冷たいのか優しいのか side成田
土端さんがなぜ助けてくれたのか、まったくわからなかった。
ナツ達が無視をして泣き出している私をそっと引き寄せてバスの席に座らせてくれた。ついでにナツ達に喧嘩も吹っ掛けて。
何のつもりなのか聞きたかったけど、席に座ってからは土端さんは何も言わず窓の外を眺めている。私は自分のポケットティッシュを出して、あふれた涙と鼻水を吹き、お茶を飲んで一息ついた。
バスが高速道路に乗るころには、涙も落ち着いてきた。他の皆はさっきまでにぎやかだったのに、すっかりおとなしくなった。疲れてるのかな?
土端さんは眠ることもなく、ただ流れる景色をぼうっと眺めているだけだ。私は意を決して声をかけてみることにした。
「あの」
「ん?」
「……ありがと」
ちらりと私を見るだけで、土端さんは何も言わず再び外に目をやってしまった。
生徒会に入ってから何度か話しているが、やはり何を考えているかさっぱりわからない。冷たいのか優しいのかもはっきりわからない。一つだけわかっているのは、私みたいに誰かと一緒にいないと辛くて泣きたくなるタチではないってこと。
強いなぁ。
バスの外の景色はだんだんと暗くなってきている。それにつられて車内もほんのりと涼しくなる。北海道ってこんなに涼しくなるんだって、昨日の夜にびっくりしたのを思い出した。何か話したくて土端さんに再び声をかけてみた。
「寒いね」
「そうかしら」
「土端さんて、北海道初めて?私初めてでさ、もう楽しいのと寒いのとでどうしていいかわかんないっていうか……」
「……」
「ん?」
「そうね、初めて」
「びっくりだよね。なんか雪降っちゃったりして……」
「そんな話をしたいの?」
「え?」
「私と世間話をしたいの?」
「えっと……」
「気を遣わなくていいわ。話したいことがないなら静かにしててもいいのよ」
「うん……」
全く話が盛り上がらない。ナツ達といるときは皆が笑ってくれるならって一生懸命、話題を見つけては面白おかしく話そうと努力してきていた。中学の時もそう。皆から外されないように。勉強できるけどバカですよって必死にアピールしてきた。
それを根底から覆されるような言葉に私は言葉を失った。初めて自分のしていたことを自覚させられたのだ。
また、涙があふれてきた。
土端さんは新しいハンカチを出すと、何も言わずそっと私の手の上においてくれた。
何枚持ってるの?マンガとか映画とかドラマだったら、イケメンがすることだよ。土端さん、イケメンすぎます。
私は遠慮なくそのハンカチを受け取ると、またしても遠慮なく涙をぬぐった。皆寝ているから声を出すわけにもいかず必死に荒くなる息を殺しながら泣いた。
土端さんは、やっぱり何か優しい言葉をかけてくれるわけでもなく、でも馬鹿にするわけでもなくただ静かにしていてくれた。私が泣き止みかけたころ、ぽつりとつぶやいた。
「私といればいいじゃない」
「え?」
「……」
「なに?」
「ひとりでいたくないなら、私といたらいいじゃない」
「いいの?」
「……」
ボソボソとどんどん声が小さくなりながらも私は伝えた。すると、土端さんは何故か頬を赤く染めて窓のほうに視線をそらした。
ん?なにその反応?
そのあとは、札幌のホテルに着くまで土端さんはこちらに視線を一度も向けることはなかった。
明日でUPし始めて半年がたちます。ひとえに皆様の応援のおかげです。
拙いにも関わらずここまでお付き合いいただけたこと、とてもとても感謝しております。
予定では遅くとも来年の2月、早ければ今年の12月には完結予定です。エタらないようにすることを目標にしております。
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