときにゴム紐を白滝に変えといてやる。


 恐る恐る後ろを振り返るとターゲットを変えたのか、ドラゴンたちはいなくなっていた。


「ふぅ、巻いたか……」


「巻いてどうすんのよ。あれを倒さなきゃいけないんでしょう?」


「お前、誰のせいでこんな苦労してるかわかってんのか?」


「自業自得でしょう?」


「お前、いい加減にしないとそろそろ本気でキレるぞ?」


 実際、俺1人なら龍嵐刃舞1発でハイ終了なんだが、流石にあの2人を残したままにするのは不安しかない。


 全員が合格する方法はイナとルナを先に合格させて、俺が最後に悠然と合格することだけだ。


「現在、8名の方が合格されました!」


 その時、唐突にアナウンスが響いた。嘘だろ!? 合格者は全員で15人。つまり、合格者は後7人。約半分の枠がもう埋まっちまったってことか!


「2人ともやばいぞ! 時間がもうない!」


「そんなことわかってるわよ! でも、どうすれば……」


「とりあえずドラゴンがいそうなとこ向かうぞ!」


「…………了解」


 とはいえ、そう簡単には見つからな……っていた!よしチャンス! あいつ呑気に寝てやがるぞ。

 気づかれないように忍足で近づいていた時、上から何かが降ってきた。


「うわぁっ!」


 とんでもない速度でドラゴンに直撃した()()は俺も巻き込んでドラゴンを吹き飛ばした後むくりと立ち上がった。


「よお。誰かと思ったら七光り野郎じゃねえか。また会えて嬉しいぜ?」


 聴き覚えのある、できればあまり聴きたくなかった声がまったく嬉しくなさそうに話しかけてくる。


「なんだ、お前かよ。てか、俺らの獲物横取りしやがったな!?」


「わりーわりー、後1匹だったもんではしゃいじまってよ」


 そう言ってリズは嘲笑うようにケラケラと笑った。


「たった今、14人目の合格者が出ました! 後1人です、頑張ってください!!」


 俺がリズと不毛な手柄争いをしている時、最悪のアナウンスが響いた。


 ……嘘だろ? もう、3人で合格できないのか?


「ま、真宗?」


 不安そうにイナが声を掛けてくる。


「いや。まだだ、まだ諦めるには早――」

「後1人の枠はあんたに譲るわ。あたしたちは諦めるわよ。もともと、あんたの足を引っ張ってたのは分かってたもの」


どうすれば現状打破できるか必死で考える俺に、イナがとんでもないことを言ってきた。


「あ、諦めるって、お前分かってんのか?お前らの歳じゃまともに稼げるとこなんてギルド以外ない。俺1人じゃ、3人分の生活費なんてとてもじゃないが稼げない。だから俺は必死に――」

「そんなこと分かってるわよ。でも、どうしようもないじゃない! あんたが、あたし達のためにどうにかしようとしてくれてたのは分かってるわよ」


 イナは俺を安心させるためなのか、微笑みながらギブアップを宣言してきた。


「けど、後1人しか合格できないのよ。あたしたちは大丈夫。いざとなったら体を売るなりして、なんとかするわ。ほら、さっさとしないとあんたも合格できなくなっちゃうわよ」


 そう言ってイナは無理矢理に微笑んだ。クソっ!こんなとこで終わりかよ。ここで、試験に落ちれば間違いなく2人は奴隷の道を歩むことになる。


 そうじゃなきゃ俺もここまで必死になったりしない。何か、何かないか何か! 俺たち3人でこの試験に合格する方法は!


「ある」


「え? 真宗なんていったの?」


「あるぞ! 俺たち3人でこの試験に合格する方法!」


「そんなのどうやって……」


 俺は嬉々としてたった今思いついた画期的な方法を2人に伝える。


「いいか? ゴニョゴニョゴニョ」


「はあ!? ば、バカじゃないの!? そんな方法!」


「…………危険。……一歩間違えば」


 俺の作戦に2人が口を揃えて否定してくる。まあ、そうだよな。俺も正直これを実践するのは怖い。


「じゃあ、お前ら他になんか思いつくか?」


「そ、それは……」


「じゃあやるしかねえよ。ほら、さっさとしないと誰も合格できなくなるだろ?」


 まだ不満そうなイナに、さっき言っていたことをそっくりそのまま返してやる。


「大丈夫だ。俺を信じろ」


 そう。ここからは――


「こっからは、俺のターンだ!」


………………………………………………………………

To be continued












どもども、先日ついに1000PV達成した男。作者です!

皆さん本当にたくさんの応援ありがとうございます。

これからもより一層面白いお話を書いていきますので、応援よろしくお願いします。

さて今回ですが、ヘタレつに似合わずシリアス(?)な回になっております。

ではでは、またお会いしましょー♪

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