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Dead! Dead!! Dead!!!  作者: quklop
第三者による追記
97/98

記憶閲覧終了

荘司郎が、口をぽっかりと開ける。

同じようにして見開いた目で、ディスプレイをぼうっと見つめる。


螺8B層苑躯呑@類が、自分の口周りの肉を拾い、元の部位に押し込んだ。

ぐにゃぐにゃと歪ませ、元通りの形になじませる。


何度か発音テストのようなものをして、ようやく意味の通る言葉を喋った。


「あたし、あなた、の、いもうとです」


ぐにゃりと周囲の景色が歪んで、それが直る頃には、私達は食卓に移動していた。


「ごめん。

もうこれしか残ってないんだ」


トーストを半分に裂いて、荘司郎はその片割れを螺8B層苑躯呑@類に差し出していた。

ふるふると腕の肉を震わせながら、螺8B層苑躯呑@類がそれを受け取り口へと運ぶ。


その時、安っぽい電子音が部屋の中に鳴り響いた。

荘司郎がそれを聞いて、にんまりと笑う。


「やっと来た!

多分おれが知らない、おれの親せきのうちの誰かだ。

きっと助けに来てくれたんだ!」


よろめきながらも荘司郎は、リビングを飛び出し廊下を真っ直ぐに走っていく。

私は慌てて荘司郎を追いかける。


荘司郎が玄関の鍵を開けた。

扉が奥へと傾く。


その奥には、ゴムのような材質の服を着て、顔全体を覆うような形のマスクを被った人間が、十人以上控えていた。


「は?

え?

おまえら、誰だよ?」


長靴を脱がずに、土足のままで怪しい人間達が廊下を踏みにじる。

荘司郎は、邪魔だと言われんばかりに、先頭の人間に廊下の隅へと追いやられた。


動かず、動けず、座り込んだままの荘司郎。

彼、もしくは彼女達は、全員真っ直ぐにリビングの中に入り、暫くすると螺8B層苑躯呑@類を抱えて戻ってきた。


ハッとして、荘司郎が集団に問い掛ける。


「お前ら、そいつをどうするつもりだ?

おれの妹を、どこにつれてくんだ」


しかし、まるで荘司郎の声が聞こえていないかのように、いやひょっとしたら本当に聞こえていないのかもしれないが、彼もしくは彼女達は全く歩調を緩めず過ぎ去って行った。


後には一人ぼっちの荘司郎だけが残っていた。


「おれを、一人に、しないでくれよ」


荘司郎の記憶プールとのコネクトが切れた。

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