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2.アラモネの町

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 ソルが街を旅立ってから四度日が昇った。


 旅立ちの際に馬車に乗れていたら、昨日の早朝には次の町に着いていたというのに。


 今ソルが目指しているのはアラモネという名の町である。

 城下町とカルモーの町のちょうど中間点あたりにあるため行商人や旅人はアラモネを中継してくるのが普通だそうだ。


 そのため大抵の人はアラモネに向かう馬車に一緒に乗っていくのだが……。


 勇者は一人で旅立たなくてはならない。

 理由はそういう見世物とか儀式だからとしかいえないのだが。

 つまるところアラモネ行きの馬車には乗れなかった。

 まぁアラモネについて以降は馬車に乗れるのでもう少しの辛抱だろう。


 そんなことを考えていると町が見えてきた。

 到着したらすぐに宿を取ろう。鎧と剣を装備し長い距離を歩き、何度かモンスターと戦闘もしている。少し休みたい。モンスターの素材を売るのは明日の朝で良いだろう。





 町に入って一番最初に目に入った宿に入る。


 「ご主人、一人部屋開いているだろうか?」

 「ああ、開いているよ。一泊銀貨三枚だ。朝食と夕食をつけるならそれに加えて銅貨五枚だよ」

 「じゃあとりあえず食事付きで三日頼む」


 ソルは袋から硬貨取り出しカウンターに置く。

 恰幅の良い宿の主人は枚数を確認した後に銅貨を五枚ソルに返す。


 「……粗悪品ではないと思うが?」

 「違うよ。サービスだよサービス。お前さん良い格好してるしねぇ。お得意様候補を逃がしちまったら商売なんてできねぇからね」

 「しかし……」


 労働には正当な報酬が支払われるべきである。というのがソルの考えだ。

 兵士だって戦功を立てれば国から勲章をもらえる。戦功を上げても何も見返りがなければ真面目に働かない者もいるだろう。だからお金に関してはキッチリとしたい。



 「なんだ真面目だなぁお前さん。こうゆうのは黙って受けとくのが賢い生き方だよ。」


 主人は立派な顎髭をなでつけながらそう言うとソルに銅貨を無理矢理握らせる。

 ソルは釈然としない表情で主人を見る。


 「ハッハッハ。そんな顔しなさんな。ここだけの話、占いでしばらくの間お客にサービスすると運気が上がると言われていてな、おじさんを助けると思ってくれよ」

 「占い?」

 「なんだお前さん知らないのか。半年くらい前から教会がやっているだろう?」


 教会。ということはソレーユ教のことだろう。

 エルドリエ王国の国教で太陽神ソレーユを信仰する宗教である。


 しかし教会は占いなんてしていただろうか?


 宗教と政治には切っても切れない関係にある。


 ソルは王国の切り札である勇者一族の生まれであるため多少は政治にも関わっていた。教会のことについても一般人よりは詳しいだろう。

 半年も前に始まったことならソルの耳にも入るだろう。

 しかしソルは知らない。少なくとも城下町では聞いたことがない。


 「気になるなら明日にでも行ってみたらどうだ? 見たところ疲れているんだろう? 鎧も汚れているしな」


 改めて見てみると鎧は泥やモンスターの返り血で汚れていた。


 「ああ、そうするよ。あとモンスターの素材を売りたいんだがギルドはどこにある?」

 「あとでお湯と清潔な布を持って行く。そんときに地図書いてやるよ。階段上がって突き当たりの部屋を使ってくれ」

 「わかった。ありがとう」


 ソルは宿の主人から鍵を受け取り二階へと向かった。


ゆうべはおたのしみではなかったようですね

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