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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
序章 逢魔降臨編
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序章13 せっかくのお風呂回でも活字体だと意味がない




No.13せっかくのお風呂回でも活字体だと意味がない


 イナとルナにほとんど食べられた串カツを買い直した俺は、さっき買った2人分の服を手に下げ、王都のとある温泉の前で呆然と佇んでいた。


「なげぇ」


 だいぶ汚れてたから仕方ないっちゃあ仕方ないが、にしても1時間は長すぎるだろ。

 しかも、買わされた挙句に待たされた服が意外と重いんだよ。たかが服とはいえ2人分を1時間持つのは……やばい! 手がプルプルしてきた!


「まぁ、気長に待つか」


 半ば諦めかけながら呟いた言葉は誰にも聞かれることはなかった。はずだ。


♦︎♦︎♦︎


 真宗がぼやいていた1時間前の温泉内。真宗とイナルナが別れてすぐ。一方でイナルナは――



「まったく、何なのかしらあいつ! 偉そうに! ついて行くわけないじゃない!」


「…………偉そうなのはイナの方だと思う」


 そんな私のぼやきに対してルナが的確にツッコミを入れてくる。流石あたしの妹だわ。ツッコミのセンスも流石ね!


「そうかしら。真宗だったかしら? あいつ、なんか癪に触るのよね。まあ、服とお風呂代を出してくれたことは感謝してあげなくもないけど」


「……イナ、失礼。……まだ前面的に信頼はできないけど、信用はしてあげてもいいと思う。……よ?」


 うっ。確かに信用くらいはしてあげても良いのかしら。ご飯食べさせてくれたし。あたしは寛大だからね!


「ところでルナはなにをしてるの?」


「………ヨガ」


「そう。……ヨガにしては珍妙なポーズね」


 たまにルナは訳のわからないことをする。今のよがのポーズだって、反り返って自分の足を掴みながら回るって言う訳のわからないことをしてるもの。なんであの状態で喋れるのかしら?


 ……ちょっとだけ楽しそうなんて思ってないんだからね!

 まあ、真宗のこと、少しは信用してあげようかしら。他に当てもないし。


「よし! 決めたわ! あいつの監視よ監視! あいつは得体が知れないから、あたしとルナの2人で監視してやるのよ!」


「……おー」


「良い返事ね! 流石あたしの妹よ!」


 結局、回り出したルナを止めるのに2時間かかったなんて、ここだけの話なんだからね!


♦︎♦︎♦︎


 あいつら、なにしてやがるんだ? 風呂で2時間て。全身ふやけそうになるだろ。まさか風呂で大車輪やってるとか?


「ははは、あるわけねえか」


「…………なにがあるわけない。なの?」


「うわぁっ! と、ととと突然後ろからヌルッと出てくるなよ!」


 あー、びっくりした。まさか音もなく背後を取られてるとはな。ってあれ?


「お前本当にルナか?」


「…………どう言う意味?」


 現れたのは俺の知る小汚い双子とは比べるのもおこがましい美少女だった。綺麗に整った顔、スタイルは……まあ身長と一部除けば文句のつけようがないくらい。その辺のおっさんが見つめられたら卒倒しそうなほどだ。


「お前そんな美少女だったんだな」


 そんな心からの称賛を送るとルナは俯いて小さく震え出してしまった。やばい、俺なんかまずいこと言ったかな?


「…………不意打ちは、ずるい」


 ルナの口の中だけで呟かれたその言葉は俺に届くことはなかった。


「あれ? そういえばうるさい方は?」


「…………イナは、のばせて今は休んでる。……ふやけそうだって」


 言わんこっちゃない。まあ、直接は言ってないんだけど。

 となると大方俺の予想通りの展開になったわけか。つまり、こいつらの風呂がクソ長かった原因は――


「ルナお前。さては、風呂で大車輪やってただろ」


 冗談めかして言うと予想外の答えが返ってきた。


「…………なぜ分かった。……さてはあんちゃん、覗きだな?」


「そこは冗談であってくれよ! これじゃ俺がマジで覗きしたみたいになってんじゃねえか! あと口調どうした!」


 いかん。ツッコミが追いつかない。そんでもって、どんどん俺の好感度が落ちていく! 今通ったおばさんだって『やだ覗きですって』とか言いながらゴミを見るような目してたし!


「なにやってるのよ」


「お前丁度良いところに! ちょい妹なんとかしてくれよ。俺のこと覗きあつか――」


「…………イナ。……真宗が覗き、だって」


「おいやめろぉぉぉぉぉお!!! その言い方だと、俺が本当にやったみたいじゃねえか!!」


「な、何ですって!? 近寄らないで変態!」


「だから誤解だって言ってんだろうがぁぁぁあ!!」


この後誤解を解くのに小1時間掛かったのはここだけの話だ。


♦︎♦︎♦︎


「さてと、誤解も解けたことだしやっと本題に入れるな。はぁ、長かった。この話するのに3時間かかるっておかしいだろ」


「あたしはまだ信用してないんですけど」


 うるさい方がなんか言ってるけど気にしないでおこう。これ以上先延ばしにされたら話が全く進まなくなる。……よく見るとこいつもかなりレベル高いな。つり目なのと髪の色が金色なことを以外はルナと瓜二つだ。


 妹が莉愛じゃなきゃヤバかったかもしれないな。まあ、だとしてもこいつだけはないが。


「まあそれは置いといて。お前らこれからどうするんだ?」


「何で置いておくのよ! ……そうね、あたしたちは行く当ても、お金も記憶もないし」


 なんかなくちゃいけないもんまでない様な気がするけど……


「じゃあどうすんだよ」


「あんたについていくわ!」


 は? こいつ今なんて言いやがった?

 いや、聞いたよ? 『来るか?』って、けど、ほんとについてくるっていうとは思わないじゃん。


「あんたは得体が知れないからあたしとルナで監視してやるのよ!」


「ま、マジで?」


 俺が声をひきつらせながらそう聞くと2、人揃っていい笑顔で


「「うん!」」


と元気だけはいい返信をした。


○月×日問題2人が仲間になりました。


………………………………………………………………

とぅーびーこんてにゅー






どうも!四百PVの男雅敏一世です!いやー長かったようで短かったですねーここまで。実際数ヶ月サボってたのが悪いんですけど(笑)

さてさて、今回はお風呂回となっておりますが、ぶっちゃけ真宗にあんなことやそんなことをする勇気なんてないですけどね。一応期待してお進みください。

重ねてになりますが、本当にみなさん!四百PV達成ありがとうございます!では、また次回お会いしましょー。

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