お約束、通過儀礼と誤算 2日目
[冒険者ギルド、玄関前]
9:50
アンさんに連れられ、冒険者ギルドに到着し別れる
「ようこそ勇者殿、冒険者ギルド一同歓迎いたします」
早速受け付けの人からやる事の説明を受ける
「私は、当ギルドで受付を任せられているエリー・メランコリーと申します」
こちらも挨拶を返し自己紹介をする
「わからない事があればいつでもご相談ください」
「とはいえ、勇者殿の場合賢者様がおられるので問題ないでしょうけど」
なんにもしらないんだが、脳内で会話するの?
「はあ」
無駄に口をはさまず適当に流す
パーティを組む場合は欲しい職を記入して、本人面接になるとか
俺が選ぶのかと内心あせる、お約束ともいえる冒険者登録
昨日すでに教会から連絡があり勇者として登録済みとの事
金属ぽい物質で出来たカードを手に持ち自分の名前を念じるだけ
魔力を付与した金属で出来たミスリル製、どっかで聞いた事あるね
ついでにカードは通常の冒険者の物と違い、一定以上の職についてる物なんだとか
勇者だけの特権?で、職業の部分は念じるだけで基本職に変更できるとの事
隠密用?スパイをだますよう?なにに使うのか興味は尽きない
ザクさんを見かけたので軽く挨拶と会話をする
その後エリーさんに検査をするらしく地下へ
ついでと、検査おわったら訓練してもらえないか聞いてみる
[冒険者ギルドB1]
10:01
すごそうな人達がちらほらこちらを伺ってる
円形闘技場のような中央の広間と?ただの仕切り?
一定感覚で水晶のようなものが埋め込まれてる柵
あれかな結界とかバリア発生的なやつ
何に使うかわからない機械のような物や、人型の的
壁には剣道の竹刀置きの様なものに大中小の木剣
とりあえず木剣を渡されたが大の木剣を注文する
長さはあっちの世界の木刀くらい、バットより大分長いが、木のバットよりは軽い
人型の的を殴ってくれとの事
手傷めないか気にもせずバッティングフォームで木剣を振りぬく
予想とは違う異様な手ごたえと結果、的が粉々になっているのが眼に入る
普通に考えた場合、弾かれて手を傷めるか良くて的が折れるかだが
この結果は異常を理解するのに十分だった
的を粉々にする技術なんて空想世界以外で見た事も聞いた事もない
「おいあれって」
「1次か?」
「そうだよ」
「面白くなってまいりました!!」
「彼女欲しい」
「普通じゃないな」
「騒ぐな馬鹿野郎」
様々な反応が聞こえてくる
確か賢者の写本に1次だと補正が異常だとかあったな
その後なにかで魔力を測ったり、攻撃を防御してみたりで検査は終わる
「さて勇者殿、訓練希望という事ですがどのような?」
「ああ、魔法を受けてみたいんですが」
「わかりました、手配いたしますのでお待ち下さい」
「よろしくおねがいします」
5分もしないうちに魔道士?らしき人をつれエリーさんが戻ってくる
「始めまして、上級魔法士のトレイヴンといいます」
「押す、自分はリュウといいます」
挨拶を交わし、早々に開始する
10:50
勇者殿が魔法を受けたい?という事でよばれたが
本人に話しを聞くまで若干混乱した
「どのようにすれば?」
「魔法事態よくわからないので、一番弱いやつをうけてみたいんですが」
どうやら経験をつみたいという事なのだろうと思い了承し
基礎魔法を放つ事にした
「これから放つ魔法は火の基礎魔法です」
「基本声に発する必要はありません」
「ですが声に出した方が威力は若干強まります」
「過去には詠唱が必要でしたが、それでは戦いに対応できません」
「賢者様と大魔道様の研究のおかげで今では詠唱なしが一般となりました」
「我が魔力をもって、根源なる属性の火となすとかなんとか」
「説明はこの辺でいいでしょうか、いきます」
「お願いします!!」
「fire bolt」
腕を交差するように防御行動は起こすが
魔力防護もなにもしない勇者殿に直撃する・・・
倒れる勇者殿と大混乱になる冒険者ギルド
「おはようございます、オラクルさん、いい日です!!」
どうやら気絶してたらしい、オラクルさん=回復されたと即認識できた
最初まわりにいた人達は解散したらしい、多少残ってる人もいるが
「・・こんにちは、勇者リュウ殿」
どうやら選択を間違えたらしくオラクルさんが戸惑ってるのがわかる
「勇者殿痛いところはありませんか?」
「大丈夫です、この通り元気いっぱい」
軽く体を動かしてアピール
「今回はこちらの不手際ですが、勇者殿無謀な事はなるべくおやめください」
よくわからないんで薮蛇をつつかないよう適当に返事しとく
「はい」
暫く召喚勇者がなかったせいか、対応を忘れてしまったのだろう関係各所
「気絶が好きじゃのう勇者殿」
賢者ザレスが現れる、まわりに驚いてる人はあんまりいない
珍しいものを見た程度か、事態がわからないそんな状況
「これは危うくて見てられんからのう、ワシがちょいと手助けしたほうがいいじゃろ」
「久しいですね、ザレス殿あいかわらずお元気そうで」
オラクルが声をかけ知り合いかのように話だす
「HAHAHA、おぬしらのとこの神すらわすれとったろ、いや神々すべてか」
「ふむ、なればしょうがない事ですなザレス殿」
「おぬしほんとにアークビショップかい・・・」
「寛容さには自信がありますから」
「状況的に違うと思うのじゃが、つきあうだけ無駄じゃな」
「勇者よ、こっちへ」
「勇者ではない転移者は、使い分けがもっと楽らしいがの」
「勇者じゃ難儀じゃろうな、そのうえ神まで忘れてる始末」
いわれたまま接近し、手を頭に当てられた所でまた気絶する勇者
11:16
頭いてぇ、オラクルさんが近くにいる=回復された
気が付いたら、気になってた感覚?力?を色わけ出来るようになったらしい
「昨日やっとった気合入れみたいな奴の応用で、魔力を全身に纏うイメージをしてみるといい」
なんとも漠然としたアドバイス、頭に某長嶋式を思い浮かべる
それにしてもやっぱみられてたのか、ちょっと恥ずかしい
ふむ・・・・うーん
「はああああ」
「だめじゃの」
また爆発+気絶した
「死ぬとこじゃったのう、そうじゃのこれを感じてみよ」
ザレスさんが手の平に気弾のようなものを作り出す、魔力弾かな?
ちょっとだけ心がざわつく、あぶないあぶない妄想の世界へ羽ばたく所だった
無理だな、コレが魔力ってやつなのはわかるが、操作するのは無理だ
「えーとですね、無理です」
「・・・・ふむあれじゃな、何種類かあってひとつだけ操作するのは無理と」
「ええ判別はできるんですが全部動いちゃいます」
「爆発するだけじゃのう」
まるで化学反応だな
「指輪があったじゃろそれをつけてみい」
指輪?ゆびわ!!、初日にもらったやつか
「わかりました、荷物見てきます」
荷物から出し指輪をつけてみると、驚いた魔力だけを認識している
この指輪の効果は魔力意外を抑える効果があり、転移者用との事
作成が容易なマイナス効果でやろうとしたら、実験者が死にそうになって廃止された
確かに実際にやってみなくてはわからない事はあるが
気の記述をみればわかるが根源の力らしいから、それをマイナス状態になんかしたら
容易に人は死んじゃうよな、そんな考えの中ひとつのアイデアが浮かぶ
「それをつけて暫く生活してりゃなじむはずじゃ」
「魔力を扱える者なら子供時代におぼえるものじゃからな」
「扱えるようになったら指輪を外してもできるはずじゃ」
「わかりました、ありがとうございます」
「ではまたの勇者よ」
笑顔と共にさる賢者ザレスに無言で礼をする
「申し訳ありませんでした、勇者殿」
「あのですね、上の者の判断なんですが一通りこの世界の力を見せてはどうかと」
「どうなさいますか?」
というエリーさん、上の人ってギルドマスター?
どうやら一連の結果対策?なのかそんな事を提案された、即答で返事をかえした
「それではまた明日いらしてください、準備が必要なもので」
「今日はこれで終了ですが、何か他にご希望は?」
「・・・ろしてみたい」