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教室の角で

入学式も終わり、2年目の春が始まった。

2年生からクラスは理系と文系で大きく分けられる。風巻かざまき土端つちはし、山本、成田も同じクラスになった。


HRや授業が終わり、昼休み。風巻の前の席が空くなり山本はその椅子に向かい合うように腰を下ろし、弁当を広げ始めた。


「また風巻と一緒で嬉しいよ!また一年よろしくな!」


「俺も嬉しいけど、お前大丈夫か?1年の時、ほぼ理系科目赤点だったじゃねえか」


「うっ」


噂では成績が平均化されるようにクラス替えが行われると聞いていた山本はそこに賭けた。面白い風巻と一緒になれるならと多少、いや、ものすごく無理して理系のクラスを選んだ。


「ただよぉ」


「ん?」


「俺の隣、土端さんなんだよ」


山本は今までとは打って変わってコソコソと話し始めた。五十音順で並べられた席順で山本の隣が土端になったことが気がかりで、つい風巻に不安を打ち明けた。風巻は「あぁ」というだけでそれ以上は触れず、買っておいたパンを食べ始めた。風巻はちらりと土端の席に目をやるがやはりそこにはいない。昼休みになるとすぐに弁当を持ってどこかに行ってしまう。おそらくは外のベンチを探してそこで一人食べているのだろうと見当がつく。


「見た目はすっげえ可愛くて、まあ、好きなんだけどさ。おっかねえじゃん。ほんと、見た目は良いよな。見るだけタダだし、あと関わんなきゃ良いだけかなぁ」


山本は風巻の返事を待つことなくベラベラと話している。すると教室の男子数人が2人の元へやってきた。


「山本、お前贅沢言うなよ。隣に可愛い子いるだけで勝ち組だろ」


「そーだよ。怖くたって何だって可愛いに越したことねえよ。つーかさ、2年て修学旅行あんじゃん。楽しみじゃん!土端さんと班組めたら一生の思い出だよ」


「そーそー。見学とかそこら辺の班行動は男女混合だ。そこでさ、土端さんのお眼鏡にかなえば付き合えっかもよ」


「もし付き合えなくてもさ、修学旅行なんだしちょっと悪戯とかできねえかな」


「いやらしいなお前!」


「「あはははっ!」」


男子たちが山本と風巻を置いてけぼりにして勝手に盛り上がり始めた。山本はうんうんと言われるままに妄想を膨らませて、どことなく楽しそうな雰囲気になっている。すると今まで何も話さなかった風巻が突然立ち上がった。皆も自然とそちらに視線がいく。


「風巻?」


「悪い」


風巻は山本の声に小さく相槌を打つのみで顔を隠すように教室を出て行ってしまった。しばらく男子たちは黙っていたが顔を見合わせると困ったように笑った。


「トイレじゃね?」


「もうチャイムなるから次の先生に伝えといてやるか」


昼休みを終えるチャイムと共に男子たちは自分たちの席に戻った。山本は心配だったが教師が入ってくるとおとなしく自分の席に戻った。


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