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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
序章 逢魔降臨編
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序章10 はじめましてを君に




NO.10 はじめましてを君に


「……ん? ここは?」


 目が覚めたのは青空の下だった。そうだ、俺。ヴェストと戦うことになって、全部思い出した。全魔力ぶっ放して気絶してたんだった。


「やっと目が覚めたのか?」


「ああ、今やっとな」


 まだぼんやりとした意識の中、嫌に五感だけははっきりとしている。そのせいで、ドラゴンが体育座りしながらこちらをじっと見ていると言う地獄のような構図まで目に入ってきた。


「で? 結局俺は合格なのか?」


 とりあえずしばらくは動けそうにないし、諦めてこの寂しがりの話に付き合ってやるか。


「そ、そうだな! まあ合格ラインギリギリなのだが、まあしょーがないからおまけしてやるのだ! もちろん。我ならあの程度よゆーなのだ。なのだが、ちょっとやりすぎなのだ」


 と言いつつ何故か震えながらヴェストが指を差した先には、見るも無惨に半壊したクソでかいだけの壁があった。


「あれを。俺が?」


 と聞くと、ヴェストが無言で小さく頷いた。

 俺すっげーー!! 見た見た見た!? あの壁20メートルはあったぞ!!


「何を嬉しそうな顔をしてるのだ? ひとの家をぶち壊しておいて」


「しょうがないだろ必死だったんだから。それにお前人じゃないだろ」


「我はれっきとした人なのだ。まあ、()なのだがな。というか、そろそろ話進めるのだ。これでお前はめでたく魔王として認められたわけなのだが、これからどうするのだ?」


「そうだなぁ、特に行く宛もないしギルドでも行ってみようかなぁって思ってるけど?」


「バカなのだ? 真宗は天才的なバカなのだ?」


「は? なんで俺がバカ呼ばわりされなきゃいけないんだよ。バカはお前だろうが」


 ってか、天才的なバカってなんだよ。ひと言で矛盾すんな。


「まさか、お前分かってないのだ? 魔王がギルドになんて行ったら大変なことになるのだ!」


「え? そうなの?」


「まあ、『逢魔』ならよっぽど大丈夫だと思うが、ヒルデガルドのせいでギルドも魔王に対して敏感になってるのだ」


 なるほどな、ヒルデガルドのせいか。って、ヒルデガルド? ヒルデガルドって言えば、じいちゃんに呪いをかけた張本人だよな? そいつと東共になんの関係があるんだ?


「お前本当に何も知らないのだな。仕方ないのだ。教えてやる。ヒルデガルドはな、3人存在する魔王のうちの1人で、今、東共を不法占拠しているやつなのだ」


 そんなことを思っていたのが、顔に出たのか、ヴェストが渋々……を装って嬉しそうに説明してくれる。


「東共を占拠?」


「あいつのせいで東共は半鎖国状態。我のとこに誰も来ないのも多分あいつのせいなのだ」


「半鎖国状態?」


「ええい! ちょっとずつ復唱すんななのだ! 鬱陶しいのだぞ!」


 なんかめっちゃ怒られた。

 ってか、ここに誰も来ないのは絶対ヒルデガルド関係なく、何にもないからだろ。


「でもなるほどな、じいちゃんが出した条件で1個だけわかんないとこがあったけど……用は、ヒルデガルドを倒せってことなのな」


 まぁ、元よりそのつもりだったから、別にやることは変わらないけど。


「何か言ったのだ?」


「いいや、何でもない。とにかく、いつまでもここにいるわけにもいかないし、そろそろ行こうと思うんだけど……」


 ですよね。そりゃ、そんなこと言ったら泣きそうな顔するわな。


「ま、待つのだ! せめて魔王として覚醒するまではここにいるのだ!」


「魔王として覚醒?」


「そうなのだ。我という古竜に認められた今。お前の魔力は増え続けてるのだ」


 マジか、実感ねえな。


「早とちりすんなよ。お前も一緒に来ないかって言おうとしたんだよ」


「嫌なのだ! もうひとりぼっちは嫌なのだ。って、え? 本当なのだ? 本当について行っても良いのだ?」


「ああ、俺も一人旅はどうかと思ってたからな。まあ、ドラゴン連れてくと大変だろうけど、なんとかなるだろ」


「けど、我はいけないのだ」


 よっしゃ、これでボッチじゃなくな――ん? こいつ今なんて言った?


「我の本体はこれじゃないのだ。これはただの幻影なのだ。我の本体は、あそこの玉の中なのだ」


 玉? ……って、あの虹色に光ってるやつのことか。


「ずっと出れないのか?」


「ずっとではないが、しばらくは無理なのだ」


「じゃあこの玉持っていけばいいのか?」


 本当こいつ顔に出やすいよな。ったく、嬉しそうな顔しやがって。これじゃ、やっぱ置いてくなんて言えないじゃねーか。


「けど、面倒かけないのだ?」


「それくらいお安い御用だよ。ほらこの剣の塚とかちょうど――」


 無造作に置かれていた玉を手に取り、剣の柄、その先端にある窪みに近づけてみる。


『ガチャ』


 ん? 今ガチャって言った?


「やっば! 取れなくなった!」


「ちょちょちょ、我消えそうなのだ! 何したのだ真宗!」


「な、何にもしてなくはないけど! こんなことになるなんて思わないじゃん!?」


「と、とにかく我を連れていってくれるのだな!?」


「おう! それは約束する!」


「じゃあまたなのだ!」


 そう言い残すと、ヴェストは光に包まれて胞子状になって消えていった。

 締まらねーなおい!!



○月×日 無事に魔王になりました。


………………………………………………………………

To be continued




この度300pv突破した者、どうも作者です。

急に挨拶つまんなくなったって思った人。大丈夫いつもそんなに面白くないですから。


さて今回は説明多めとなってしまいました。いやー、ギャグといい感じな匙加減ってのはやっぱ難しいですねー。


では、またの機会にお会いしましょー♪

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― 新着の感想 ―
[一言]  爺ちゃんがほくそ笑んでる姿が見えるぜ... あとはじめましては赦しません うちにはドラゴンなんて飼える余裕はないですからね! 返してきなさい!
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