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マスターガイスト  作者: 諏訪未来
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第20話 告白


里香は病院のベッドの上で目を覚ます。


その傍らには直人が座っていて里香を見つめていた。里香はこれが夢なのか現実なのか一瞬わからなかったが、直人が笑顔と共に里香の手を握ったので、そこが現実だと認識できた。


「本当に無事でよかった。変な心配はさせないでくれ。」


直人の笑顔はいつものように眩しい。そして悲しくなり、里香は涙を流す。


「直人さん、私はもう貴方に関わってはいけないの。どうか、私なんかに関わらないでください。」


「どうしてそんな事を言うの?」


「私は価値のない人間なの。貴方に関わると貴方が汚れてしまう。貴方は『世界の宝』なの。私なんかが一緒にいていい人ではないの....」


直人は両手でまた強く里香の手を握った。


「何を言っているんだ。里香は素敵な人だよ。里香こそ『世界の宝さ』。俺がそれを証明してあげるよ。」


「本当に直人さんは優しい人なのね。でも、私とは全く住む世界が違うの。だからもう...」


「なんでそんな風に思ってしまうんだい?みんな里香の事が大好きなのに。それって里香に『価値』があるって事じゃないのかな?それに、俺は本当に里香が俺の彼女でよかったと思うし、自慢の彼女だよ。啓太だって、Bクラスの天使だって言っていたじゃん?」


それでも里香の硬い表情を見せる。


「直人さん....貴方にはまだ話していなかったけど、私は汚れた身体なの。」


そう言うとベッドから状態を起こし、着ていた服を脱いで背中を見せた。その背中には複数のやけどの跡があった。それはあまりに見るからにひどく、明らかに普通ではない何かが里香に起こった事を物語っていた。


「言い出せなくって...父がね、母が事故で亡くなった後、再婚してね、これは再婚した継母の仕業。タバコを押し付けられたりしてね。でもね...ちょっとは継母には感謝しているの、服で隠せる所にしてくれるから。だから....こんな傷物で穢れた私は『世界の宝』のもとにいてはいけないの。せっかくの『世界の宝』も穢れてしまう。『世界の宝』は誰の希望にもなれるように、いつも輝いていて欲しいの。」


里香は小さくなって身震いさせながらすすり泣いた。そんな里香を直人は後ろから深く抱きしめる。


「ありがとう、話してくれて。でも、そんな事は気にしなくていいんだ。俺は里香に一緒にいて欲しいんだ。それに俺だって、『世界の宝』なんかじゃないんだから。」


そう言うと、里香の服を元に戻し、自分の方へ向かせた。


「俺も話してない事があるんだ。大切な里香だからこそ、聞いて欲しい...」


直人はいつにもなく、真剣な表情になる。


「俺が叔父さんと住んで居るって言ったよね?それは家族が7年前に..殺されたからなんだ。俺はそこに居合わせなかったから殺されなかったけど、最初に家族が殺されたのを見つけたのは俺なんだ。今でもその光景が目に焼き付いていて、それを思い出すたびに気分が悪くなって....最初に図書館で会って里香に助けてもらったろ?その時もそれが原因だったんだ。だから俺も別に『世界の宝』でもなんでもないんだ。」


里香は直人の話を聞きながら目を潤ませている。


「今でも誰が俺の家族を殺したか分かってなくて、今でもその犯人を見つけ出して殺してやりたいって思ってる。だから、本当に俺にはかけた部分も多くて、そこを里香に補ってもらえたらって思うんだ。僕らはたぶん似たもの同士なんだよ。そして、そんな二人が出会って魅かれあったのは運命だと思うんだ。だから、一緒にほしい......いてください!!」


里香はあまりの事に少し考こむ、そして「全く自信もないけど....こんな価値のない私でいいのなら喜んで。」といった。


二人は自然と求め合い、長く抱き合ってから長いキスをした。


朝の陽射しと共にそこには美しい光景と時間が流れる。


・・・・・・


「それはそうと、里香が『世界の宝』であるって事をちゃんと証明してみせるよ。」


「え?どう言う事??」


「里香がもともと『価値』のあるとても素晴らしい人だって事を証明するのさ。ついでに、背中のアザも心のアザも全部取り除いてみせるよ。」


直人はさっきの真剣な表情と打って変わって笑顔になる。


「そんな事できるわけないよ。」


「大丈夫、俺は里香の『マスターガイスト』なんだから。」


「何それ?まさか、私の携帯の中見たの?」


「まぁ里香の『マスターガイスト』だから、里香の求めるものが見えちゃったのかもね。」


「私の『マスターガイスト』、、、貴方は私を救ってくれる()()()になってくれるのね。」


里香は、今度は嬉しくて目を潤ませる。


「後の事はマスターガイストに任せておけば大丈夫だよ。きっちり、きっぱり、さっぱり解決してくれるから。」


「何それ?」


二人は自然と笑いあった。




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