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Dead! Dead!! Dead!!!  作者: quklop
観測者による主観的観測記録
77/98

吐いたのだが。

荘司郎に銃口を突きつけた男が、距離をとって射撃体勢に入る。

その男の背後に、ジャックがヌウッと聳え立った。


「ッムン!」


ジャックは頭部を鋭利に尖らせ、光の速さで頭突きを繰り出した。

ぽっかりと開かれた荘司郎の口の中に、男の血がかかる。


「やはり、咄嗟に体を透けさせることは出来ないようですね」


おうえええ!

体を伏せて、荘司郎は口の中身を全て床にぶちまけた。


「流石です、ジャックさん!」

「めぷるさん、それよりも後方を……」


楓の後ろに、スタンガンを持った男が忍び寄る。

男に向かって麗華が銃弾をばら撒いた。


「………やっぱり異常」


上半身を後ろにずらして、男が銃弾を全てかわす。

男が攻撃の対象を変更する。

腰のベルトからリボルバー式拳銃を抜いて、安全装置をカチリと外した。

その隙に、楓は麗華に覆いかぶさるようにして、射線上を遮る。


「………え?」


男と麗華の動きが止まった。


「やっぱり、私は殺しちゃいけないことになってるのね」


その隙を逃さず、ジャックが首を刈り取る。

しかし、鎌と化したジャックの腕は、肉を通り過ぎてコンクリートの壁に傷をつけた。


男は雰囲気だけでニヤリと笑う。

鋭い踏み込み。

右手に拳銃と左手にスタンガン。

男は左手を楓のうなじに、右手をその奥に回りこませ麗華のこめかみに突きつけた。


その男以外の、その場にいる全生物が目をつむる。
























































しかし、いつまで経っても血は流れなかった。


楓が薄く目を開ける。

その視界の中に、男の姿は無かった。


「ふ、ふふふ」


痙攣に近い動作をしながら、楓が小さく笑う。


ジャックが安堵の溜め息を吐いた。


「消え……ましたね。

良くわかりませんが、なんとも好都合です。

おい、そこの少年」


それが元はジャックであることには気がつかずに、荘司郎がビクリと返事をする。


「は、はい。

げほ、あの、先ほどは助けて頂き、っていうか、なんでゾンビが、というか、麗華?」

「長話は無用。

最悪死にますよ。

それより、君は与那城伯瑛という男の居場所を知っているのでは?」

「あ、えっと、それは少し言いたくないのだが……」


突然麗華がスッと立ち上がる。

荘司郎に対するいらつきも忘れて、ジャックは麗華に目を奪われた。


「………さっき、あいつ、『終わった』って」


荘司郎が、その言葉の意味を理解する。


「やっぱり、教える。

ついてきてくれないか?」

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