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祭りの後 side黒田

よし、よし。これなら、完璧な口実だ。


僕は元々、学校祭とか体育祭とか好きなタイプじゃない。でも、生徒会長になったからには皆が楽しくしていると自分のおかげだと思えばとても嬉しくて、楽しい。

そして、高校生活最後の学校祭でもう一つ目標があった。初めて片思いした、土端くんと少しでも一緒に学校祭を楽しみたい。そのための理由作りもした。このすべての教室と演目の書かれた紙をチェックする。でも、本当はこんなもの去年までなかった。職権乱用かもだけど、少しくらい自分のために何かしてもいいと思わないかい?


僕はチェックリストを片手に土端くんを探した。たぶん、クラス発表が終わってるから、まだ体育館にいるかもしれない、と思ったけど見当たらない。

しかたなく何の意味もないチェックリストを抱えたまま学校の中を歩き回っていた。すると保健室から出てくる土端くんを発見。ドキッとしてしまう自分を隠すように一つ咳払いをすると、いつも通り手をひらひらさせて呼んだ。


「土端くん!」


「あ、会長」


すぐに土端くんは僕を見つけて呼んでくれた。

こんな言葉使いたくないけど、これは、ほんとーにヤバい。嬉しい。

頬が熱くなるのを感じるとブンブンと首を横に振って冷ます。冷めないけど。


「なんですか?」


「え?あぁ、ごめんね。あのさ、いろんな教室回って点検しようかなって。土端くんもし手が空いてたら手伝ってくれないかな?」


「いいですよ」


え?あれ?素直だ。

思いもよらなかったことに僕が目を丸くしていると「貸してください」とチェックリストを取られてしまった。そして僕に断りなく何枚か捲るとベリっと半分の枚数を取った。


「あ!」


「じゃあ私、半分やるんで会長は残りやってください。終わったら生徒会室に持って行きます」


「え、えーと」


「手分けした方が早いですよね」


「ああ、そう、だね」


「では、また」


完全に彼女のペースに飲まれた。間違ったことを言っていないので言い返せない。一緒にチェックしながら、それで終わる頃には少しでも仲良くなっている予定だったのに……。

土端くんは、リストを今一度確認してその場を後にしようと歩を進めたが二、三歩歩いたところで止まって僕に振り向いた。これだけで心臓がバクバクするから本当僕って、情けない。


「あの」


「な、なにかな?」


「会長って、なんで会長になろうと思ったんですか?」


えー!?僕に興味あるの?

くりりとした紅い瞳でキョトンとした顔をして僕を見つめている。いつもの嫌味っぽさのない愛らしい顔だ。純粋無垢。可憐。彼女のためにある言葉じゃないかな。

答えなきゃ。えーっと。


「そうだね。僕の力で皆が幸せになればいいなって、さ」


「みんな?」


土端くんが怪訝そうに僕を見ている。

いやいや、まだ挽回できるはず。

僕は慌てて言葉を足した。


「そう、皆。スポーツできる子もできない子も、勉強できる子もできない子も、この学校にいることはつまり、兄弟みたいなものだろ?だから、皆で支えあえる、そんな学園生活を送れるようにできたらなって……」


「そうですか」


土端くんがあからさまに馬鹿にしたような顔してる。さっきまでの愛らしい瞳は細められ、それ以上何も言わずにさっさとその場を後にした。

ただの嫌がらせじゃん!ひどい!


けど、僕はそのツンツンしたとこ、嫌いじゃないです!

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