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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第二幕 灼熱大陸編
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新章78 東共奪還作戦後日談




NO.94東共奪還作戦後日談


「やぁ、任務達成ご苦労様」


 あの後、イナが泣き止むのを待ってから、ミルディさんの案内でギルマスの執務室に向かった。

 ソファにリズ、俺、セリカの順番で座り、ギルマスが反対側にポツンと座る形だ。


 ちなみに、イナは泣き疲れたらしく、少し離れたソファでルナの膝を枕がわりにして寝ている。


 最初に言われた通り、東共奪還作戦関連の話があるみたいで、クロスの雰囲気はいつになく真面目だ。


「本当に大変でしたよ。何回死ぬかと思ったか……」


「あっははは。実際一回死んでたしね」


「へ? なんて?」


「なーんでもない」


 なんか物騒なことが聞こえてきた気がするんだけど? まぁ、この調子だと追及してもまともに取り合ってはくれなそうだな。鳴りもしない口笛吹いてるし。

 ってか、さっきまでの真面目な雰囲気は一体どこに行ったんだよ。


 ってか、それがどうでも良くなるくらい気になることが一つ。


「なぁ、ギルマス。その人たち誰?」


「――? あぁ、そっか。多分真宗くんは初対面だったね」


 そう言って振り返るギルマスの視線の先には、ルナの隣に座るノッポと、仁王立ちしたままそれを見守る筋骨隆々の男がひとり。


 そのうち、マッチョの方は暖かい目で微笑ましそうに見ているものの、状況が状況なだけに不審者にしか見えない。


「デスピナ、プロテウス。ちょっと来てくれる? 君らからも話してほしいことがあるから」


「ほいほ〜い☆」

「了解した」


 細身の方は想像してた通りの声だったけど、マッチョのほうは想定していたよりもさらに野太いな。

 ってか、この声どこかで聞いたことがあるような――


「あぁ!! 天の声の人!!」


「あら☆覚えてくれてたのねん♪」


 この特徴的な喋り方で確信した。俺たちを落とし穴に落として、その上意味不明な試練まで受けさせてきた奴だ!


「ってか、敵じゃないのか!?」


「違う違う! カクカクシカジカ」


「ごめんちょっと何いってるわかんない」


「そこは通じてよ!!」


 そんなこと言ったって、わかんねぇものはしょうがないだろ。大体、漫画じゃあるまいしカクカクシカジカで何が伝わるってんだよ。


「――ってなわけで、2人は真宗君を担ぎ出すのにも協力してくれたんだよ。わかった?」


「は、はい」


 ギルマスが懇切丁寧に説明してくれたのはいいんだけど、途中で敵じゃないことを思い出しちゃったんだよね。

 今思えば、ヒルデガルドが操られてるって教えてくれたのはデスピナだったし。


 ヒルデガルドとの決着がついた後のことは覚えてないから、そこが聞けたのはありがたいけど、考えなしに聞いちゃった手前若干気まずい……


「でも、なんでここにいるんだ?」


「行く宛がないのよん☆ガルド様がいなくなっちゃったから、あたし達に居場所はないからねん♪」


「そっか。それで……なんか悪いな。嫌なこと聞いちまって」


 力なく謝ると、デスピナとプロテウスが揃って首をゆるゆると振る。

 話を逸らそうとして地雷を踏み抜いたかと思ったけど、喋り方とは裏腹に大人な対応してくれて助かった。


「にしても、ヒルデガルドの奴、なんで東共にずっと居座ってだんだろうな。別に何かしてたわけじゃなく、ただただ占拠してただけなんだろ?」


 今回の件に関しては、思い返すと謎が多いままなんだよな。結局、ヒルデガルドがなんでじいちゃんに呪いをかけたのかも聞けなかったし。


「何かを探していたらしいな」


 そんなことを思っていると、さっきまで沈黙を守っていたプロテウスがいきなり口を開いた。


「何かって?」


「すまん。そこまではわからない。だが、それもガルド様自身の意思ではないことは確かだ」


 つまり、操ってた黒幕が東共で何かを探していたってことか。うーん、いまいちピンとこないな。なんかこう、ひとつひとつに繋がりがないというか……


「結局何がしたかったんだろうね」


 セリカの言う通り、そこがはっきりしないから、行動の目的が掴めない。

 デスピナ達も、洗脳の被害を避けるためにヒルデガルドがわざと遠ざけてたらしいから、詳しいことは知らないらしい。


「うーん。わっかんね!」


「そうだね――あっ、でも中央政府を調べれば何かあるかも!」


「期待しない方がいいわよん☆ガルド様の私室とかはないからねん♪」


 即座に否定されたセリカがシュンとしてる。可愛い……じゃなくて、俺もいい案だと思ったんだけどな。


「今のところ手掛かりは何にもないんだし、保留にするしかなさそうだねぇ」


 そこまで言って、クロスは意味ありげな視線をこちらに寄越してくる。


「で、だよ。めでたく任務を完遂した君たちには、公宮から招待状が届いてるのさ!」


 無駄に洗練された決めポーズと共に差し出された封筒には、特殊な形をした蝋印のすぐ横に『東共奪還作戦褒賞授与式――草薙小隊様』と書かれていた。


「おぉ!!」


「話が脱線しまくってたから忘れかけてたけど、本当はそれを渡すために呼んだんだよ。日時は3週間後! 世間への正式発表もそのタイミングだから、忘れないようにね……ってことで、解散!」


 いきなり呼びつけられた割には、かなり強引な締め方だな。まぁ、段々と慣れてきてるし別にいいんだけどさ。


「あっ、そうだ。真宗くん」


「ん?」


 去り際、全員が外に出て、あとは俺だけ――というところで、クロスが思い出したように声を掛けてくる。


「麗奈が呼んでたから、一休みしたら行ってあげてね」


………………………………………………………………

To be continued

どもども!お久しぶりの雅敏一世でございます!

あとがきは要らないとアドバイスいただいたのですが、これだけは譲れないので続けていきますよっと。


さてさて、突如麗奈に呼び出された真宗!そこで待ち受けているものとは!

次回にご期待ください♪

ではでは、また会いましょ〜♪

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