ファンクラブと紅葉色 side土端
黒田とかいう変な男の頼みに釣られて入った生徒会。こう言うのは嫌いだけれど、少し興味が湧いたのも事実だ。
風巻がいるなら、と思った自分がなんだか恥ずかしい。今まで感じたことのない感情で、どのタイミングでそうなったかもわからないからだ。
いないからと言う理由で辞めるのも、なんだかそこらへんのつまらない女が恋をしたみたいで気に入らない。
恋をした?
馬鹿馬鹿しい。本当に。そんな感情持ち合わせたことがない。ただ、素直に言えるのは風巻と話す時だけは素の自分でいられて気が楽だと言うことだけ。友達、というのもいたことないからわからないけれど多分それだろう。
今更辞めるわけにはいかなくなった。折角だから楽しもうと決めた矢先、成田とかいう女が変な紙を持ってオロオロしている。
「何これ」
成田から紙を取り上げて読んだ。部活申請の紙に書かれていたことに絶句した。
『風巻悠馬親衛隊』
馬鹿じゃない?なにこれ。
「あなたも入ってるの?この訳のわからないもの」
「まさか!入ってないよ!」
普通の女子は悪びれもなく馬鹿なことを考えるのだなと妙に感心してしまった。でも、わけがわからないし、気持ちが悪いので私はその紙をシュレッダーの中に入れた。
「あ!」
「その子たちに何か言われたら土端が処理したって伝えておきなさい。馬鹿らしい」
成田とか言うこの子は、バカがつくほど純粋だ。なぜ生徒会に入ったかわからないけれど。
「さ!諸君。初の会議をしようか!」
ぴしゃっとドアが開くと会長の黒田とその他の生徒会の面々が生徒会室に入ってきて、各々が席に座るとその日は方針などを決めるだけの簡単な会議で終わった。
生徒会に入って数日。会長の黒田と私2人だけで回収したアンケートをまとめていた。他の人たちは部活の見回りやらなんやらでたまたまいない日。
静かでいいなと思っていると、女たちがノックもなくどかどかと生徒会室に入ってきては、中心人物であろう茶髪がソファに座り何やら怒っていた。
「まっ!しらばっくれるのもそこまでよ!成田とかいう小娘に預けた書類は見たでしょう!?」
「成田くん?もらってないけど」
茶髪は今にも黒田に殴りかかりそうになっている。
ここで事件を起こされたらとても面倒だ。私は立ち上がると黒田と茶髪の間に入った。
「私ですよ、捨てたの」
「あ、あなたは!魔女!」
まっすぐ魔女って言われた。ダメでしょ、本人前に悪口言ったら。
おかしくてつい笑いながら私は話し続けると結果、茶髪とその他をバカにする話し方になってしまったようだ。そのことは謝るわ。
「センパイに言いたくないですけど、あんなアホな部活通るわけないですよね」
「キィ!アホとはなんですの!?ちょっと頭良いからって良い気にならないでくださる!?」
「「そーよそーよ!」」
怒っちゃった。私はもう面倒臭くてこの場が丸く収まればいいなと思って代打案を出した。
「部活じゃなくて、好きにやってたら良いじゃないですか。会議室を貸して欲しいだけなら相応の手続きすればいつでも使えますし」
「え?……部活じゃなくても使えるんですの?」
初めの頃に生徒会室にある書類は大体見たので場所はわかっている。引き出しから一枚の紙を取り出し茶髪に渡した。学生用の特別教室の利用許可書。茶髪は受け取ると取り巻きと相談してすっと立ち上がった。
「き、今日のとこは引いてやりますわ」
茶髪と取り巻きはそそくさと部屋から出て行った。ひと段落して自分の机に向かって座ると黒田がやってきた。
「あの、ありがとう。土端くん」
「いいえ」
私は簡単に答えるだけで作業に戻った。
風巻がいなくたって、別にどうと言うことはないし、さっきみたいな女たちが来ても嫉妬もない。
つまりこれは恋ではないってことでしょう?




